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クローズUP

「世界一安全な日本」新戦略2022.12.21

警備業への期待盛り込む

政府は近く、今後の犯罪対策などを示した「『世界一安全な日本』の創造のための新たな戦略」を閣議決定する。同戦略に基づき警察庁や法務省など関係省庁は、政府一体となった犯罪対策を推進する。

警備業については、犯罪に強い街づくりなど身近な犯罪対策の一環として位置づけるとともに、2023年の「G7広島サミット」、25年の「大阪・関西万博」開催などを念頭に、警備業への社会的需要が増大していることから、「生活安全産業として警備業の質の向上を図る」と明記、産業としての育成・発展にも言及する見込み。9年前の13年に閣議決定した現行戦略の記述「警備業法の適切な運用を通じ、生活安全産業として警備業の質の向上を図る」に比べ政府の警備業に対する大きな期待がうかがえるものとなりそうだ。

このほか新戦略は、サイバー事案への対処体制の強化など「デジタル社会に対応した世界最高水準の安全なサイバー空間の確保」、G7サミットなど大規模行事を見据えた「国内外の情勢に応じたテロ対策」、刑務所出所者への就労支援など「再犯防止対策の推進」、暴力団などへの取り締まり強化など「組織的・常習的に行われる悪質な犯罪への対処」、児童虐待防止など「子供・女性・高齢者など全ての人が安心して暮らせる社会環境の実現」――などについて具体的な取り組み方針を示している。

仙台で「安全安心パレード」2022.12.21

宮城警協会員と青年部が参加

東北一の繁華街で年の瀬に防犯を呼び掛け――。宮城県警備業協会(氏家仁会長)は、12月6日開催の「仙台市国分町地区安全安心パレード」(主催=国分町地区安全安心街づくり協議会、仙台中央警察署ほか)に参加した。

町内会や交通・防犯関係団体などから50人が参加。宮城警協の会員と青年部(小屋広和部長=日本パトロール警備保障)の有志23人は、県警察本部生活安全部長、同交通部長、同刑事部組織犯罪対策局長などとともに同市青葉区内の繁華街・国分町をパレードし、買い物客や忘年会に向かう人々に飲酒運転の根絶、迷惑な客引き禁止、暴力団追放を呼び掛けた。

小屋部長は「歳末のパレードに警備業者が積極的に参加し、皆さまから『ご苦労さまです』などの声を掛けていただいた。警備業に寄せられる県民の方々の信頼を改めて実感する機会になりました」と話している。

警備業今年のニュース102022.12.21

全国警備業協会は創立50周年を迎え、全国の各警備業協会も節目の年となり記念式典が開催された。全警協は自然災害への対応に出動した警備員を守るためのガイドラインを作成、具体的な手順を示した。また、デジタル化の推進によって警備業法では「特別講習」などの見直しが対象とされた。

全警協が「倫理要綱」「自主行動計画」改訂

全警協は9月28日、「警備業経営者のための倫理要綱」と「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」を改訂した。「適正取引・適正料金で処遇UP!!」の“スローガン”も新たに制定した。

改訂は全警協が今夏に実施した加盟社への「フォローアップ調査」の結果と、政府の適正取引へ向けた新たな取り組みなどを受けたもの。

要綱の<経営基盤の強化とモラルの向上>では、適正取引推進のための自主行動計画の実践、公正な競争による適正警備料金の確保、これを原資とした処遇と職場環境の改善を呼び掛けた。適正取引の取り組みを阻害する「ダンピングの禁止」を初めて明記した。

災害出動警備員の安全ガイドライン

全警協は、自然災害への対応に出動した警備員を守り持続可能な災害支援を行うため、「警備員の安全確保のためのガイドライン」を作成した。ガイドラインには警備員が安全に避難するための具体的な目安や手順、方法などを示した。

また、都道府県警備業協会が警察や自治体と結んでいる災害時の支援協定を見直す際の「ひな型」も作成。協定に「費用負担」と「出動警備員への補償」「警備料金は直近の公共工事設計労務単価を基準とすること」などを盛り込むこと明記した。

「同ガイドライン」と「ひな型」は全警協理事会で正式決定し、都道府県警備業協会に通知された。今後、都道府県警備業協会が行う経営者研修会などで周知を図る。

青年部会広がる 〝横の連携〟深め活動

都道府県警備業協会の青年部会は発足の動きが広がり、37部会となった。次世代の業界発展に向けて青年部会同士が活動を共にする“横の連携”を一段と深めた年となった。

2月に東北地区警備業協会連合会と北海道警協は青年部の連携強化を図る協定を締結。6月には東京・京都・千葉の3都府県青年部会が初の交流会を開催、「警備員に対するカスタマーハラスメント」などの課題について討議した。関東地区連の青年部会が8月にスタートした。

