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警備員3人に「知事表彰」2018.12.11

熊本警協、初の快挙

技能の振興や向上に大きな功績があったとして熊本県警備業協会(西恭介会長)の加盟会社警備員3人に“熊本県知事表彰”が贈られた。

今年度、県内では認定職業訓練関係優良指導者として3人、優秀技能者として19人など計28人・1事業所が知事表彰を受賞したが、同時3人の受賞は熊本警協のみ。また、警備員への知事表彰は、県内警備業界で初めての快挙となった。

「認定職業訓練関係優良指導者」として表彰されたのは平迫裕治さん(ビル環境熊本=菅原幸治代表取締役社長)。熊本警協が運営する県警備業職業訓練校の主任講師として長年にわたり運営と認定職業訓練の推進に従事、その功績が顕著だったことが評価された。

「優秀技能者」として表彰された曽我由佳里さん(熊本空港警備=村田信一代表取締役社長)と下釜満憲さん(キューネット=西川尚希代表取締役社長)は、極めて優秀な技能を有し、かつ就業を通じて後進技能者の指導を行い技能者の育成に寄与した功績。

3人には11月21日に熊本市内のホテルで開催された「熊本県職業能力開発促進大会」の席上で表彰状が贈られた。

四国、中国両地区連が連携2018.12.11

「災害支援」で協力

中国地区連と四国地区連は、共通した課題をテーマに連携を深めることで合意――11月29日、徳島市であった四国地区警備業協会連合会(会長=北川豊彦・香川警協会長)の臨時総会に特別参加した中国地区警備業協会連合会(会長=村本尚之・広島警協会長)との2地区連による協議で決まった。

取りあえずは来春に岡山市で開く中国地区連役員会議に四国地区連が参加して「災害支援」などのテーマを持ち寄り意見交換する。その後、共同作業の手はずを順次に整え、本格的な2地区連携の対応策につなげたいとしている。

会議には、四国側から4県の会長、副会長、専務理事が出席。中国地区連から村本会長、吉岡健二郎副会長(島根警協会長)、加藤博時事務局長(広島警協・専務理事)が参加した。

〈瀬戸内海をまたいで〉の連携は、2本の橋(瀬戸大橋=岡山⇔香川、瀬戸内しまなみ海道=広島⇔愛媛)で結ばれていることから、かねてより双方で語られていた。現実味が増したのは今夏に広島、岡山、愛媛3県で甚大な被害が発生した西日本豪雨災害だった。

3県の警備業協会は、県・市などの自治体、県警本部から警備員の派遣を要請され、交通規制、避難場所の警備などに協力、防犯パトロールも実施した。そこで思い知らされたのが「警備員不足」だった。また、警察庁が来年度から管区分けで、中・四国警察局が組織統合することも連携の機運を高めることになった。

参会者からは「28年秋の四国地区連総会で中国地区連との連携の提案がなされ、今日の会合が持たれたことは感慨深い」(北川会長)、「連携を深めることは、両地区連にとって意味のあること」(村本会長)、「今後、災害は規模の拡大と頻発が予想される。隣接県だけでなく、四国からの支援も必要になる」(吉岡会長)、「被災した当県にとって連携は願ってもないこと」(愛媛・二宮義晴会長)、「災害だけでなく、人手不足など共通課題についても意見交換したい」(加藤事務局長)など、多くの賛同意見が交わされた。

会議に加わった全警協の福島克臣専務理事は、「広域的な災害への対応など歓迎すべきこと。岡山市での初会合(来春)に期待している」と語った。

特集ワイド 年末年始 事故防ごう2018.12.11

2018年も残すところわずか。例年、交通事故の死傷者数と発生件数は12月がピークとなる。警備員の労災事故も昨年度、12月から1月にかけて多発した。暮れの慌ただしさの中、経営側と警備員は、改めて安全意識を高めて労災事故を防ぐ取り組みが求められる。全国警備業協会(青山幸恭会長)の調査から、施設警備、交通誘導警備、貴重品運搬警備について、それぞれの事故防止ポイントをまとめた。

