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鹿児島警協講師2人に初の感謝状2022.04.01

県警生安部長、教育貢献を評価

鹿児島県警備業協会(上拾石秀一会長)の特別講習講師2人に3月11日、県警本部の井上昌一生活安全部長から感謝状が贈られた。協会関係者への生活安全部長からの表彰は初めて。

感謝状が贈られたのはサンプラスワン(鹿児島市、巽誠宣社長)薩摩川内・出水営業所長兼教育部長の塩谷貞二氏(52)と第一ビル管理鹿児島事業本部(同、関健二本部長)警備保安課長の内村俊宣氏(45)。

講師会会長の塩谷氏は2007年から、主任講師の内村氏は06年から、それぞれ特別講習や警備員指導教育責任者講習の講師を務め、警備員教育に貢献していることが評価された。

警察本部で行われた贈呈式には、県警の幹部のほかに上拾石会長も出席。井上部長は「これからも優秀な警備員を育ててほしい」と激励した。上拾石会長は「質の高い警備員の育成には、警備員教育の充実が必須となる。引き続きご指導を受けながら、期待に沿えるよう努めたい」と応えた。

受賞した両氏は「受講者には地域の安全・安心を守る警備員としての誇りと使命感を持ち、県民の信頼につなげる警備を目指すよう訴えている。今後も講師としての探究心を持っての研さんに努めたい」と述べた。

「労務単価に新区分を」2022.04.01

自民・和田参院議員国交省に申し入れ

自民党の和田政宗参院議員(比例)は、警備業の労務単価に新たな「区分」設定を国土交通省に求めた。施設警備業務の労務単価「建築保全業務労務単価」を担当する同省大臣官房官庁営繕部に対し、すでに検討を申し入れたことを3月25日、本紙に明らかにした。和田議員は同単価に加え、交通誘導警備業務の労務単価「公共工事設計労務単価」にも新たな単価区分が必要との見解を示した。

現行の建築保全労務単価と設計労務単価では、従事する警備員の検定資格の有無や種類、実務経験などによって、建築保全労務単価は「警備員A」「同B」「同C」の3種類に、設計労務単価は「警備員A」「同B」の2種類に、それぞれ区分して単価を設定している。

和田議員は、建築保全労務単価では、警備する施設の重要度や求められるスキルによって、現在の区分に“特A”や“S”などを加えることを提案。「より上級の区分を設けることで、警備業全体の労務単価アップにもつなげられる」と、その理由を述べた。

政府が同議員の国会での質問に対し消極的な姿勢を示した新型コロナにも適用される新型インフルエンザ等特別措置法(特措法)規定の「指定公共機関」への警備業追加については、特措法見直しの際に改めて政府に求めていく意向を同氏は明らかにした。

特集ワイド 身近な4号警備2022.04.01

私服警備員が人の身辺を警戒するなどの4号警備業務は、手掛ける警備会社が少ない。不特定多数の人々の安全を守る警備と異なり、特定の個人に寄り添って警護する業務。より高度なスキルや経験が必要であり、著名人の身辺警備にとどまらず、市民生活でストーカー事案にも対応している。4号警備の現状や新たな業務サービスの可能性について取材した。

「警備業の概況」(2020年)によると警備業者は1万113社を数えるが、うち4号警備を手掛ける業者は658社(6.5%)だ。

4号警備の認定は受けても、身辺警備のノウハウと実績を持ち積極的に事業展開する企業は、ごく少数だという。専門の技能を備える警備員の育成には長期の訓練が必要でコストが掛かるのに対し、施設警備や交通誘導警備のようなコンスタントな受注は難しいためだ。

身辺警備を専門に手掛ける会社がある。CCTT(東京都多摩市)は、今年創業20年目を迎えた。小山内秀友CEOは、英国で要人警護技術を学び、セキュリティーマネジメントや要人警護の英国国家資格を取得。その後、イスラエルで同国の国防省認可の訓練機関による要人警護訓練課程を修了し、国内で起業した。

同社は、約100の国と地域で活動する国際ボディーガード協会(IBA)の日本事務局となっている。これまでにグローバル企業のトップ、中東の王族、ハリウッドスターや著名アーチストなどが来日する際に警護を担当し、海外でも警護を行っている。小山内氏に4号警備の現状や将来性について説明してもらった。

「ボディーガードというと“肉体を鍛えた屈強な男性”といったイメージが根強い。しかし国際的な傾向としては、屈強さよりも警備対象者に起こりうる危険を予測して回避するスキルが求められています。警備対象者に関連する情報を集めて理解を深め、各種の襲撃の可能性を想定し、より安全に移動できるルートを提案するなど、警備を行う前段階の準備が重要になる」と小山内氏は述べた。

日本企業の社員が海外の危険地帯へ渡航する際に同行して、現地の関係者と協力し警護する業務や、プライベートで海外に旅行する富裕層の警護も同社は行ってきた。

「米国の警備会社は、元軍人や元シークレットサービス(大統領の護衛機関)隊員による身辺警備など、さまざまな特色がある。人に寄り添う警備は勤勉さや規律正しさ、信頼関係などが重視され、日本人に向いた仕事と感じます」。

ストーカーやDV(ドメスティックバイオレンス)の被害を受ける人を守る業務もある。

「暴力を振るう配偶者から子供を連れて逃げる際のサポート、離婚話や事故の示談交渉で相手が暴れる可能性がある現場に立ち会うなど、4号警備は身近な所で行われている」。

児童虐待では、児童相談所(児相)の職員が虐待防止のため子供を児童養護施設に連れて行こうとして親とトラブルになるケースが発生している。

「警備会社が行政・児相と緊密に連携し、子供の身辺を強固に守る体制が生まれるなら、助かる子供は増え、虐待防止に貢献する警備業の社会的評価につながると思う」。

一方で、4号警備を依頼された警備会社が、的確に対応できる警備員がいないため受注を断る場合があるという。

「4号部門の需要に備えて警備員の選抜チームを育成することは、ビジネスの可能性を広げるもの。身辺警備に必要なスキル、接遇マナーはほかの警備業務にも応用できる。業務が評価されれば、顧客開拓につながる」。

「子供の安全」新たなニーズ

スクールバスを待つ児童が襲われた事件や電車内の無差別刺傷事件などを受け、身辺警備の新たなニーズに子供の安全確保がある。

「少子化が進むと、親は子供一人に多くの費用を掛けるようになる。犯罪リスクを防ぐため、学校や塾の送迎などで私服警備員の活躍は広まるのではないか。“身近な人に寄り添い守る4号警備”を業界としてさらにアピールし、各社がニーズを掘り起そうと取り組むことが大切になる」。

4号警備は多くの場合、他人のプライバシーに深く関わる中で業務を遂行しなければならない。「きめ細かな身辺警護は、AIには取って代わることのできない“人ならでは”の警備業務なのです」と小山内氏は強調した。