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クローズUP

紙面向上委員会 第16回会合2019.04.01

適正取引、人材確保で議論

本紙は2月20日、第16回の「紙面向上委員会」を開催した。適正取引の推進を掲げる自主行動計画や長期的な人材確保に向けた方策、働き方改革関連法への対応などについて議論が行われた。

第8回から委員を務めた絵野裕美氏(東洋相互警備保障代表取締役社長、東京警協女性部会「すみれ会」委員)が退任し、平林尚子氏(神奈川警備保障代表取締役、神奈川県警備業協会理事・横浜東支部長)が委員に就任した。平林氏は米国のIT企業などが活用する心理療法「NLP(神経言語プログラミング)」の米国協会トレーナー資格を持ち、メンタルヘルスに造詣が深い。今回は、従業員のモチベーションを高める「キャリアアップ助成金」の活用や、職場のハラスメント予防について述べた。

田中敏也氏(リライアンス・セキュリティー)は、自主行動計画の浸透に向けて「警備業者の主体性」を強調。働き方改革への対応が人材確保につながると指摘した。

齋藤文夫氏(前全国警備業協会)は、警備業の人手不足対策として、今まで以上に“門戸を広げる”時代が来ていることを訴えた。

早川正行氏(元神奈川県警備業協会)は、警備業有志による政治連盟の設立に言及し、業界の成熟と発展について述べた。

水道工事の交通誘導 費用積算を改定2019.04.01

厚労省「交代要員」含める

4月から全国で実施される「水道施設整備工事」での交通誘導警備員に関する費用計上方法が改定される。3月20日、厚生労働省が開いた「全国水道関係担当者会議」で明らかにした。対象となる工事は、全国の自治体が厚労省の補助金や交付金を活用して行う水道施設の整備工事。工事費総額は約750億円。

これまで同工事に従事する交通誘導警備員の“交代要員”の費用は、「割増係数」による積み上げで積算されてきた。この方法では、例えば1日4人の警備員と1人の交代要員が必要な工事では、実際には5人の警備員が従事するにもかかわらず、交代要員は割増係数(0.8など)で計算し、0.58人とカウントされる。積算では「警備員4.8人勤務」とされ、実際の5人勤務とは隔たりがあった。今後は割増係数による積み上げを廃止し、工事の制約条件を踏まえた実際に適用される交通規制などを元に、交代要員も含めた必要な警備員の配置人数を計上して積算する。

また、国土交通省が12日に行った「土木工事・業務の積算基準等の改定」(3月21日号・1面)などに合わせた積算法などの見直しも実施、建設業の働き方改革を後押しする。

具体的には、週休2日制を行う工事での労務費や機械経費(賃料)、共通仮設費、現場管理費などへの“補正係数”の適用や、水道施設整備工事全般での一般管理費などの率の引き上げなど。これら見直しにより水道施設整備工事の予定価格は、数パーセントアップする見込みだ。

同省は今回の改定を3月29日に全国の自治体に通知。自治体の自主財源で行われる相当数の水道施設整備工事でも積算方法の見直しが進むものとみられる。

特集ワイド 警備業の未来守る信2019.04.01

警備業界は人手不足などの課題を抱える中、各地警協の青年部会と女性部会は警備業の未来を守るために、有効な人材募集策の考案や女性活躍促進などに取り組んでいる。3月5日に全国警備業協会の「青年・女性部会全国合同会議」で発表された千葉県警備業協会青年部会と岐阜県警備業協会女性部会の取り組みと、前年度新設された部会の活動を紹介する。

千葉警協青年部会 求人チラシ工夫

千葉警協青年部会の邨田昌英・前部会長が発表、求人のためのチラシ作成・配布の成功例を紹介した。

「警備業の未来を守るためには人手不足解消が鍵となる」。そう考えた部会員は、多くの人に警備の仕事に関心を持ってもらうためのチラシを作ることを決めた。どのようなものを作れば効果が上がるのかと、熱い議論が交わされた。

まずチラシに興味を持ってもらい、持ち帰ってもらうことが大切だと考えた。表面は1990年代にヒットした絵本「ウォーリーをさがせ!」をイメージして、街のさまざまな現場で働く警備員を探すというものにした。

裏面には、施設警備や空港保安警備など各職種を親しみやすいイラストとともに紹介している。県内のハローワークに2000部配布したところ、たちまち在庫がなくなり増刷を決めた。

3月8日に千葉市のハローワークで青年部会が警備業界の説明会を開いたところ、36人が参加した。邨田前部会長はこの結果について「警備業単独の説明会ではこれまでにない多い人数だった。いきなり警備業をアピールするのではなく、『この絵が描いてあるチラシは何だろう』と興味を持ってもらう狙いが成功した」と話した。このチラシは合同会議でも注目され、参加者からは「工夫次第で人は集まる」といった声が聞かれた。

岐阜警協女性部会 おしゃれな制服

岐阜警協女性部会は警備員不足を補うために、県下の女性警備員を現在の225人から550人に倍増する計画を掲げている。中西昌美部会長は3月5日の発表で「全警備員構成比率でいえば、4.2パーセントから10パーセントまで引き上げる“壮大な計画”だが、達成したい」と話した。

目標実現のためには(1)現在働いている女性警備員の職場環境改善による永続勤務の実現(2)警備業界のイメージアップによる人材獲得――の2つが鍵になると考えている。昨年6月に女性経営者と女性警備員による意見交換会を開くとともに、警備業界以外で働く女性へのアンケートを行った。

寄せられた意見や結果は現状では対応することが難しいものばかりだったが、SNSにアップした意見交換会の模様を読んだ全国の女性警備員から励ましの声が寄せられた。今後は意見交換会に県外からの参加者を募ることで、より幅広い意見を集める。

意見交換会での「着心地の良いおしゃれな制服が欲しい」という声を受けて、協会と協力して県内の女性警備員がそろって着用する統一の制服づくりに取り組んでいる。4月からデザインを募集し、10月下旬に発表する。

熊本警協青年部会 誘導合図統一へ

 

熊本警協の青年部会(松本智行部会長)は、3年前の熊本地震の影響による人手不足対策や警備員のレベルアップを図ることを目的に、会員企業の若手社員が中心となって自主的に立ち上げた。部会員は各社の部長や係長といったメンバーだ。

部会での今後の活動や検討したい課題を昨年12月から募集した。「各社で異なる交通誘導警備の合図や施設警備の巡回手順を会員で統一化できないか」や「自治体のイベントや祭りに参加して警備業をアピールしたい」などの意見が寄せられた。

富山警協青年部会 情報交換会開く

富山警協の青年部会(和田額謹部会長)は3月20日、隣接する石川警協青年部会と人手不足対策や発注主との適正取引などについての情報交換会を開いた(5面に関連記事)。和田部会長は情報交換会のあいさつで「多様な意見やアイデアを集めるため、今後も他県との情報交換会を開き警備業界への貢献につながる活動をしたい」と意気込みを述べた。

山口警協青年部会 「警備の日」PR

山口警協青年部会(山田博部会長)は昨年10月に山口県警察本部と合同で「うそ電話詐欺撲滅、自転車の盗難防止」と「警備の日」をピーアールする街頭キャンペーンを行った。通行人に啓発チラシや警備の日を紹介するチラシ、ポケットティッシュを手渡した。

街頭キャンペーンには豊島貴子山口警協会長も参加。豊島会長は警備業としての責務を果たしながら犯罪を防ぐ見守り活動をすると宣言した。

このほか11月には労災防止訓練を行った。