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クローズUP

年頭の辞 決意新たに 時代の先を見据える2023.01.01

志を持ち、安全・安心確保
全国警備業協会 会長 中山泰男

全国警備業協会は昨年、創立50周年という大きな節目の年を迎えることができました。先人の皆さまをはじめ、会員ならびに加盟員、関係者のご支援の賜物であり、紙面を借りて改めて感謝を申し上げます。

さて、長期化する新型コロナウイルス感染症ですが、昨年の秋頃には新規感染者数が全国的に緩やかに減少していたこともあり、ようやく終息かとの期待感も一部で出ていました。しかし年末に入り新規感染者が再び全国的に増加に転じ、引き続き警戒が必要であると考えています。

こうしたコロナ対応に加え、諸コスト上昇のもと、警備業を取り巻く環境にも課題が山積しています。かねてからの課題である慢性的な警備員不足の深刻化、ICT・テクノロジー・AIなどの活用による技術革新などによる環境の変化、そして何よりも重要な経営基盤の強化等々です。我々にはその解決に向けての取り組みの必要性・緊要性が高まっています。

こうした中、全警協は昨年、主に2つの重要施策に取り組んできました。第一は、政府の後押し等を反映した「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」の一部改訂です。

政府は2021年12月27日に初めて開催した「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化会議」を皮切りに、警備業界を後押ししてくれると思われる各種の取り組みを推進しています。とりわけ昨年5月20日には、公正取引委員会による「優越Gメン」が創設されたほか、発注元に対する下請企業との「年1回以上の価格交渉」を新たに求める環境整備の一環として、「下請中小企業振興法振興基準」が改正(22年7月29日施行)されました。主な改正の中身は、年に1回以上の交渉のほか、原材料費やエネルギー価格が高騰した際には、価格交渉に柔軟に応じることを発注元に求めるものです。仮に発注元が正当な理由なく交渉に応じない場合、行政指導を行い、改善されない場合は改善報告書の提出を求めるものであり、まさに警備業者からの価格交渉を後押ししてくれるものと考えています。また、原材料価格やエネルギー価格、労務費の上昇などが取引価格に適切に反映されることを促すため、21年9月から毎年3月・9月を「価格交渉促進月間」と定め、価格交渉・転嫁が定期的に行われる取引慣行の定着を図ることとしています。

全警協は、こうした政府の動きを好機と捉え、これまでも皆さまと着実に進めてきた自主行動計画について、より実効あるものとするべく、昨年6月から7月にかけて実施したフォローアップ調査の結果から抽出された課題や政府の後押し等を踏まえ、昨年9月28日の理事会承認を経て、自主行動計画の一部改訂を行いました。

自主行動計画は、警備業がさらに健全に発展し、適正な取引を推進していくために実践することなどが盛り込まれていますので、加盟員に対して自主行動計画のさらなる周知を図っていきたいと考えています。

第二は「アクションプラン」の実行についてです。

全警協は、山積する業界の課題への取り組みのために21年に「アクションプラン」を取りまとめました。昨年は、同プランを迅速に実行すべく、9月28日の理事会の承認を経て、

(1)「自然災害発生時における警備員の安全確保のためのガイドライン」策定 

(2)「警備業経営者のための倫理要綱」の一部改訂

(3)「警備員処遇改善に向けたスローガン」制定

――を行いました。

「ガイドライン」は、自然災害発生時における警備員の身を守ることを目的に策定したものです。「倫理要綱」の一部改訂は、警備業経営者のモラル向上を図る観点から、15年に制定した倫理要綱を、経営環境が大きく変化したことを踏まえ、一部改訂したものです。「スローガン」は、警備業経営者の意識改革を行うための活動の一環として、初めて制定したものです。今後は、自主行動計画と同様、加盟員に周知を図っていきたいと考えています。

以上が、昨年の全警協の主な取り組みです。当協会は、昨年迎えた創立50周年という節目に、「安全・安心を確保する」という警備業の原点に則し、決意を新たに時代の先を見据えた警備業の在り方を視野に入れながら、志を持って各種事業を一層充実させ、警備業のさらなる発展、ひいては国民の安全・安心の確保に努めていく所存です。

