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クローズUP

「命を守る努力」 2019.7.11

全警協が全国安全衛生大会

全国警備業協会(中山泰男会長)は7月3日、22回目の「警備業全国安全衛生大会」を都内で開催した。同日開かれた全国専務理事・事務局長会議に出席した専務理事、全警協の労務委員会委員などが参加した。

大会の冒頭、2018年中に労働災害で亡くなった警備員31人、今年亡くなった5人に黙祷が捧げられた。

中山会長は「厳しい警備員不足や働き方改革への適切な対応など課題は山積しているが、労働災害を防ぐ施策を会員と一体となって積極的に推進していきたい」と述べ、一層の協力を呼び掛けた。

労務委員会の佐々木誠委員長(セシム)が「経営トップが自ら現場に赴き、警備員の配置や設置している資機材について確認し、尊い命を守るために努力を重ねなければならない」とする大会宣言案を読み上げ、採択された。

労災防止をテーマに全警協が募集した論文(応募総数150)、ポスター(同140)、標語(同7463)の入選者が表彰された。

岐阜警協 働き方改革テーマに経営者研修会 2019.7.11

改訂・自主行動計画を説明

岐阜県警備業協会(幾田弘文会長)は6月28日、高山市内で「警備業の働き方改革への対応」をテーマに経営者研修会を開催した。講師の全国警備業協会総務部次長・小澤祥一朗氏は「働き方改革を進めるためには、改訂版『適正取引推進に向けた自主行動計画』を活用した適正料金の確保が重要」と強調した。

研修会には、61人が出席した。幾田会長はあいさつで「会員各社は今年4月から施行された働き方改革関連法にどのように対応すればよいのか。理解を深めて持ち帰り、警備員の処遇改善に生かしてほしい」と趣旨を示した。

小澤次長は、働き方改革関連法の中で特に警備業に影響が大きい「年5日の年次有給休暇の取得義務」と「労働時間の上限規制」の2項目に絞って解説。警備業で起こりがちな事例を具体的に挙げ、「36協定の正しい運用」や「休憩時間の扱い」、「休日のとらせ方」などについてわかりやすく説明した。

その上で、全警協が今春実施した「自主行動計画のフォローアップ調査」で浮き彫りとなった「長時間労働となる要因」や「建設業者による不当な取り引きの実例」などを紹介。それらの調査結果を踏まえて、「警備料金の決定方法の適正化」や「警備業者の価格交渉力の向上」、「人材の確保と定着」、「長時間労働の是正」などの課題改善に重点を置いた自主行動計画の“改訂内容”について説明した。

小澤氏は最後に「各社で適正な警備料金を確保し、それを原資として労務管理の改善を図り、魅力ある警備業の職場を目指すことが業界全体の課題解決につながる」と訴えた。

特集ワイド いいね「コミック」求人2019.7.11

警備業界は慢性的な人手不足が続き、求人広告掲載に多額の費用をかけている。そんな中、若い求職者の興味をひき効率的にわかりやすく業務を説明できることから「コミック冊子」を求人ツールに使う取り組みが広がっている。新卒者の採用に活用し効果をあげているシムックス(群馬県太田市、深澤利弘社長)の事例を紹介する。

シムックスは今、2020年春の新卒者獲得に向けて、積極的に採用活動を進めている。同社は毎年、合同企業説明会に数多く出展し、人材の確保に力を入れてきた。しかし限られた時間内では警備業務や研修内容について詳しい説明ができないことが課題だった。

同社・高橋直人取締役は、本紙の紙面でトゥーヴァージンズ(東京都千代田区、内野峰樹社長)が企業の要望に応じてオーダーメイドのコミック冊子を製作していることを知った。「コミックなら繰り返し読めるし、合同企業説明会の会場で、来場した学生の皆さんに警備業のイメージが伝わりやすいのでは、と思って製作に踏み切りました」と振り返る。

高橋取締役に意向を伝えられた人事部・大島俊大部長は、トゥーヴァージンズの担当者と昨年10月、最初の打ち合わせを行った。

大島部長はシムックスの業務や教育の内容、制服などについて詳しく説明した。ストーリーの概要について提案がいくつかあり、その中で「新入社員が成長していく過程」にテーマを絞った。そしてストーリーに踏み込み、登場する新入社員は男女2人にすることや、各々の容姿や性格、働く警備現場などについて具体的な要望を伝えた。

大島部長は「打ち合わせの中で最もこだわったのは、日々の業務の先にある“将来像”について入れてもらうことでした。我々は警備現場でのキャリアアップの先にある“未来の幹部候補”として採用していることを伝えたかったのです。男女2人のキャラクターを置いたのも、違う業務、違うルートを辿りながらそれぞれに多様な将来があることを紹介したかったからです」と話す。

トゥーヴァージンズの担当者はヒアリングした内容を持ち帰り、それをもとにプロの作家が作品の製作を開始した。まもなく台詞入りの原稿案が提示され、その後メールと電話で何度かのやりとりを重ねて、作品は今年1月に完成。2月に製本した冊子が納品された。

営業所でも活用

シムックスでは早速、冊子を合同企業説明会に持ち込み、会社案内などの資料とともに配布した。その際に、冊子を一番上にして配布することで興味を持たせ、資料を受け取る人数が増えたことを実感したという。

冊子を見た学生からは「警備会社というと堅いイメージがありましたが、マンガで柔らかく説明されていたので、まずそのギャップに驚きました」、「警備員という職業からは、交通誘導や商業施設の立哨のイメージしかありませんでしたが、さまざまな警備があることをわかりやすく理解できました」などの声があり、好評だった。

高橋取締役は「想定外だったのは、社内でも『当社は新しい方法で人材確保しようとしている』と反響を呼んだことです。各営業所からは求人に活用したいという要望があり、早速送付しました」と話す。

さらに同取締役は「トゥーヴァージンズからは、冊子だけではなく作品中に登場するキャラクターのデータも、当社で自由に使用できる商材として納品されました。このキャラクターはアルバイトや中途採用の募集、ホームページにも登場させています。プロが描いたイラストですから目を引きます」と、活用の広がりを語った。

同社は、大学や高校などの就職相談窓口に冊子を設置し、新卒求職者に訴求を行っている。学校訪問で訪ねるキャリアセンター(学生の就職を支援する部署)の担当者に警備業務への理解を深めてもらうことにも効果を発揮しているという。