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福岡・宮崎警協 鳥インフル出動2020.12.21

「消毒ポイント」で交通誘導

西日本で「高病原性鳥インフルエンザ」の発生が相次いでいる。福岡・宮崎両県では「防疫協定」に基づき県警備業協会が出動。「消毒ポイント」で3交代24時間体制の交通誘導警備を行い、まん延防止に取り組んでいる。

福岡県警備業協会(折田康徳会長)は11月25日、県北部・宗像市内での鳥インフルエンザ発生を受け、県農林水産部畜産課から「緊急支援業務」を要請された。要請は2012年に締結した「口蹄疫等防疫支援に関する協定」に基づく。

業務内容は、鳥インフル発生農場に出入りする車両を、6か所の消毒ポイントで安全に誘導するというもの。同日から加盟6社が交通誘導警備を開始した。

業務は、1現場1人配置で3交代24時間体制。各現場とも計3人の警備員が昼夜にわたり関係車両の交通誘導警備に当たった。

年末の繁忙期、しかも人手不足の中での出動で、各社は他現場の人員を削って警備員を派遣した。このため福岡警協は、支援業務に協力する加盟社に対し、業務従事警備員1人につき1時間当たり500円の助成を12月9日に開いた理事会で決定。原資は同協会が積み立てている「災害対策費」から捻出した。警備料金については、福岡警協が県に対し、国土交通省の「公共工事設計労務単価」に法定福利費相当額など必要経費約41パーセントを付加した料金を参考値として提示。これを基に県と警備会社が個別に交渉、料金を決定する。

宮崎県では12月1日、県北東部の日向市内で鳥インフル発生が確認。県警備業協会(福田保会長)は県農林振興局から同日、消毒ポイントでの交通誘導警備を要請された。期間は23日までだが状況次第で延長も予想される。要請は11年締結の「口蹄疫等の防疫対策に関する協定」に基づく。警協加盟4社が、5か所の消毒ポイントでの交通誘導警備に当たっている。

鳥インフルは、香川や広島など警備業協会と県が防疫協定を結んでいない地域でも発生。これら地域では、警協加盟の地元大手警備会社が県との窓口となり他社の協力を得て業務を行うなどの対応を行っている。

入院児童に絵本贈る2020.12.21

埼玉警協大宮支部

埼玉県警備業協会の大宮支部(炭谷勝支部長=トップセキュリティ)は12月15日、昨年に続き県立小児医療センター(さいたま市)に絵本など児童図書20冊をプレゼントした。

同センターには現在、15歳までの約260人が入院。クリスマスや年末年始も病院で過ごす子供も多い。

警備業今年のニュース102020.12.21

「オリンピック」1年後に延期

オリンピック・パラリンピックは仕切り直し――。新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、国際オリンピック委員会と大会組織委員会は3月24日、大会の1年延期を決めた。五輪の延期は史上初。3月26日からスタートする予定の全国を巡る聖火リレーも延期となった。

大会を警備する複数の警備会社で構成される競技大会警備共同企業体(警備JV)は、必要とされていた1日最大1万4000人の警備員の確保にめどが付いたタイミングでの発表となり、JVメンバーへの説明に追われた。

延期の影響は大会や関連イベントでの業務需要を見込んでいた警備各社にも及んだ。各社は予定されていた業務がキャンセルされたため収入がなくなり、代わりの仕事を探すことを強いられた。

イベント中止、企業経営に打撃

政府は2月26日、大規模なスポーツ大会や文化イベントなどを中止・延期または規模縮小するよう要請した。選抜高校野球大会や東京ドームでのコンサートから卒業式・入学式まで、規模を問わず多くの催しが中止となった。イベント警備業務を手掛ける多くの企業は春に予定さしていた仕事が軒並みキャンセルとなり、経営に打撃を受けた。

4月7日の緊急事態宣言の発令による店舗の休業や航空の減便と運休もあり、影響は施設や航空保安の警備にも及んだ。

上場している警備会社の2021年3月期第2四半期決算は6社中4社が減収となった。通期でも3社が売上減を予想している。

警協の総会縮小、会費減免相次ぐ

各警備業協会の総会は、感染拡大防止のため書面による決議や規模を縮小して行われた。各種研修会や特別講習の多くは中止となったため、資格者の育成に支障が生じている。

感染拡大が加盟社の経営状態に多大な影響を与えていることを考慮して、協会会費の減免が相次いだ。岡山県警備業協会(松尾浩三会長)が今年度の臨時措置として、会費の1〜2か月分の減額を決定したのを皮切りに全国に波及。全国警備業協会(中山泰男会長)も各警協からの会費を減額した。