とりわけ、本年は2月22日に、殉職した警備員等の尊い御霊をお慰めするための「全国警備業殉職者慰霊祭」を挙行します。慰霊祭の挙行は、殉職警備員等の功績をたたえ、結束力を強める効果のほか、「これからは殉職者を出さない」という業界としての強い決意を世の中に示すことにもなり、警備業の信頼向上のためにも非常に意義があるものと考えています。

本年も業界内外への発信力を高めつつ、会員ファーストの精神で一つずつ着実に諸課題の解決に努めて参りますので、引き続きご協力をいただきますようお願い申し上げます。

官民連携、これまで以上に
警察庁生活安全局 局長 山本仁

健やかに新年をお迎えのことと心からお慶び申し上げます。皆さまには平素より警察行政の各般にわたり、ご理解とご協力を賜るとともに、警備業務の適正な実施にご尽力いただき、厚くお礼申し上げます。

昨年は警備業法が施行されてから50年という節目の年であり、全国各地において記念式典が開催されましたが、これまで警備業界の発展に尽力してこられた皆さまに対し、改めて敬意を表する次第です。

さて、最近の治安情勢をみますと、2002年に戦後最多を記録した刑法犯認知件数は、当時と比較すると極めて低い水準にあります。これは警備業に関係されている皆さまをはじめ、関係機関・団体、事業所等の地域社会と警察が一体となって諸対策を推進してきた成果が現れているものと考えています。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢にあるほか、特殊詐欺の被害も後を絶たず、刃物などの凶器を使用した重大事件が依然として発生するなど、国民の治安に対する不安感を払拭するまでには至っていないのが現状です。

警察といたしましては、社会の変化に応じて、新たに生じ、または変容する治安上の課題に適切に対処していくとともに、官民連携した対策をこれまで以上に推進していくことが必要と考えています。

警備業は、コロナ禍においても、企業活動・安全安心の確保に必要なサービスとして、その重要性が改めて認識されていますが、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、引き続きご協力を賜りますようお願いいたします。

また、本年5月にはG7広島サミットの開催が予定されています。サミットの安全や行事の円滑な進行を図るため、皆さまのお力添えを賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

新しい警備業の姿が必要
全国警備業連盟 理事長 青山幸恭(全警協顧問)

昨年は北京五輪終了後の2月24日、突如ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。この攻防が続いている中で、参院選直前7月8日安倍元総理襲撃事件が発生、コロナも国内では秋口から第8波に入り年末は豪雪という事態多発の一年でありました。

特にウクライナ侵攻を受けた世界的なエネルギー価格と食料価格の高騰は、世界的なインフレを招来、当局の金利引き上げと相まって経済が減速。中国のゼロコロナ政策も3期目に入った習近平政権の政策転換でコロナ患者が急増。これらを含めた世界経済への影響が大いに懸念されます。

ウクライナ支援も米国中間選挙の結果で変化が予想され、各国が自国本位な方向に走るような1930年代を想起させる事態だけは避けていただきたいものです。

国内的には岸田内閣は安全保障三文書の改定と43兆円に及ぶ防衛力整備計画を決定、また経済安全保障体制整備に着手、物資指定や重要施設周辺の監視を強める他、G7広島サミットや25年関西・大阪万博を念頭に10年ぶりに改定した「世界一安全な日本創造戦略2022」を決定しました。いずれも、全国の警備業協会設立50年を経て社会的な需要が増大した警備業のあり方に直接関わる問題であり、その具体化の中で私どもは従来から進めている質的向上を前提に、社保、単価、分離発注、最低価格導入、発注元との取引適正化、価格転嫁円滑化、働き方改革等のさまざまな要請を実現していかなくてはなりません。顧客からの依頼に応じた「盗難等の事故防止」だけの今の警備業法では、もはや対応できず、災害、安全保障、環境、健康等へのリスクに積極的に対応できる新しい警備業の姿が必要です。全国警備業連盟は全国の警備業協会と一体となって問題解決に邁進して参ります。

