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クローズUP

「警備の日バス」走る2020.10.21

福井警協 ひと足先にPR開始

福井県警備業協会(吉田敏貢会長)は、11月1日の「警備の日」に先立つ10月2日から、警備の日PRを開始した。

福井市を中心とする県内7市4町の嶺北地区内を運行する路線バス前方に、「私たちは安全と安心に寄与します。11月1日は警備の日。福井県警備業協会」と記した“幕”を掲示。県民への警備の日と警備業の周知を行っている。

この取り組みは4年前から開始。当初はバス4台・4路線だったが、今ではバス8台・8路線まで広がった。発案した江戸義朗・福井警協専務理事は「秋の“風物詩”としてすっかり定着した。<バスを見て自分も警備員になりたいと思った>などの声も寄せられている。実際、求人募集に応じて会員会社を訪れる人もいる」と効果を語った。

特集ワイド2020.10.21

適正取引、推進の時

全国警備業協会(中山泰男会長)は9月30日、「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」の改訂版を策定した。全警協が加盟員500社を対象に行ったフォローアップ調査により、同計画が7割以上に活用され警備料金の値上げなどに効果があると明らかになったことを受けての改訂だ。コロナ禍が続く中、適正取引推進は一層重要になっている。

今回の改訂で追加された取り組み事項は(1)自主行動計画の活用による改善事例の共有(2)感染症対応を踏まえ発注者に必要経費やキャンセル料の支払いを求める(3)あらゆる世代の警備員が働きやすい労働環境の整備(4)休憩時間の確保(5)見積関係書類の記載例活用――の5つだ。

(1)「改善事例」の共有

全警協のフォローアップ調査では、同計画を「活用して改善がある」との回答は72.8パーセントにのぼった。このうち「警備料金の値上げにつながった」は89.8パーセント、「労働条件を改善できた」は49.5パーセントを占めた。回答の自由記述欄には「キャンセル料を徴収できた」「安全衛生面での提案、改善が多く取り入れられた」など効果についての記述が見られた。

一方、「活用していない」は18.6パーセントで、その理由は「自身が理解していない」「(発注者との)協議の具体的な手法が分からない」などだった。

より多くの警備業者が同計画に理解を深め、積極的に活用することで適正取引の動きは一層広がっていく。全警協は、同計画の「推進とフォローアップ」の項目に調査結果の一部を記載し「積極的な共有」を呼び掛ける。

(2)必要経費求める

春以降の新型コロナ感染拡大を受けて警備業者は、警備員が使用するマスクや消毒液の購入に追われた。全警協は、感染予防対策ガイドラインを策定し、注意喚起を行ってきた。

同計画の見直し作業の中で、パンデミック(世界的な感染症の流行)が発生した際の警備業務のあり方や、想定外の経費、取引先とのやり取りについて、自主行動計画の中に追記することが検討された。

感染症の拡大、近年多発する風水害などによって生じた費用などの負担を、受注者である警備業者が一方的に押し付けられる事例もある。全警協は、同計画の「協議による解決」の項目に加筆、警備業者が発注者に対して社会情勢の変化に応じて必要となる経費、業務のキャンセル料などの支払いを求める協議を行うよう求めた。リスクが懸念される場合は受注の見合わせを検討することも求め、警備業者が発注者と協議を深めて取引上の課題を解決するよう促している。

(3)労働環境の整備

人員の充足状況について同調査では92.7パーセントの警備業者が人員不足と答え、その影響として業務の受注抑制などで売上機会の喪失につながっていることが浮き彫りになった。また、過去1年の退職者の理由では「体力の低下」がトップで70.7パーセントにのぼった。回答の自由記述欄には、若年層の不足や、高齢者の体調不良が業務に与える影響などについての記述も見られた。

また、コロナ禍で警備員の健康管理が不可欠となっている。地球温暖化の影響による酷暑が続いて熱中症のリスクは高まる。こうした背景を受けて全警協は「人材の確保と定着」の項目に「あらゆる世代の警備員が働きやすい環境の整備」への取り組みを求める記述を盛り込み、定着の促進を図る。

(4)休憩時間の確保

警備員が休憩時間中に出入管理や緊急事態への対応を求められ、対応せざるを得ない状況の発生について、同調査では52.0パーセントが「発生している」と回答。このうち、休憩時間の確保のための発注者に契約内容の見直しを「要請している」は83.9パーセント、要請を行うことで改善されたとの回答は75.9パーセントだった。

同計画の「長時間労働の是正」の項目には、すでに、休憩時間に警備員が来訪者や電話に対応せざるを得ない場合は、労働基準法上、休憩時間とは認められないことが明記されている。契約内容の見直しを要請してもなお、休憩時間中の業務を求められた場合は、休憩時間中の交代要員の配置を前提とした警備料金とするように促す文言を追加し、職場環境改善の取り組みを進める。

(5)見積書の記載例活用

全警協が発行する書籍「警備業関係基本書式記載例集」の中に、見積関係書類の記入方法を示す「契約締結前書面記載例」が掲載されている。同調査では「活用している」が57.9パーセントを占め、このうち「契約外業務がなくなった」は48.4パーセントだった。

同書籍(7訂8版)に掲載された契約締結前書面の記載例は2号警備業務のみだったが、今年4月発刊の8訂版には、1〜4号と機械警備業務の記載例を組み込んだ。同計画の「契約内容の明確化」の項目に書籍についての記述を追加し、記載例のさらなる活用を促進する。