警協から会員へ、品薄だったマスクや消毒液といった感染対策物資が贈られた。

全警協が感染防止ガイドライン策定

全国警備業協会は警備業の「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を作成、5月14日に都道府県警備業協会に通知した。国の緊急事態宣言時に社会活動維持に不可欠な事業者として挙げられており、事業継続を確保するために行うべきことを列記している。「出勤前に体温や症状の有無を確認させる」「警備員の巡回および現場の対応時は手袋を装着する」などだ。

5月29日にはガイドラインを改訂。夏期の気温・湿度が高い中では熱中症のリスクが高いことから、屋外で少なくとも2メートル以上の対人距離が確保できる場合にはマスクを外すことを認めた。契約先関係者にもマスク不着用の理解を得られるよう努めることを求めた。

聖火リレー警備、キャンセル料確保

オリンピック延期に伴い中止された聖火リレーの警備業務では、キャンセル料を確保できた例もあった。

長野県警備業協会(竹花長雅会長)が窓口となって県から受注した業務では、元請け企業は警備員人件費の80パーセント(2627万円)を請求。契約書にキャンセル時の料金取り決めは記載されていなかったが、中止決定の連絡から業務開始まで10日を切っていたことから県は請求額を支払った。

岐阜県警備業協会(幾田弘文会長)を窓口にした受注では、見積書の記載に基づいて警備料金の50パーセントを県に請求し受領した。

公共工事労務単価、平均2万円越える

国土交通省が2月14日に発表した2020年度の「公共工事設計労務単価」は、全国全職種の平均単価が初めて2万円の大台を突破し2万214円となった、平均伸び率は2・5パーセントだった。

警備業は、交通誘導警備業務の1級または2級の検定合格警備員「交通誘導警備員A」が前年度比2・4パーセント増。地域や標本数などを加味した加重平均の単価は1万4053円(371円増)。「交通誘導警備員B」は同2・2パーセント増。加重平均単価は1万2321円(323円増)となった。警備業の伸び率は、A・Bともに全職種平均を下回った。

全警協が成長戦略アクションプラン

全国警備業協会(中山泰男会長)は6月、警備業が未来に向け、健全に発展するための取り組みを議論する「基本問題諮問委員会(成長戦略を検討する委員会)」を立ち上げた。

メンバーは全国から選ばれた14人。検討するテーマは、「外国人雇用の在り方」「ICT(情報通信技術)などテクノロジーの活用」「成長戦略に役立てる警備業法の見直し」「単価の引き上げ策と経営基盤の強化」「災害時における役割の明確化」だ。

5つの部会で論点を協議、検討を行っており、これまでに3回の全体会議を開いた。来年の全警協総会をめどに「アクションプラン」をまとめる。

五輪へ向け再始動、警備員を追加募集

延期となった五輪・パラリンピックに向けて再始動――。大会組織委員会と大会警備共同企業体(警備JV)は大会警備について精査した結果、当初予定よりも多くの警備員が必要となったため、10月29日から警備会社の追加募集を始めた。

組織委の岩下剛警備局長と警備JVの杉本陽一事務局長らは全国警備業協会や1都3県の警備業協会を訪れ、会員に参加を呼び掛けるように依頼した。

交通費は全国から警備会社が参加しやすいように改善。延期前の募集では上限額が設けられていたものを、首都圏以外からの参加社に対しては東京までの実費を支給する。宿泊施設の確保が難しくなると予想されることから、ホテルは警備JVが手配する。

警備業務の期間は2021年7月9日からパラリンピックが閉会する9月5日まで。

「働き方改革」進む、最高裁が新判断

「働き方改革関連法」の長時間労働規制が、昨年の大企業に続いて4月から中小企業にも適用された。時間外労働は原則45時間、年間360時間内となった。警備員の長時間の“残業”に頼っていた警備会社は人材採用や業務シフト見直しなどを迫られた。

「同一労働同一賃金」は今年4月の大企業への適用に続いて、来年からは中小企業にも適用される。最高裁判所は10月、非正規社員が正社員との待遇差は不合理だと訴えた5つの訴訟で判決を出し、各種手当については「正社員との格差は不合理で違法」と判断。待遇差是正への早急な対応が求められる。

警備業から3人が叙勲

警備業から3人が叙勲を受章した。春は横倉健氏(前千葉警協会長)が旭日小綬章を、内村和人氏(前秋田警協会長)が旭日双光章を受章。秋は中谷保氏(前和歌山警協会長)が旭日双光章を受章した。