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クローズUP

秋の叙勲 中谷氏に旭日双光章2020.11.11

警備業受章者30人に

政府は11月3日付けで、「2020年・秋の叙勲」の受章者を発表した。警備業からは紀北総合警備(和歌山県かつらぎ町)代表取締役で和歌山県警備業協会理事(前会長)の中谷保氏(70)が、旭日双光章を受章した。警備業界の受章者は30人となった。

中谷保(なかたに・たもつ)氏は、1994年2月に紀北総合警備を設立し、代表取締役に就任した。

和歌山県警備業協会では、1997年から理事、2004年に会長となり、6期12年務めた。

警協会長在職時には、1999年に県・県警本部との間に締結した「災害支援協定及び同細目」を基に07年に「和歌山警協災害支援警備隊の設置及び運用に関する要綱」を制定、体制を整備した。

主な受賞歴は、2010年全警協会長表彰、14年に警察庁長官・全警協会長連名表彰、16年中央労働災害防止協会・緑十字賞、同年「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定され経済産業省大臣表彰などがある。

「うそ電話詐欺」防げ2020.11.11

鹿児島警協青年部会が寄贈

鹿児島県警備業協会の青年部会(仙田匡拡部会長=シティ警備保障代表取締役)は11月2日、「警備の日」PR活動として県防犯協会に「うそ電話詐欺(振り込め詐欺)抑止装置」30台を寄贈した。今後、防犯協会を通じ県民に貸し出される。

鹿児島市内の県警本部で行われた贈呈式には、青年部会から仙田部会長、田中昭人(東洋警備施設警備課長)、朝野修平(コスモ警備保障専務取締役)の両副部会長、荒武貞夫監事(鹿児島綜合警備保障代表取締役)、防犯協会から谷川洋造理事、宮里美光専務理事が出席。県警本部生活安全部の中島修参事官、岩城孝志生活安全企画課長が立ち会った。

寄贈した詐欺抑止装置は、固定電話に接続することで着信時に「この電話は会話内容が自動録音されます」と警告メッセージをアナウンス。会話は声紋分析可能な高音質で全て録音できる。

贈呈式の模様は県内民放テレビ4局や地元紙でも大きく報道。警備の日や警備業を県民にPRする絶好の機会となったようだ。

仙田部会長の話

今後は社会貢献活動にも力を入れる。県警や防犯協会とも連携し、子供たちが犯罪に巻き込まれない県づくりに取り組みたい。

特集ワイド2020.11.11

警備業のM&A

警備業界では今、人材確保や事業拡大の手段としてM&A(企業の合併と買収)を検討する会社が増えている。後継者不在を解消し、会社を存続・発展させる目的でも活用されている。譲り受ける企業側・譲り渡す企業側それぞれにどのようなメリットがあるのか、今夏にM&Aを行った警備会社とそれを支援したM&A仲介会社を取材した。

「警備会社A」は、従業員数約1000人、1号警備・2号警備を主業務としている。新たに他県に拠点を作り事業拡大を計画していたが、自社従業員を投入して支社を設置するか、地元の警備会社をM&Aで譲り受けるか検討していた。事業拡大に伴う優秀な警備員の確保も課題となっていた。

A社の経営者は、知り合いの経営者からM&A仲介事業を行うFUNDBOOK(ファンドブック・東京都港区、畑野幸治代表取締役CEO)を紹介され、同社から進出を計画していたエリア内に譲渡を希望している「警備会社B」があることを聞いた。

B社は、2号警備を主業務としている従業員数約80人の会社で、創業者が高齢で後継者が不在だったため過去に他の仲介会社を通じM&Aにより譲り渡した。そのときB社を譲り受けた企業は警備会社ではなく、警備業に関する知見やノウハウが十分ではなかったため思うような経営拡大を果たせず、B社の譲渡をFUNDBOOKに依頼していたところだった。

A社は、中長期営業計画の手段としてM&Aを役員会で決議。今年6月から準備を進め、2か月後の8月にB社とM&A成約に至った。A社の代表取締役は「譲受企業」の立場からM&Aの効果を次のように話す。

「まだ成約から間もないですが効果は出ています。B社は、地域に根ざし長く業務を続けてきたことで地元での知名度が高く、募集をかけるとすぐに10人の警備員を確保できました。B社が構築してきた営業ネットワークをそのまま活用する形で、スムーズに業務拡大を実現できました」。

M&Aを行ったことで、組織の強化を図ることもできたという。

「B社には実務経験が長い内勤者が勤務していたので、当社にとって組織に厚みがでました。今後は両社で人事交流を活発に行い、刺激を与え合って全体を活性化させることを考えています。B社に当社の役員を取締役社長として就任させ管理運営を任せたところ、やりがいを感じて活躍してくれています」。

一方で、苦労している点についてはこう打ち明けた。

「M&Aが成約して1〜2か月間は重要な期間と感じています。“負の感情”を持たれないよう『一緒に成長して行きたい』という思いを真剣に伝えています。当社社員はB社の近くに住居を借りて頻繁に顔を出し、コミュニケーションをとって信頼関係を築くよう努力しているところです」。

同代表取締役は、初めて経験したM&Aについて「まだ警備業界にあまり浸透していない取り組みですが、譲受・譲渡企業相互のよい部分を持ち寄りノウハウを共有することで、1+1が3にも4にもできることがわかりました。警備業に詳しいM&A仲介会社に委託したことで、相手企業の調査などに時間をかけずにスピーディーに成約まで進めることができました。今後もよい出会いがあれば、M&Aを考えていきたいです」と語った。