待遇改善は政治の使命
警備業の更なる発展を応援する議員連盟 会長 竹本直一(前衆院議員・元国務大臣)

一時期は収束へと向かうと思われていた新型コロナですが、再び感染拡大が広がりつつあり「第8波」到来との指摘もあります。警備業の皆さまにおかれては、「エッセンシャルワーカー」としてコロナ禍にも怯むことなく社会の安全・安心の実現にご苦労されていること、心よりお礼申し上げます。

2013年に自民党有志議員に声掛けして80余名で発足、当初より私が会長を務めます「警備業の更なる発展を応援する議員連盟(警議連)」は、警備業経営者の皆さまと、そこで働く全国の警備員の皆さんの幸福のため、公共工事設計労務単価の引き上げや警備業の社会的地位向上などに尽力してきました。

昨年はコロナ禍により思うような活動も叶いませんでしたが、警備業界からの要望は議連の全会員に伝え、全国の警備業の皆さんのために取り組みを進めるよう通知したところです。

特に今後は、警備業の皆さまにもご協力・ご尽力いただくこととなる「関西・大阪万博」の安全かつ円滑な開催へ向けた体制づくり、人手不足への対応や生産性向上のために政府主導により急ピッチで進められているデジタル化などに対し、警議連としても業界の皆さまの声に耳を傾けつつ、全力で支援していく所存です。

セキュリティーの確保は、わが国社会の貴重な財産です。それを担う警備業界の地位向上、さらには夏冬・昼夜を問わず現場で活躍される警備員の皆さんの待遇改善は、政治の使命でもあります。「警備業界に入ってよかった」と業界の誰でもが思える魅力ある警備業づくりに警議連は、これからもお手伝いします。

最新テクノロジー活用
セコム 代表取締役社長 尾関一郎

日本経済は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあり、国際情勢の不透明感の高まり、物価上昇の影響などにも留意が必要な状況が続いています。

コロナ禍によって人々の価値観は大きく変わり、社会にニューノーマルと呼ばれる新たなライフスタイルや商習慣、消費者行動が定着し始めるなか、少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少、気候変動による自然災害の頻発、デジタル化による情報セキュリティーへの対応などが社会課題として一層顕在化してきています。こうした状況下で、お客さまが求める「安全・安心」はますます多様化し、超高齢社会の進展に伴い高齢者の見守りニーズもますます高まっていますが、その一方、警備業界においては警備員の確保・負担軽減・労働環境の改善が課題となっています。

これらの課題の解決にはAIやIoT、5Gをはじめとするテクノロジーを効果的に活用していくことが重要で、ロボットをはじめとするテクノロジーを活用した省人化が期待されています。また、多様化する社会やお客さまのニーズに応え、警備業界が持続的成長を図っていくには、最新のテクノロジーをいかにうまく取り込んでお客さまに新たな価値を提供できるか、また最新テクノロジーを活用していかに生産性向上を実現できるかにかかっていると言えるでしょう。

昨年、セコムは創立60周年を迎えましたが、これは一つの通過点にすぎません。「あらゆる不安のない社会の実現」に向け、社会に有益な事業を行う、という高い志を持って、ますます多様化・高度化するお客さまの安心ニーズに、きめ細やかな切れ目のないサービスを提供していきます。

「提供価値」増大に努める
ALSOK 代表取締役グループCEO兼CTO 村井豪

新型コロナウイルス禍での3度目の新年ということになりますが、その中にあって、警備業界各社におかれては、感染症対策に取り組む一方で業績拡大に尽力されているところであり、そのご労苦に深甚なる敬意を表します。本年もコロナ情勢やDX化の推進など、業界にとってさまざまな対応が求められる年になるように思いますが、TOKYO2020大会での成功を生かせば乗り越えられるはずです。

