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クローズUP

高齢者の「孤独解消」2023.04.01

セコム 新サービス「あのね」発表

一人暮らしの高齢者の「孤独解消」をロボットが支援――。セコム(東京都渋谷区、尾関一郎社長)は、ディー・エヌ・エー(DeNA・渋谷区、岡村信悟社長)とロボットを使ったシニア向けコミュニケーションサービス「あのね」を共同開発、4月3日から販売を開始する。

サービスはセコムとDeNAが開発したシステム上でユカイ工業(東京都新宿区、青木俊介代表取締役)のコミュニケーションロボット「BOCCO emo(ボッコ・エモ)」を使用。ロボットを通じてコミュニケーター(伝達者)と遠隔で会話を楽しむことで、人とつながる安心感を提供する。

セコムは3月15日、本社内で報道関係者に向けた説明会を開催。サービスの概要と開発の経緯を説明し、デモンストレーションを行った。

上田理常務執行役員は「シニアの方々に、いつも誰かとつながっている安心感を感じていただきながら孤独の解消を図り、リスクの低減を目指します」と述べた。

政府、育休制度充実へ2023.04.01

手取り賃金100%給付

岸田文雄首相は3月17日、少子化対策として育児休業制度の充実や社会保険の適用拡大などを行うことを明らかにした。3月末に取りまとめた“たたき台”に盛り込んだ。

育児休業については、男性の育休取得率を、現行の政府目標「2025年度までに30%」(21年度実績は13.97%)を大幅に引き上げて「25年度・50%」「30年度・85%」とする。

同目標達成のため、企業ごとの取り組み状況の開示を進める(4月1日施行の改正育児・介護休業法では、労働者数1000人超の事業主に育児休業などの取得状況を年1回公表することを義務化)。特に、育休取得を促進する体制整備を行う中小企業には別途支援策を検討する。

現行制度では育児期間中に完全に休業した場合のみに育児休業給付が支給されるが、今後は希望に応じて時短勤務時にも給付が行われるよう見直す。また、産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り賃金の100%(現行は賃金の50%または67%)に引き上げるなど、正規雇用、非正規雇用に関わらず、育休中の所得減少に対して支援する。

社保適用拡大は、女性など短時間労働者への被用者保険の適用を拡大する。最低賃金の引き上げと相まって、希望どおり働くことで世帯収入の増加を図る。一方で、社保加入や税控除がなくなることによる手取り賃金の目減り、いわゆる「106万円の壁」「130万円の壁」を超えても手取り賃金が減少しないための支援や制度見直しも行う。

特集ワイド シニアを見守る2023.04.01

セコム(東京都渋谷区、尾関一郎社長)とディー・エヌ・エー(DeNA・東京都渋谷区、岡村信悟社長)によるロボットを使ったシニア向けコミュニケーションサービス「あのね」は、高齢化社会に向けた警備業の新たな取り組みとして注目を集めそうだ。セコム本社で行われた発表会から、サービスの内容と開発までの経緯、超高齢化社会に果たす役割をまとめた。

サービス「あのね」の発表会はセコム本社1階のコラボレーションスペース「HARAJUKU 3rd Place」で3月15日〜17日の3日間、合計9回にわたって行われた。セコムから上田理常務執行役員企画開発担当、SMARTプロジェクトの辻村康弘サブリーダーと船山由起子主任、DeNAから吉田航太朗エンタープライズ事業部事業部長の4人が説明した。少人数ずつ参加した報道関係者からは多くの感想や意見が寄せられた。

「あのね」は利用者と、話し相手となるコミュニケーター(伝達者)がユカイ工学(東京都新宿区、青木俊介代表取締役)の「BOCCO emo(ボッコ エモ)」というロボットを通じてコミュニケーションをとり、利用者を見守るサービスだ。コミュニケーションで生活に関わる悩みを解決し、認知症など生活リスクの低減と孤独解消でイキイキとした張りのある生活の実現をサポートする。

あのねという名称は、親しい間柄では「あのね」という呼び掛けから会話が始ってコミュニケーションが広がり、今回のサービスの内容と重なることから選定。ロゴは社会とのつながりを示す“一筆書き風”のデザインとした。

ロボットに「ボッコ エモ」を選んだ理由は、インターネット環境がなくても稼働するSIM(シム)を内蔵し携帯電話回線を使用した通信が可能なことからだ。あらかじめ設定済みの状態で出荷され、電源を入れるだけで会話が可能。操作ボタンは押しながら話す「録音用」ともう一度聞く「再生用」の2つのみ。鼻は音量の調整つまみとなっている。サイズは高さ141ミリで重さ330グラムだ。

コミュニケーションは大きく「定期メッセージ」と「日常会話」の2つがある。定期メッセージは「朝のあいさつ」や「薬を飲む時間のお知らせ」などスケジュールに合わせてボッコ エモから利用者に声掛けするもの。日常会話は、利用者が録音した音声に対して返事をする。

システム運用の流れとして定期メッセージの場合は、まず高齢者の基本的な生活習慣をヒアリングし、結果をもとに定期メッセージの内容・スケジュールをコミュニケーターが登録。そのデータはサービス用に構築した「あのね・サーバー」で管理する。データをもとに配信時間にユカイ工学の「ボッコ エモ・サーバー」を通じて利用者に音声が届く。

「日常の会話」は、利用者が任意の時簡に音声を録音すると「ボッコ エモ・サーバー」に上げられ音声認識のAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス=ソフトウエアやプログラムをつなぐインターフェイス)を通じてテキスト変換する。音声データとテキストデータは「あのね・サーバー」に送信されコミュニケーターが内容を確認。返答をテキスト入力し「あのね・サーバー」から「ボッコ エモ・サーバー」へ送信、ボッコ エモから利用者にメッセージが届けられる。

「セコム」「DeNA」役割分担

セコムは2017年に「セコムグループ2030ビジョン」を公表し、思いを共にする「産・官・学」と技術や知識を持ち寄って社会に安全安心を提供する「あんしんプラットフォーム」構想を推進している。その一環で今回、“共想”戦略のパートナーとしてもインターネット関連企業のDeNAを迎えた。

セコムとDeNAは連携し、それぞれの得意分野を活かし協力会社ともコラボレーションしながら今後、機能拡充を図る。役割分担は、セコムは販売・契約、電話による問い合わせなど対応、対面によるサポートを担当。DeNAは定期的なメッセージの配信、ユーザーからのメッセージに対する返信、雑談などの日常会話などを担当する。

販売対象は、ひとり暮らしの後期高齢者を想定。販売開始は4月3日で、料金は初期費用5万2800円、月額4950円(どちらも税込)。3年で2万台の提供を目指している。