全警協が加盟会社(6773社)を対象に行った「労働災害事故実態調査」によると、2017年度(昨年4月1日〜今年3月31日)の労災事故の件数は、業務に就いている時の災害が1593件(うち警備員の被災は1507件で1526人)、通勤途中での災害が614件。業務災害と通勤災害を合わせると計2207件で前年度に比べて8.6パーセント増加した。

警備員が被災した1507件の発生件数を月別で見ると、1月が185件と最多だ。次いで7月が165件、12月が137件と続く。7月は暑さによる熱中症、12月と1月は年末年始で人や車の移動が活発化することに加えて公共工事の繁忙期を迎えて、警備員の負担が増えたことが影響したと見られる。

転倒対策をチェック

実態調査で、1号警備業務に従事中に被災した警備員は622人で、「事故の型」は「転倒」が287人にのぼった。転倒を防ぐため、施設の階段や段差など危険箇所について、また過去の事故事例や予測される事故に関して、経営側は現場の警備員に周知させる必要がある。

警備業に限らず、転倒は全ての労働災害の中で最も多い。中央労働災害防止協会(中災防)は「年末年始無災害運動」(12月15日〜2019年1月15日)を行い、“事故を防いで明るい新年”を迎えるよう取り組みの強化を呼び掛ける。

同運動を広報するリーフレットの中に、転倒災害を防止ぐためのチェック項目がある。警備現場に危険箇所がないか、再確認すべきだ。

不測の事態に備える

前記の実態調査で、業務災害における警備員の死亡者数は25人で、うち2号警備業務での死亡は20人だった。交通誘導警備員の安全を守る取り組みの強化が求められる中、山口県警備業協会(豊島貴子会長)は「交通誘導警備業務受傷防止訓練」を11月6日に行った。

特別講習講師の指導のもと、警備員指導教育責任者など14人が参加。車線規制で警備員が機材を設置中に、車が規制帯に突っ込んでくる状況などを想定。車の接近を監視する警備員が警笛を鳴らし、機材設置中の警備員が速やかに避難する実技などに取り組んだ。

指導した上川高太郎主任講師(中国警備保障)は、事故防止のポイントを次のように話す。「昨今は、高齢ドライバーの思わぬ運転ミスも起こるため、常に車の動きをしっかり見て不測の事態に備えなければならない。1人の隊員が資機材の設置と車の監視の両方を行うのではなく、2人以上で役割分担することが重要になる。こうした安全確保に向けた警備員の増員についてユーザーに理解してもらうことが大切と考えます」。

冬場の事故防止策として「日没が早まるので、視認性の高い『反射ベスト』の着用は欠かせない。寒い時期なので準備体操を入念に行って体をほぐしてほしい。特に高齢の警備員は、腰や足のケアが肝要です」と上川主任講師は指摘する。

パートナーと連携

多額の現金が動く年末にかけて、貴重品運搬警備は特に警戒強化と安全運転が求められる。重要なのは、パートナーとなる相勤者との緊密な連携だ。現金輸送車を降りて貴重品を搬入する際、相勤者との打ち合わせ通りに周囲を警戒して行動する。また警戒棒や防刃チョッキなど装備品を正しく装着した上で、「指差呼称」など日頃の訓練で行っている取り組みを忠実に実行する。相勤者とともに“スキを見せない警備”を行うことは、襲撃の機会を狙う者に犯行を断念させる効果があるという。

安全運転のポイントは、中災防の「警備業における労働災害防止のガイドライン」によれば(1)楽観的な“だろう運転”でなく、より慎重な“かもしれない運転”を心掛ける(2)雪の日は、路面凍結によるスリップを防ぐため、速度を控えて早い段階でブレーキをかける(3)眠気、疲労、目の疲れ等が感じられた場合は、数分間の休憩を入れる――などがある。


全ての警備業務に共通して、身体感覚を鈍らせないために十分な睡眠をとり健康管理に留意することが大切だ。季節柄、うがいや手洗いを励行して感染症の予防に注意を払うことも欠かせない。