さて、昨年は我が国に警備業が誕生してから60年の節目の年でした。そうしたときに、このような転換期を迎えることは、ある意味、必然のようにも感じます。業界としての歩みを確実なものとして、我々の社会的役割、つまり提供価値の増大に努めていかなければなりません。とりわけ、DX化の推進は時代の要請でもあります。

デジタル庁主導で多くのアナログ的規制の見直しが検討されていますが、その中では人的作業をデジタル化するものと謳われており、それらへの対応を模索することになるでしょう。

昨今、価格転嫁や分配強化の議論がかまびすしいようですが、重要な論点であり、警備業協会としても適正取引の推進、人材不足への対応として重要施策に位置付けて取り組んでいます。

一方で、我々は提供価値の増大を常に意識して、これらがその対価であることを認識する必要があります。価値増大を背景とせず単なる利益要求に留まれば、果実が得られたとしても長続きしません。

TOKYO2020大会で「質・量」の両面で社会の負託に応えたのと同様に、価値増大を目指す必要を感じています。あの大会は警備業界がなければ成立しませんでした。このレガシーを携えて一段高いステージでの価値提供を目指す時期だと思います。

また、本年は広島でG7、そしてそれに関連する関係閣僚会合が、全国各地で行われます。安倍元首相の襲撃事件を受けて要人警護が強化される中での開催となり、全国でしっかりとした警備を提供することが求められるものと気を引き締めています。

柔軟な発想で生み出す安心
セントラル警備保障 代表取締役執行役員社長 澤本尚志

新型コロナウイルス感染症による影響の長期化で先行きが不透明な状況が続いています。セントラル警備保障(CSP)グループでは、引き続き感染予防対策の徹底を継続し、警備サービスへの影響を最小限に抑えるよう努めています。

また、少子高齢化に伴う労働人口の減少による人材確保もますます困難な状況になっています。一方で、多様化する安全・安心のニーズへの対応やセキュリティー機器の進化による監視業務の高度化が見込まれる中、弊社は中期経営計画「Creative2025」を基に、技術サービス企業として、これまでの常識に捉われることなく、柔軟な発想で新しいセキュリティーサービスを創造しています。新たに開発したセキュリティープラットフォーム「かけはし」では、監視システムを統合化し、街の警備に関するデータをリアルタイムでクラウドに収集・蓄積し、AI分析と自動化された警備オペレーションにより、警備運用の効率化・省人化を実現しました。

将来的には、蓄積された膨大なデータや過去のイベントデータなどから最適な警備プランを策定し、更なる効率化の実現と、異変発生を予兆することで事案を未然に防ぐことも可能になると考えています。サスティナビリティ(持続可能性)に関する戦略を強化・推進することを目的として、昨年の3月より委員会と推進室を設置しました。サスティナビリティにおける課題や社員の働きやすさの追求などに積極的に取り組んでいます。

本年もCSPグループ一丸となり、柔軟な発想で生み出す新しい安心の創造を追求し続け、安心してやすらげる社会づくりに挑戦してまいります。

時代の変化に遅れない
全日警 代表取締役社長 片岡由文

昨年を顧みますと、年明けからオミクロン株の流行によりサプライチェーン障害が顕在化し、それに円安が追い打ちをかけ体感景気が急激に悪化しました。

全日警においてもコロナウイルス感染者の急増により業務の遂行に苦慮したことや契約先の経費削減のあおりを受けるなど、影響を受けました。

そうした中、社会経済停滞の打開策として、昨年10月11日から観光需要喚起策の全国旅行支援が実施されました。これにより内需拡大が促され、社会経済活動の活性化が期待されます。コロナ禍による停滞に甘んじていては、社会経済活動の復活を目指す流れに乗り遅れることになります。感染症対策を励行しながらもコロナ禍という暗く消極的になりがちな呪縛を振りほどくには、強い前向きな気持ちと行動力が必要です。

警備業界では、全国警備業協会が昨年50周年を迎えましたが、昨今の業界全体の変化には著しいものがあります。ロボットなどの機器の性能がAIを活用することで飛躍的に向上し、警備業務の形態が加速度的に変貌するのは必至です。

