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令和元年度「秋の叙勲」2019.12.21

千葉警協宮﨑氏、元全警協佐戸氏に伝達

「秋の叙勲」で旭日小綬章を受章した宮﨑武則氏(70、千葉県警備業協会顧問)と、瑞宝小綬章を受章した佐戸誠治氏(71、全国警備業協会元常務理事)は12月10日、都内で行われた叙勲伝達式に出席した。

勲記と勲章を伝達された両氏は皇居に移動し、天皇陛下に拝謁した。

宮﨑氏の話 武田良太国家公安委員長から勲記・勲章を伝達された際は、感慨もひとしおでした。天皇陛下拝謁では慈悲あふれるお言葉を賜り、生涯忘れることのない名誉となりました。

佐戸氏の話 何よりも責任の重さを痛感しました。天皇陛下のお言葉を深く心に刻み、常に「自利利他」の気持ちで社会貢献する決意を新たにしました。

警備員3人死傷2019.12.21

工事現場にタンクローリー

12月11日未明、千葉県内の国道で行われていた下水道工事現場にタンクローリーが突入、3人の警備員を含む7人が死傷した。警備員は1人(50)が死亡、2人が軽傷だった。

一般車両が通行する道路(現道)での工事では、車両が工事区域に突入する「もらい事故」が数多く発生し、現場の最前線で交通誘導に当たる警備員が被災するケースが多い。

対策としては、予告灯や照明の多用など現場の遠方からの視認性向上、車両突入時の衝撃を緩衝するための資機材の設置などがある。

交通量が増加する年末から年度末。今回の事故を教訓に、現場の安全対策を再確認する必要がある。

2019年を振り返る 警備業今年のニュース102019.12.21

新元号となった2019年は警備業にとって大きな変化があった一年だった。教育時間数が削減されて警備会社に教育の裁量が委ねられるようになった。「働き方改革」によって年休付与が義務化され残業規制も始まり、守らない場合は罰則が課せられることとなった。政治連盟発足や長野警協が有償で被災地警備を手掛けるなど、警備業界の発展につながる動きもあった。

業法規則改正 教育負担が軽減

警備員の教育時間を大幅に短縮――。警察庁は警備業法施行規則を8月30日に改正、同日施行した。検定合格者などを除く人に対する「新任教育」は30時間以上から20時間以上に、「現任教育」は16時間以上から10時間以上に削減された。現任教育はこれまで半期ごとに実施が義務付けられていたが、年1回の実施で済むようになった。

教育負担軽減の一方で、これまでと同様の警備員の質を確保できるか、各警備会社の教育への取り組みが問われる。

空港保安と雑踏の警備業務の配置基準も見直した。警備する場所の防犯カメラやセンサーといった情報通信技術の利用状況を勘案して、検定合格者を配置する場所の範囲を決める。

「働き方改革」年休付与義務化

「働き方改革関連法」が4月1日に施行され、企業は年間10日以上の年次有給休暇保有者に対して5日の休暇を付与することが義務となった。違反すれば、会社には法違反の対象となった従業員1人当たり30万円以下の罰金が科せられる。警備業法においても行政処分の対象となる。

長時間労働の規制も強化した。時間外労働を原則で月45時間、年間360時間以内と定め、大企業には4月1日から適用された。中小企業は2020年4月から適用となる。人手不足に苦しむ警備業界は警備料金の値上げや人材採用などで対応することが求められる。

ラグビーW杯会場内外を警備

9月から11月にかけて行われたラグビーW杯で、警備会社が会場内外を警備した。セコム、ALSOK、シミズオクトグループが会場内警備を担当。会場外は地元警備会社を中心に警備業務に当たった。

東京スタジアム(東京都調布市)であった日本対ロシアの開幕戦では、会場外警備をALSOKが担当。最寄り駅から会場までの“ラストマイル”上の警備員は離れた場所に画像を送信できるカメラを帽子に装着して、警備本部から指示を受けたり現場から確認を促した。

