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クローズUP

紙面向上委員会第20回会合2021.12.11

コロナ、東京2020で議論

本紙は11月19日、第20回「紙面向上委員会」を開催した。新型コロナへの感染予防のために1年半ぶりの開催となった委員会では、「コロナ禍」と異例の1年延期で開催した「東京2020」を主テーマとした。警備業がそれぞれで果たした役割や教訓などについて意見が交わされた。

コロナ禍が警備業に与えた影響について平林尚子氏(神奈川警備保障)は、インターネット利用などの経営改革が進んだとし、事務系社員の「週休3日制」導入に着手したことを明らかにした。

田中敏也氏(リライアンス・セキュリティー)は、コロナでも業績は伸びたと述べ、「会社が警備員を守る」とのスタンスで各種対策に取り組んだことを理由に挙げた。

實川利光氏(アルク)は、個々の社員の感染防止努力に加え、会社も社員のサポートに務めたとし、現場で汗を流した警備員には「慰労金」を支給したことを紹介した。

「東京2020」については、同警備を通じて得た教訓などについて話した斎藤文夫氏(前・全国警備業協会)が、顔認証機器など高いセキュリティー技術を駆使した“レガシー”を今後に「生かす」必要性を説いた。

早川正行氏(シンコーハイウェイサービス)は、東京2020の「警備JV」自体がレガシーだと述べ、各社の事情を乗り越え一つになるための苦労をねぎらった。

鈴木伸也氏(日本海警備保障)は、AIなど技術の進歩はエラーやリスクの増大につながることも意味すると指摘し、使う側の「人」の進歩も欠かせないとの見方を示した。

ストップ「飲酒運転」2021.12.11

静岡警協 年末の安全、県警と取り組む

静岡県警備業協会(立川勝彦会長)は、県警が年末にかけて取り組む「しずおか・アフターコロナ飲酒運転・ストップ作戦」に協力している。12月2日に県警本部で開かれた「協力依頼式」に立川会長が出席、三原浩交通部長より依頼書が手渡された。

新型コロナの緊急事態宣言が明けて初の年末が迫る中、飲酒運転の増加を懸念する県警の要請に応じた。「蛇行車両」など飲酒運転が疑われる車などを見掛けたら警察に通報するよう会員各社に呼びかけた。

協力依頼式で立川会長は「飲酒運転は極めて危険な行為で絶対に許される行為ではない。従業員から飲酒運転をする者を出さないことはもちろん、飲酒運転の疑いのある車両を発見した場合は直ちに警察へ通報するよう協力します」と述べた。

同要請は静岡警協のほか、ALSOK第七地域本部(望月壽一郎本部長)と鈴与セキュリティサービス(太田秀世社長)の警備2社を含む地元3社にも行われた。

今年、県内では11月末現在で85人の交通死亡事故が発生した。11月ひと月だけで12人の死亡事故が起きており、県警は危機感を強めている。

特集ワイド 年末年始「ゼロ災」2021.12.11

2021年も残りわずか。労働災害は例年、12月に多発する。ゼロ災(無災害)をめざし警備業者は安全意識をより高め、警備員の受傷を防がなければならない。神奈川県では、交通誘導警備員の死傷事故を受け労働基準監督署が公共工事発注者などに緊急要請を行った。労災で最多を占める「転倒」を防ぐことも重要なポイントだ。

年末年始にかけては人や車の移動が活発化し、労働災害の増加が懸念される。また、冬場は日没が早まり、警備員は視認性の高い反射材ベストなどの着用が欠かせない。寒さの中、準備体操を念入りに行って体をほぐすことも大事だ。

全国警備業協会が加盟会社を対象に行った2020年度の「労働災害事故実態調査」によると、警備員の被災(業務災害)は1510件で、月別に見ると11月は126件、12月は141件、1月は160件と増加が続いた。現在、新型コロナウイルス感染者数が減少して人流が活発になり現場では一層の注意が必要だ。

さらに、これから年度末にかけては公共工事が繁忙期を迎える。工事の集中、工期が迫る中での長時間労働によって警備員の負担が増せば事故リスクも高まる。負担の増加、疲労の蓄積は“やるべきことをやらない”“やってはならないことをやってしまう”といったヒューマン・エラー(人為的な失敗)を誘発しかねない。

会社は基本対策の再徹底を図るとともに警備員の休憩時間を十分に確保することが必須となる。加えて、警備員の増員や資機材の増設によって現場の安全強化を図ることをユーザーに積極的に提案し、理解を得ることが大切だ。

厚生労働省が取りまとめた今年の労働災害発生状況(速報値、11月8日現在)によると、1月1日〜10月31日に警備業で死亡した人は18人を数え、昨年同期より3人減った。死亡災害を「型別」で見ると「交通事故(道路)」が最多の10人だった。

今年10月末までに発生した警備業の「死傷災害」(死亡と休業4日以上)は1536件にのぼった。型別では「転倒」が604件で最多、次いで「交通事故(道路)」が200件だ。転倒は、警備業に限らず全体で最多を占め、対策が叫ばれる。

厚生労働省のホームページ「職場のあんぜんサイト」には「STOP!転倒災害」のチェック項目がある。警備先の危険箇所や通路の安全について改めて確認すべきだ。被災して治療が長引き欠員補充が十分でないと他の警備員に負荷がかかりリスクの増加につながる。

高齢警備員の事故を防ぐ取り組みも肝要だ。2020年に発生した警備業の労働災害では、死傷者数1792人(厚労省・確定値)のうち60歳以上は895人で全体の5割を占めた。警備員の健康状態や体力のチェックを継続的に行うことが労災を予防し、誰もが安心して長く働くことのできる職場づくりに結び付くものだ。