本年は、社会経済復活の流ればかりではなく、時代の変化や業界の変化に後れを取ることのないよう、社員一人ひとりがタイムリーに情報を収集し、それを元に自ら行動することで、更なる高みを目指して飛躍する年にしましょう。

持続可能な会社経営へ
共栄セキュリティーサービス 代表取締役 我妻文男

安倍晋三元首相銃撃事件や韓国ソウル・梨泰院の雑踏事故などの痛ましい事件を背景に、警備業界への社会的ニーズや役割を求める期待は根強いものがあります。また、コロナ禍では陽性者の宿泊療養施設やワクチン接種会場を担当する警備員も大勢いて、頭が下がる思いであると同時に誇らしく思っております。

警備業が果たすべき責務が社会的に注目されている一方で、警備業界が抱えている経営課題として(1)警備料金が上がらない(2)募集しても人が集まらない(3)コロナ融資特別貸付「ゼロ・ゼロ融資」の返済開始による経営環境の変化、といった要因があり、共栄セキュリティーサービスにおいても単独で生き残っていくことは容易ではないと危機感を抱いています。

当社は、このような困難な経営環境を乗り切るため、地域に根差す警備会社との経営統合を進めることにより規模を拡大し、売上げを伸ばし、安定した利益を生み出すことによって、持続可能な会社経営を実現したいと考えています。

警備業界が、社会的ニーズの期待に応え、今まで以上に必要不可欠な存在となり、安全・安心でサスティナブルな社会の実現をけん引する役割を担い続けることを願ってやみません。

チームワークで更なる成果
東北地区警備業協会連合会 会長 氏家仁(トスネット 代表取締役社長)

昨年は、警備業法施行50周年を迎え、足下を顧み、警備業のコンプライアンスに根差した業務に配意することはもちろん、各種研修会など警備員教育を積極的に行い警備員一人ひとりの資質の向上に努めた年でありました。

改めて警備業にとって人は大きな財産であると同時にマンパワーなくしては、警備業務の完遂はなく、人を育てることは我々の責務でもあると実感しました。

更に、東北が一つにまとまった大きな出来事がありました。それは、全国高校野球選手権大会の深紅の大優勝旗が100年のときを経て白河の関を越え東北の地にやって来たことです。このことは、東北に大きな感動を与えてくれたものでありましたが、優勝監督のインタビューの中で「選手だけでなく、野球部員、関係者など携わった方々、皆さんの力があり優勝できた」旨の言葉がありました。試合に勝ったのは選手だが、関係する方々が力を与えてくれて優勝できた、個々の役割を果たすことも大切だが、チームワークもそれ以上に重要であるとの言葉と受け止めました。

警備業務におきましても個々の資質を高めることはもちろん、それ以上にチームワークが要求されます。一人ひとりがその役割を認識し、役割を果たす、そして他と連携、協調することにより更に大きな成果が生まれると感じています。

私たち警備業界としても安全安心産業として、より一層、警備のプロとして地域社会に貢献するため、警備員の資質の向上だけでなく、関わり合う各県の警備業協会、自治体、関係団体の皆さま方と連携を深め、大きな成果を得られるよう努めていきたいと考えていますので本年もよろしくお願い申し上げます。

若い力で業界成長期す
関東地区警備業協会連合会 会長 島村宏(日警 取締役会長)

昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の第7波の拡大、収束の見えないロシアのウクライナ侵攻による戦争、安倍元首相が銃で襲撃された事件など、近年類を見ない程の特異な事件・事案が頻発した年となりました。

一方、警備業界も、従来からの課題である人手不足や高齢化、適正料金の確保などの問題のほか、戦争や新型コロナ禍などの複合的影響による、政治・経済の不安定化と、これに基づく物価の高騰や受注の減少による業績の悪化など依然として厳しい状況が続いています。

更に今年は、G7広島サミットの内務・安全担当大臣会合が、当茨城県の水戸市において開催が予定されるなど、警備業界の力量が試される一大行事が控えており、これに向けた諸準備も重要な課題の一つとなっています。