開幕戦の会場内警備はセコムが担当。入場ゲートで手荷物を開披しての検査やハンディー型金属探知機によるボディーチェックを行った。

業務に当たった警備会社は、W杯の経験を来年の「東京2020」警備に生かす。

全警協会長に中山氏が就任

中山新体制がスタート――。

5年にわたり全国警備業協会の会長を務めた青山幸恭氏(ALSOK)に代わり、中山泰男氏(セコム)が会長に就任した。新たな副会長には村井豪氏(ALSOK)が就任した。

中山会長は6月5日の総会で、人材不足や働き方改革などの諸課題に「チャレンジ精神」と「警備員ファースト」の心構えで臨むとあいさつした。警備業のあり方や存在意義、全警協としての取り組みの方向性を明らかにして協会運営に生かすための委員会も設けた。

初の政治団体「全警連」が発足

警備業初の全国政治団体「全国警備業連盟」(青山幸恭理事長)が5月12日に発足した。業界発展のため、政党や政治家などへの要請活動や調査研究などを行う。青山理事長は設立記念パーティーで「現場の警備員が誇りを持って働くことができる環境を整備したい」と述べた。

全国に先立ち1月28日に鹿児島県警備業政治連盟(永山一巳理事長=九州綜合警備保障)が発足。各地に18連盟が設立された(12月21日現在)。

労務単価上昇も人手不足が続く

労務単価は上昇、最低賃金は初の1000円超え。それでも人手不足は続く――。2019年度の国土交通省公共工事設計労務単価は、全国・全職種で加重平均単価が過去最高の1万9392円となった。交通誘導警備員は検定合格警備員が6.8パーセント上昇の1万3682円、それ以外が7.0パーセント上昇の1万1998円と大きく増えた。最低賃金は東京と神奈川で1000円台となった。

しかし人手不足に歯止めがかからない。多くの業界で人が足りないため、人材の奪い合いになっているからだ。警備各社には仕事のやりがいのアピールなど工夫が求められる。

長野警協、有償で台風被災地を警備

長野県警備業協会(竹花長雅会長)は台風19号の被害を受けた長野市から要請があり、10月22日から有償で警備業務を行った。業務は12月16日で終了。警備料金単価や各種手当などは、昨年の西日本豪雨で県との協定に基づいて有償業務を行った岡山警協の実例を参考にした。

業務内容は市内6か所の被災ごみ集積場の交通誘導警備。毎日、日中と夜間の2交代で行った。57日間で24社から延べ808人が従事した。

台風15号では千葉警協が被災地で防犯パトロールを行い、同19号では宮城警協の青年部会員社が被災地で有償警備やボランティア活動を行った。

災害時の警備業務 労働時間規制外に

厚生労働省は6月、労働時間の適用除外に関する通達「許可基準」を70年ぶりに改正。災害発生時の交通誘導警備業務や大規模システム障害発生に伴う機械警備対処員の対応が、労働基準法第33条に基づく労働時間延長の対象となった。人命や公益保護に必要な業務は認め、経営上の理由による臨時の業務は認めていない。

時間外労働の規制強化の中、警備業は緊急事態発生時に十分な対応が可能となった。一方で警備会社には、警備員にとって過度の負担とならないような体制づくり、運用が求められる。

「警備の日」で青年部がPR

制定5年目となる「警備の日」(11月1日)記念イベントが全国で開かれた。多くの警協では青年部が主体となって警備業をアピールする催しを行った。

東京警協は多くの人が行き交うJR新宿駅の地下広場でイベントを実施。子供から大人まで楽しんでもらえるように、警備服を着ての撮影会や警備ロボットの展示などを行った。

青年部は新たに熊本に1月18日、大分に11月21日発足し、合わせて23部会となった。

警備業から3人が叙勲

警備業から3人が叙勲を受章した。春は若林清氏(大阪警協会長)が旭日小綬章を、上拾石秀一氏(鹿児島警協会長)が旭日双光章を受章。秋は宮﨑武則氏(前千葉警協会長)が旭日小綬章を受章した。