クローズUP
第5回 紙面向上委員会2016.4.1
本紙は3月14日、第5回の「紙面向上委員会」を開催した。前回同様、社会保険未加入問題などについて意見を交わした。特に今回は、3月で終了した「我が社はこうして社保加入を果たした」を振り返るとともに、新シリーズ「人材確保・定着への取り組み」についても議論が及んだ。
委員の提案によって昨年7月21日号からスタートした「我が社はこうして社保加入を果たした」シリーズ。社会保険加入促進のための具体的事例を、経営トップへのインタビューという形式で紹介してきた同シリーズも、今年3月21日号で、計23回で終了した。
同シリーズについて、齋藤文夫氏(全国警備業協会)は、社保加入へ向けた自社での取り組みだけでなく、県や地域、他業種との取り組みが紹介されたことを高く評価した。
斜木幹郎氏(エムサス)は、同インタビューの中で「2号業務」の特殊性や問題点が浮き彫りとなったと指摘。業界としての取り組みが必要だと強調した。
最近の社保を取り巻く状況については、脇川清治氏(新日警備保障)が「最近の入札予定価格が、社保加入促進を背景に引き上げられてきたのではないか」と指摘。しかし一方で、業界側が旧態依然とした体質のため、社保加入を盛り込んだ警備料金を入札で提示できていないのではないかと分析した。 これを裏付けるように、斜木氏が「最低制限価格にひっかかり落札できない会社もあった」と事例を紹介した。
五十嵐和代氏(五十嵐商会)は、社保は若い人を定着させるための“必須要件”と指摘。「会社の利益は減るが、コンプライアンスの結果」と述べ、経営者として覚悟を持って取り組むべきだとした。
「我が社はこうして社保加入を果たした」に続くシリーズとして新たにスタートする「“人材の確保・定着”への取り組み」については、高齢者の活用(五十嵐氏)や若者の興味を引くITの活用(脇川氏)などの意見が寄せられた。その一方で齋藤氏は、魅力のない業界として見向きされないことがないように「まずは辞めさせない方策を真剣に考えるべきだ」と述べた。
特集ワイド 警備業の熱中症予防対策2016.4.1
休憩・水分・塩分の確保を
WBGT値(暑さ指数)の活用
熱中症の発生には、気温だけでなく、湿度や日差しなども大きな影響を与える。このため、熱中症予防には、天気予報で伝えられる最高気温だけでなく、「WBGT値(暑さ指数)」の活用が有効だ。
WBGT値とは、湿球黒球温度のことで、「暑さ指数」とも言われる。熱中症予防を目的に、アメリカのある海兵隊新兵訓練所で開発された。
単位は気温と同じ摂氏度(℃)で示されるが、その値は気温とは異なる。WBGTは人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目し、 人体の熱収支に影響を与える(1)湿度(2)日射・輻射などの周辺の熱環境(3)気温――の3つを取り入れた指標だ。
日常生活では、WBGTが28℃以上で、全ての生活活動で熱中症が起こる危険性がある。運動を行う場合には、WBGT21℃以上で、熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。
同値は例年5月から環境省の「熱中症予防情報サイト」で公表されており、同値をWBGT基準値(WBGT値と熱中症発生リスクとの関連を示した基準値)と照らし合わせて評価し、職場のWBGT値を低減する。
また、WBGT基準値は、働く人の熱への順化(慣れ)、年齢、健康状態、衣類などによっても左右されることから、WBGT値の活用に当たっては、より“安全側”に評価する。
作業管理と作業環境管理
冷房などを備えた休憩場所を独自に設置できない場合、建設会社など顧客が設置した休憩場所を借用する。その際は、休憩場所が使えることを自社警備員に明確に伝え、必要な休憩が確実に取れるようにする。また、顧客には、建設作業員など周囲に、警備員の休憩場所利用を認めていることを周知してもらい、警備員が休憩を取りやすい環境づくりを行う。
作業場所のWBGT値が、同基準値を大幅に超える場合は、原則として作業を行わせない。やむを得ず作業を行わせる場合は、単独作業を控えて休憩時間を長めに設定する。作業中は管理監督者が頻繁に巡視し、警備員の心拍数、体温、尿の回数・色などの身体状況、水分・塩分の摂取状況を確認する。
特に「尿の回数が少ない、色が普段より濃い」状態は、体内の水分が不足している可能性がある。水分・塩分の摂取を警備員に呼びかけることに加え、摂取状況を「確認表」などで確認する。また、トイレに行きにくいことを理由に摂取を控えることがないよう、トイレに行きやすい職場環境づくりを行う。
健康状態を見守る
体調不良を訴えていなかったにもかかわらず、死亡に至った事例があることから、従業員の健康状態は、「申し出」だけでなく、発汗の程度や行動の異常などでも確認する。
帰宅途上や帰宅後に死亡に至った事例もあることから、作業終了時には体温を測定し、必要に応じて、水分摂取や濡れタオルなどで体温を下げる。その際、平熱近くまで下がることが確認できるまでは1人にしない。
作業終了時の体温が、平熱より“相当程度”高かった場合には、病院に搬送する。
労働衛生教育の実施を
警備員に対する熱中症についての労働衛生教育が確実に実施されるよう、作業を管理する者(指導教育責任者や班長など)に対して、下表の内容の労働衛生教育を行う。
自社で同教育の実施が困難な場合には、厚労省所管の労働災害防止団体である建設業労働災害防止協会(建災防)が、4月から実施する教育「建設業等における熱中症予防指導員研修」(厚労省通達に基づいた、警備業も視野に入れた教育。 詳細は同協会教育部=03-3456-0618)を活用する。
同教育を受けた管理監督者などによる警備員に対する労働衛生教育は、継続的に行うことが望ましく、雇入れ時、新任・現任教育などの中で熱中症の症状や予防方法、救急処置、事例などについて教育する。
セノン 新社長に小谷野宗靖氏 入間川前社長は副会長に2016.4.1
セノン(本社・東京都新宿区)は4月1日、取締役専務執行役員の小谷野宗靖氏(42)が代表取締役社長に就任した。代表取締役社長の入間川幸道氏(60)は代表権のない副会長となった。
小谷野新社長は1944(平成6)年にセノンに入社、東京城東支社長、人事部長、管理本部長、首都圏統轄、関連事業グループ統轄役員などを歴任して経営トップの素養を重ねてきた。
小谷野宗靖(こやの・ひろのぶ)
2006年取締役執行役員、2008年同常務執行役員、2010年から同専務執行役員。東京都出身。