これらの課題を早期に解決に導くとともに、日々変貌する時代に的確に対応して事業を発展させるためには、将来の変化をいち早く見通す鋭い知見と、日々進化するITなどの最先端技術を使いこなす能力が必須であると存じます。

そして今後の警備業界の次代を担い、行く末を託せるのは、これらの知見と能力、更には柔軟な発想力と迅速な行動力をも備えた若い力であるとの考えの下、茨城県警備業協会加盟事業所の若手職員で組織した「青年部会」の活動を強化します。

今後、当協会では、会員事業所一丸となって、同「青年部会」を更に成熟させ、軌道に乗せて、時代のニーズに見合った新しく力強い施策を展開させることにより、真の「生活安全産業」として更なる成長を期してまいる所存であります。

一歩先を行く対応
中部地区警備業協会連合会 会長 小塚喜城(コアズ 代表取締役社長)

新型コロナウイルス感染症との闘いも4年目となりウィズコロナの時代に入ってきていますが、この間、オンライン会議などのコミュニケーションが新たな常識になるなど物理的な移動を最小限にした新たな生活様式が浸透してきました。

このような中でも警備業は、全国約1万社約60万人の僚友・朋輩とともに、一時の間隙も質の低下も許すことなくその社会的責任を果たしてきました。

全国警備業協会では中山泰男会長の強いリーダーシップの下、関係省庁と連携を図りながら、警備業務の適正化及び経営基盤強化のための各種施策の推進、警備員不足への対応、デジタル社会への対応など業界の課題に危機意識をもって取り組んでこられました。

中部地区警備業協会連合会においても地区内各県協会の融和と団結を第一に、昨年は「災害時における警備業務の実施に関する協定の現状と運用上の課題」、「中部地区連合会青年部会の結成及び各県協会青年部会の現状」について討議するとともに、中部管区広域緊急援助隊合同訓練への参加、特別講習講師合同研修の開催などの活動と情報共有を図ってまいりました。

コロナ禍の中、デジタル技術の進化が加速し、近未来、私たちが目の当たりにする社会の情景は従来とは異なる社会やビジネス環境です。警備業界も例外ではありません。グローバルかつ多様化した世界の中で不透明な時代を生きている私たちは社会の変化・ニーズの変化をいち早くつかみ取り、一歩先を行く対応こそが成長の鍵であり、大切なことは行動することです。

当連合会は本年も地区内各県共通の課題に取り組むとともに、業界の更なる発展に寄与して参ります。

信頼される業界へ一丸
近畿地区警備業協会連合会 会長 宇多雅詩(全日本パトロール警備保障 取締役会長)

昨年は、コロナの第6波とともに新年を迎え、夏の第7波では、1日の新規感染者数が過去最多26万人を超える日もありました。それでも、日常生活や経済活動における感染防止の取り組み、科学的知見の積み重ね、医療体制をはじめとする政府・自治体の取り組みなど、国全体として対応力が強化されてきました。

ウィズコロナの新生活様式を取り入れ各地で「3年ぶりの行事」が行われ、サッカーワールドカップで盛り上がる人々の姿がとても印象的な1年でした。

また一方で、韓国・梨泰院で発生した大規模な雑踏事故では、亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、警備業界に身を置く者として、「何年ぶり」という喜びに浸るだけでなく、人の生命、身体、財産を守り、社会の安全・安心を実現する使命を忘れることなく、目前の事に向かわなければならないことを、多くの犠牲とともに教えられたと感じています。

近畿地区備業協会連合会は「近畿は一つ」を合言葉に、各府県協会の会長、専務理事また各事務局員が密なる関係をもって、会員のため、業界のためを旨として、施策実現のために一丸となれる組織づくりを進めてまいりました。

改めて、協力関係を強固にし、全国警備業協会の旗の下、信頼される警備業界の未来のために尽力してまいる所存であります。

国民の負託に応える
中国地区警備業協会連合会 会長 吉岡健二郎(セコム山陰 顧問)