青年部活動は多様化している。SNSを活用した警備業の広報、労災事故防止の教材となるVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)動画の制作、建設業界の青年部会との意見交換会などが行われた。

今秋に予定されていた全国規模の青年部会長会議はコロナ禍で延期され、来年3月に開催。来年は1月に岐阜警協、2月に新潟警協で青年部会が発足予定。“青年部ならでは”の活動にさらなる期待が寄せられる。

全警協創立50周年 各警協も節目に

全警協が創立50周年を迎え、11月7日に記念式典を開催。警備業法制定の1972年に26協会・加盟員340社で前身の全国警備業協会連合会が設立された。広島、兵庫、滋賀、神奈川、北海道、島根警備業協会も創立50周年式典で節目を祝った。

「デジタル化」推進 警備業法も対象

行政手続きのデジタル化が推進され、政府のデジタル臨時行政調査会は、従来の「対面」や「書面掲示」などを必要とする規制に対する見直しを行っている。警備業法では「認定証の掲示」「警備員指導教育責任者の専任」「特別講習」などが見直しの対象とされる。

DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応は、あらゆる業界・企業の課題となった。警備業界ではeラーニングを活用した教育、AI機器など先端技術による警備強化、勤怠管理システムの導入で警備員と管制担当者の負担軽減、リモート会議の拡充、文書のペーパーレス化など、より効率を高める取り組みが求められている。

警備業1万社超え 警備員は約59万人

警察庁が7月1日に公表した2021年12月末現在の「警備業概況」によれば、全国の警備業者数(警備業法第4条の認定業者)は1万359業者、警備員数は58万9938人だった。それぞれ前年より246業者(2.4%)、1574人(0.3%)増加。警備業者数は、20年に続き1万社を超えて過去最多を更新した。

全警協が調査した加盟社の21年末の売上高は3兆4537億円で前年の3兆4734億円を約200億円下回った。業者数の増加が1社あたりの売上高を引き下げたとみられる。

警備業者の内訳は、「2号」が最も多く同220業者増の7854業者、次いで「1号」の同56業者減の6897業者など。増加が著しかった2号の内訳は、「交通誘導」同245業者増の7624業者、「雑踏」同163業者増の4226業者だった。

警備業者の警備員数別の状況は、「警備員数100人未満」が計9301業者で全体の約9割を占めた。

女性警備員は前年より280人増の3万9812人。前年と同じ全警備員数の6.7%を占めた。

労災多発11%増 殉職者慰霊祭へ

全警協が加盟員を対象に行った「2021年度労働災害事故実態調査」の結果が11月に発表された。被災者数、被災件数ともに前年と比較して約11%も増加したことがわかった。なかでも通勤中の被災者数は22%と大幅に増加して、過去最悪となった。

死亡者数は27人で前年比12%増加し、うち19人は「交通事故」が原因だった。警備員に対して業務ごとに発生しやすい事故の傾向を周知徹底し、業界を挙げて労働災害防止対策を一層強化する必要がある。

全警協は23年2月22日、初の「殉職者慰霊祭」を都内で開催する。19年度から21年度の間に労働災害の認定を受け殉職した警備員を対象に殉職者名簿の奉納などを予定している。 

「最賃」過去最高額 全国平均961円

2022年度の47都道府県の最低賃金が、8月23日までに決定、10月1日から全国で順次発効した。全国加重平均の最賃額は、21年度比31円増の961円、引き上げ率は昨年度の3.1%を上回る3.3%。同制度がスタートした1978年以降最高額となった。

地域別では、大阪が1023円となり、1000円超の地域は東京・神奈川に加え3都府県となった。これまで800円台だった北海道・茨城・栃木・富山・長野・岐阜・滋賀・広島・福岡の9道県は初の900円台となった。

引き上げは、政府の「できる限り早期に全国加重平均1000円以上を目指す」を明記した閣議決定「新しい資本主義グランドデザイン」や「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太)などに“配意”した。

セコムがセノンを子会社化

警備業界売上高1位のセコム(尾関一郎社長)は7月1日、同6位(ともに本紙調べ)のセノン(小谷野宗靖社長=当時、現・稲葉誠社長)の株式55.1%を取得し、子会社化した。取得総額は約270億円。

島根・吉岡氏が叙勲 警備業から33人目

秋の叙勲で島根県警備業協会会長の吉岡健二郎氏(セコム山陰顧問)が旭日双光章を受章した。警備業界からの受章は33人目となった。吉岡氏は07年から島根警協会長、今年から中国地区警備業協会連合会会長、全警協の理事に就任。