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クローズUP

全警協 防災委を緊急開催2024.02.01

能登半島地震で支援協議

全国警備業協会(中山泰男会長)は1月1日に発生した能登半島地震発生を受けて16日、「第2回防災委員会」を協会内とオンラインで緊急開催した。

全警協防災委員会・髙橋徹委員長(東京警協副会長)と防災委員の各県会長、オブザーバーとして全警協基本問題諮問委員会「災害時における警備業の役割明確化作業部会」・松尾浩三部会長(岡山警協会長)、全警協から黒木慶英専務理事と楯悦男常務理事、小澤祥一朗総務部次長らが会場に出席した。

オンラインでは中部地区警備業協会連合会・小塚喜城会長(愛知警協会長)、石川警協・上田紘詩会長、岐阜警協・幾田弘文会長、三重警協・菊田喜之会長ほか防災委員の各県会長らが参加した。

髙橋徹委員長は「石川警協と中部地区連、全警協から被災地での活動について報告してもらい、今後の警備業としての災害支援の在り方を協議検討したい」と趣旨を述べた。

石川警協・上田会長は全警協と中部地区連の迅速な支援対応に感謝の意を述べ、被災地の現状を説明。中部地区連・小塚会長、岐阜警協・幾田会長がこれまでの支援活動の内容を、全警協・楯常務理事は被災地の視察についてそれぞれ報告した。

小塚会長は現時点での活動を振り返り(1)中部6県協会は結束が固く日頃から意思疎通があった(2)災害協力隊の訓練・装備資機材の点検を続けていた(3)各県とも前向きに対応し協力隊を短期間で編成した(4)特定資産の災害積立預金を出動経費に充てた(5)隊員自身が被災者と意思疎通し誇りと使命感を実感できた――の5点を挙げた。

松尾会長は「活動は今後長期にわたり、有償対応に変わっていくことが予想される。その際、もし要請があれば現地に赴き、適正な警備料金の策定などで協力させていただきたい」と呼び掛けた。

黒木専務理事は「能登半島地震の経験や実績をもとに今後懸念される首都直下地震や南海トラフ巨大地震などに備え、全警協の『防災基本計画』を見直す必要がある。2012年に策定した同基本計画をより現実的な内容にすべく防災委員会で協議していきたい」と述べた。

特集ワイド 役割重い「広報PT」2024.02.01

人手不足に強い危機感

全国警備業協会の中山泰男会長は、警備業務の人手不足が深刻化するなど山積する警備業の課題を解決していくには「広報活動を1丁目1番地にしなければならない」と強調する。昨年10月から始動した「全警協広報プロジェクトチーム(PT)」の動向と、各地の警協青年部会の広報活動にも新たな動きや好事例が見られる。PR効果を最大化させる警備業の広報活動について考える。

全警協は昨年10月、警備業が直面する課題を解決するため、内外に警備業の魅力を発信する広報活動が必要だとして、各地区の青年部会メンバーを中心としたPTを設置した。1月23日には第2回の広報PTを開催し、都道府県警協青年部会の部会長らメンバー9人が出席した。全警協からは中山会長、黒木慶英専務理事、楯悦男常務理事らが同席した。

この日は広報の専門家から、広報活動を通じて達成したい目的を「警備業界の社会的地位向上」と設定した場合のポジティブなイメージ作りの手法や、さまざまなメディアの特性などについてヒアリングした。また、新年度に向け、優先的に行うべき広報活動の内容などについて意見を出し合った。

警備業は複数の課題に直面しているが、人材不足をいかに克服していくかが当面の最大の課題。中山会長は「われわれは今ものすごい危機意識を持たなければならない。いよいよ人手不足の問題が本格化する。警備業の門をたたく人が増えるトレンドにしなければ将来は危うい。思い切った手を打っていく必要がある」とメンバーの斬新な発想に期待を寄せた。