警備業が誕生し半世紀が過ぎました。社会の仕組みや経済環境を反映して不安要素が増え犯罪や災害が多発する中、秩序維持に業界は少なからず貢献してきましたが、社会的認知度・理解度が高まらないのはなぜかと自問自答してきました。しかし犯罪対策閣僚会議の内容は、そんな杞憂も払拭するほど政府が警備業に期待する内容を示すものとして注目したいと思います。歴史を振り返ると2003(平成15)年の小泉内閣で警備業は「生活安全産業」としての認知をいただき、先の東京オリ・パラではエッセンシャルワーカーとして位置づけされました。

特に、犯罪対策閣僚会議の内容は、広島G7先進国サミット、大阪・関西万国博覧会など国家的イベントに警備業が深くかかわりを持つことを許容していることに着目しなければなりません。それには、警備業に携わる我々が今以上に高いクオリティーを保有し、政府や国民の負託に応えることが重要な要素になるということです。

関西・大阪万博は長期で、関係者はコロナの制約も受けることなく、全国が対象となってしまうことが想定されます。それだけに、評価は会場の一点ではなく、全国での総合力が試されることになってしまいます。

クオリティーアップの施策は、ポストコロナ後のグローバル化を反映したものとなり、業界としてはかなり高いハードルになることが予想されます。

このような機会が増加することは、業界を挙げて歓迎ですが、その都度の対応に終わることなく、災害や情報セキュリティーなど警備総体を体系的に学び、実践的で理論的な警備員育成のための専門教育機関の設置を検討すべき時期に差しかかって来たと考えます。

攻めの姿勢で臨む
四国地区警備業協会連合会 会長 北川豊彦(讃岐 代表取締役会長)

昨年を振り返りますと、未だに衰えない新型コロナウイルスの猛威に加え、円安や海外情勢の変化に伴う生活必需品の値上げなど、警備業界はもとより社会全体にとって厳しい1年であったように思います。

四国地区警備業協会連合会では、スローガンである「まず一歩踏み出そう」が示すとおり、「AIを備えた交通誘導システムの実証実験」、春の総会、秋の臨時総会を実施したほか、中国地区警備業協会連合会との連携強化を図るための合同会議を開催するなど、攻めの活動ができました。これもひとえに、全国警備業協会をはじめ、四国地区、中国地区各県の警備業協会と関係する皆さまのお陰と感謝しております。

今年は、ウィズコロナが進み、中止や規模が縮小されていた行事やイベントが戻ってくることが予想されます。警備業界にとって明るい兆しであります。この好機を追い風として、魅力ある職場づくり、更には若手警備員の確保へとつなげていく、攻めの姿勢が肝心だと考えております。

また、四国地区は南海トラフ巨大地震が発生した場合の災害派遣という問題を抱えております。特に1946(昭和21)年の南海地震で東海地域とのゆがみが判明しておらず、次の巨大地震は東海、南海のエネルギーが一気に放出される、「スーパー巨大地震」となる可能性も懸念されております。中国地区連合会との広域連携を更に強め、準備を整えてまいりたいと考えております。

今年1年、中期、長期的な視野に立ち、業界発展のために一丸となって取り組んでいく所存でございます。

明るい九州の展望とともに
九州地区警備業協会連合会 会長 折田康徳(にしけい 代表取締役会長)

昨年は3年続いたコロナ禍に変化の兆しが見られ、感染者の数だけにとらわれず、経済活動との両立を図る政策が採用されました。

九州では、沖縄が復帰50年を迎えさまざまな行事が行われ、長年の懸案だった西九州新幹線が開通し、沖縄、佐賀、長崎には多くの観光客が訪れました。各地のイベントも3年ぶりに開催されました。多くの外国人観光客も各地を訪れていて、クルーズ船の再開も予定されています。更に、熊本には台湾の大手半導体メーカーが工場を建設中で、一大工業地域として発展しようとしています。

