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クローズUP

中国地区連 全警協と初ウェブ会議2022.03.01

Eラーニング、保険で質疑

中国地区警備業協会連合会(会長=村本尚之・広島警協会長)と全国警備業協会(中山泰男会長)は2月14日、初のWeb方式で会議を開催した。

村本会長は「新年度から全警協のeラーニングと警備業賠償責任保険を取り扱う。運営をスムーズに行うためにも各県協会の緊密な連携が重要だ」と述べた。

中山会長は、コロナ禍で活躍する警備員をねぎらいながら、年末に取引環境の是正に向けた政府の会議に出席したことを報告。岸田政権の賃上げ方針を“絶好の好機”と位置付け「適正な警備料金確保に向け、発注者への働き掛けを一段と強力に推進してほしい」と呼び掛けた。

全警協の担当者が4月スタートのeラーニングと6月から適用開始の警備業賠償責任保険を説明した。eラーニングでは「テキストのCD化を求める声が非常に多い」(山口)、「パンフレットの完成時期を知りたい」(岡山)などの質問があり、島根以外の4警協は県警協に受講を申し込む「B」方式を選んだ。全警協の担当者は、eラーニングは「ユーチューブでの配信」が予定され、パンフは近く完成すると回答した。

警備業賠償責任保険は、前回会議で議論した労災の上積みに関する検討状況を尋ねる質問に集中した。

担当者は「労災の上積みは割引率との関係で現時点では難しいが、運用後もニーズが多ければ再度検討する」とした。

地区連は構成する5県協会の連携を強め今後の対応を協議する。

特集ワイド SNS「見てもらう」2022.03.01

警備各社、若者の採用に

インターネット上で情報交換や会話の場を提供するサービス「SNS」(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用する警備会社が増えている。ホームページでは主に企業や警備の情報を発信しているが、SNSは趣味やグルメなど業務と関係のない情報も多い。SNSを活発に利用する若者の興味を引き「会社の存在を知ってもらい、知名度を高めて採用にもつなげる」ためだ。

SNSには「大半の若者が日常的に利用している」「既存メディアよりも拡散力が高い」といった特徴があり、広報・宣伝における有力な手法の一つだと言える。

SNSに着目し活用を始める警備会社が増え、発信力を活用して若者の採用、会社の知名度アップに成功する企業が次第に多くなってきた。成功事例を学ぶ機運も高まり、昨年12月に開かれた東北地区警備業協会連合会青年部サミットでは、協議テーマとして取り上げられ実践事例や具体的な活用方法について活発に意見が交わされた。

同サミットでは青年部の関係者が講演し、SNSの活用に成功している警備会社には共通項があると指摘した。特徴的なのは発信する内容で「情報の多くは趣味の話など業務とは関係がないものである」と説明した。いきなり警備の話をするのではなく、若者が反応しやすい話題を取り上げて「見てもらう」ことに成功したのだという。

警備と関係のない内容というと、見方によっては「遊んでいる」ように思えるかもしれない。だが、伝えたい内容を伝える前提条件は「見てもらう」ことだ。そのためには警備の話よりも趣味やグルメの方が若者向けである。興味を持ってもらえれば双方向の会話が始まり、やがて会社の話にたどり着く。

ここで初めて警備について紹介することになるが、既に多くのやり取りを重ねているから、会社に対するイメージは良好だ。「面白そうな会社、風通しのよい会社」という印象があるため、警備への抵抗感も小さくなっている。

発信する内容は趣味やグルメに限らない。例えば、地域貢献の一環でゴミ拾いなどのボランティア活動を行っている話でもよい。ボランティアに興味がある若者も一定数は存在するから、そこを切り口に彼らと交流できる。関心を引くための「ウソ」を発信してはいけないが「良い会社になるため取り組んでいること」なら何だって話題にできる。

若者に人気があり拡散性も高いSNSを利用しない手はない。成功事例に学べば効果も十分に期待できる。尻込みせずに「まず始めてみる」ことが大事だ。

<ツイッター> 「使い勝手」が良い 信和警備保障

信和警備保障(愛媛県松山市、松岡仁美社長)は、2017年2月から短文投稿サイトのツイッターで情報発信を始めた。当初、明確な目的があったわけではなく「何か面白いことをやりたかった」(三浦久志常務取締役)ことがきっかけだった。

多くのSNSからツイッターを選択した理由は使い勝手の良さだ。フェイスブック(文章や画像のやり取りができる交流サイト)のような実名登録が不要で、インスタグラム(画像や動画の投稿を中心としたサイト)のように画像の出来栄えを気にする必要もない。画像数点と短文だけで投稿できる手軽さが、多忙な日々の中で情報発信することに役立った。

投稿内容は警備業務の紹介や道路交通情報、台風情報を中心に余暇、趣味もあり幅広い。ターゲットは特に絞っていないが、警備業関係者がよく見ているという。労災事故防止の取り組みをツイートした時など、同業他社がリツイート(再投稿)し拡散したこともある。「いつも見ていますよ。面白そうなことをやっていますね」と取引先からも声が掛かる。

ホームページと異なり、ツイッターなら「肩の凝らない」アプローチも可能で「警備業のイメージチェンジにつながる」(三浦常務取締役)と期待する。

半面、自身の意図に反し悪意で解釈され瞬時に拡散する危険性もあるため、言葉の選択を誤れば自社や警備業に対するマイナスイメージが想像以上に広がってしまう。ツイッターは拡散力がSNSの中でもトップクラスのため、言葉で伝える力を常に磨くことが必要となる。

<ティックトック> 「面白い動画」で 大京警備保障

大京警備保障(東京都新宿区、櫻井大輔社長)は、モバイル端末用動画サイトのティックトックを2020年3月から運用している。同社アカウント(情報発信するページ)は昨年12月にフォロワー(登録者)数100万人を突破し、20〜30代の警備員採用拡大にも成功している。

大京警備保障はティックトックを、若者向けの有力なアピール手段として位置付けている。採用サイトなどの求人では若者の応募がゼロに近い状態だったため、若者の利用頻度が高いティックトックで応募者増加を目指すことにした。

当初は直接的な警備の話題を取り上げず、若者の関心が高いグルメなどに焦点を当てた「面白い動画」を主体に投稿した。管理職社員がダンスを踊ったりスイーツを食べるなど、ユニークな動画を中心に投稿し「楽しそうな会社」をアピールしながら若者の興味を引くよう努めた。

ユニークな動画の投稿と並行して求人告知を行ったところ、従来はほとんど応募がなかった20〜30代が多数応募してきた。21年1〜12月の1年間でティックトックからの応募(問い合わせ含む)はおよそ200人、採用はアルバイトを中心に約20人(半数は女性)にのぼった。

同社は今後、ティックトックを求人ツールの柱に据えていく方針で、採用ターゲットも中高年から20〜30代にシフトしていく。「面白い動画」の発信に警備の情報もタイミングよく挟みこみ知名度向上を狙う。