PTは昨年10月5日に第1回を開催。各メンバーがそれぞれの地区で行っている広報活動状況について説明し、その上で、全国的な広報活動の効果的方策などについて自由討議の形式で意見や感想を出し合った。そこで出た声として、それぞれのPR活動の目的は何なのか、ターゲットは誰なのかなどのゴールの設定がないと目標に到達できない恐れがあるという、PR活動で陥りがちな課題を認識した。街頭での広報活動が一過性の盛り上がりで終わってしまわないよう、来場者に対し警備業に関するアンケート調査を実施したケースも紹介された。

PTは3月開催予定の総務委員会・理事会に諮り、2024年度から広報活動を実施する。

各地の青年部会組織は各警協が行う広報活動の実行部隊として尽力している。若い世代が中心となることでSNS(ソーシャルネットワークサービス)や動画共有サービスYouTubeを活用した取り組みが活発化し、若年層へのアプローチが進んでいる。

23年には関東地区警備業協会連合会青年部会が初めて警備業のPR活動を一体的に実施した。地元警察と連携し、各県の警察が発信している不審者の出没や特殊詐欺の発生などを知らせる防犯アプリの普及などをそれぞれの県で呼び掛けた。

警察庁は毎年10月11日〜20日の10日間に「全国地域安全運動」を実施している。警備業が同運動に参加することは、社会に対し警備業が警察とともに行動する生活安全産業の一翼を担っていることを伝える好機であり、11月1日に控える「警備の日」をPRする絶好のタイミングだった。

関東地区連青年部会の会長を務める茨城警協青年部会の佐藤平八郎部会長(ジェイエスケイ)は「各県単独でPR活動を行うよりも地区連全体で共通の活動を行うことで大きく展開でき、話題になりやすいのではないか」と青年部会同士で水平展開する効果に期待を寄せる。

この活動の一環として、神奈川警協青年部会「神鴎会」(髙里憲悟部会長=アスカ)は昨年10月21日、神奈川県と県警察本部が実施した「安全・安心まちづくり旬間出陣式」に参加し、警備業をPRした。その際、全警協から警備業のマスコット「ガードくん」の着ぐるみを借り受け、会場となった横浜駅前の地下広場で通行人の関心を集めることに成功した。警備業に親近感を覚えてもらい、「11月1日は警備の日」を伝える広報活動としての目標達成の一助となった。

警備業界に限らず人材不足は今や、さまざまな業種の課題だ。業種間の獲得競争がある中で、一般的に関心の低いとされる警備業が人材を確保するには、まず警備業をポジティブなイメージで認識してもらうことが必要となる。警備員に関心のない人「無関心層」をターゲットとした広報が求められている。

都道府県警備業協会や青年部会でもさまざまな目的に即した広報活動が行われている。全警協の中山会長が指摘する危機を乗り越えるためには、当面は人材確保を目標とした一般向けの警備業のイメージアップに注力していく局面だと言える。

ガードくん着ぐるみの活用

警備業のマスコット「ガードくん」は、18年に全警協がマスコットキャラクターを公募し、833件の作品から選ばれたことで誕生した。全警協は20年に着ぐるみを制作し、LINEスタンプを発売した。全警協に使用申請すれば警協や青年部会に対しては着ぐるみを無料で貸し出している。印刷についても申請は同様で、ガードくんのイラストを名刺に加えた会員企業や、キャラクターがデザインされたメモ帳やシールなどイベントなどで配布する啓発グッズとして作成している警協もある。

メディアに展開しやすいシンプルなデザインが特徴だが、アニメやイラスト、SNSへの展開には至っていない。

これまで着ぐるみを3度使用した兵庫警協(中尾忠善会長)は、青年部会(村岡孝一部会長=エースガード)が出展する市民イベントの主催者に「また来年もガードくんを」とリクエストされた。同部会催事委員の三宅修平委員長(神姫警備保障)は「イベント会場で子供受けを狙いつつも、本当の目的は保護者世代に警備業を理解していただくこと。子供には制服を着て資器材に触って警備員を身近に感じてもらい、大人には業界への理解を深めていただく。遠くからでも目立つ着ぐるみの利用価値は高い」と話す。

コロナ禍の影響が収まった昨年の11月1日前後には、使用申請が集中した。10月下旬から11月3日かけて着ぐるみは山形〜京都〜香川と本州・四国を縦断した。