経済活動が活発化してきて「明るい展望」が開けようとしている中で、警備業界が直面している問題は人手不足です。コロナ禍の影響で仕事が減り各社ともにここ数年は人員が減少していたのですが急速に需要が拡大し、社員を採用しようとしていますが大変苦労しています。従来から協会として人手不足対策は最重要課題として捉え、各県協会とも警備員の処遇改善、その前提となる適正価格の実現などについて自主行動計画を推進してきました。

昨年秋に開催された九州地区警備業協会連合会の理事会では、各県協会長からアクションプランに基づいた、自治体や関係団体への要望書の提出や会議などの場における要請活動、経営者研修会での周知活動の事例が紹介され、その他交通誘導警備の在り方や青年部会の活動についても活発な議論が行われました。更に、「ICT・テクノロジー活用」については、加盟各社で、その重要性が認識され導入を図る企業が増えているとの報告がありました。

さまざまな施策を推進し加盟企業の発展に寄与するとともに、停滞していた九州の経済活動が活発化して「明るい九州の展望」が開けようとしている中で警備業も共に躍進できるように努力して参る所存です。

人出戻り配置増員2023.01.01

成田山 新勝寺 ALSOK千葉が初詣警備

ALSOK千葉(千葉市、髙野明社長)は、成田山新勝寺(千葉県成田市)の初詣警備を行った。

新勝寺は三が日に300万人の参拝客が訪れる人気のスポット。昨年は感染対策のため、成田市が時期をずらす「分散参拝」を呼び掛けたが、今年は通常参拝とし賑わいが戻った。

初詣の警備員数は大晦日135人・三が日117人と増員。大晦日・元日の混み合う時間帯は、県警と連携をとりながら境内5か所で入場規制を行った。1月29日までは「迎春警備期間」と定め、延べ750人の配置を予定している。同社は2月3日の節分会警備も担当する。

初詣警備隊長を務めた警備部・金子直樹部長は「人出がコロナ以前に戻ることを予想し、9月から警察・寺と協議を重ねて警備計画を作成しました」と話す。

埼玉警協 講習予約デジタル化2023.01.01

加盟社の利便向上

埼玉県警備業協会(炭谷勝会長)は、同協会が行う新任・現任教育の各講習の予約をデジタル化、加盟社の利便性向上と協会事務局業務の合理化を実現した。

講習予約は同協会ホームページ内の「専用サイト」にログインすることで可能。サイト利用希望の加盟社には「会員ID」と「パスワード」が発行される。受講料はサイト申し込みには「会員価格」が適用、非加盟社の協会加盟も促す。

予約の仕組みは「ネットショッピング」などと同様で、新任・現任の講習種類ごとに画面上に示された「講習開催日」の中から希望する日を選択、「購入」ボタンをクリックするだけ。協会から「確認メール」が送信され、「請求書」と「受付番号」が発行される。

加盟社は請求書をダウンロードして受講料を支払い、受講者は受講当日に協会窓口で受付番号を申し出ることで受講できる。

システムの導入により同協会では、講習予約状況や収支管理が一目瞭然となり、業務の省力化・合理化につながったという。

「災害時に役立てて」養護施設に「保存水」「現金」2023.01.01

愛知警協青年部会

愛知県警備業協会(小塚喜城会長)の青年部会(水谷充宏部会長=豊警備保障)は12月13日、名古屋市内の児童養護施設に保存水と現金を寄贈した。

今回で2回目となる同寄贈は、昨年度から協会が取り組むSDGs活動のうち、「安心して暮らせる安全な社会の実現」の一環としての社会貢献活動。

市役所内の子ども青少年局長室で行われた贈呈式には、青年部会から早川宏紀副部会長(ミヤコ警備保障)ほか5人が、市から土本仁美子ども青少年局長、施設代表として社会福祉法人晴光学院代表の平島安則氏などが出席した。

早川副部会長は「近年、自然災害が増加傾向にある中で、災害時に施設で生活する児童のためお役に立てていただきたい」と述べ、500ミリリットル入り保存水700本と現金10万円を贈呈。寄付金は市内の児童養護施設13所の施設運営費などに充てられる。

寄贈後、青年部会には河村たかし名古屋市長から感謝状が贈呈された。