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クローズUP

愛知警協 特殊詐欺ストップ2022.03.11

県警、防犯協と共同宣言

愛媛県警備業協会(二宮義晴会長)は2月18日、県警本部(阿波拓洋(たくよう)本部長)・県金融機関防犯協会(三好賢治会長)と、特殊詐欺被害防止に向けた運動に取り組む共同宣言を行った。

運動の名称は「STOP!ATMでの携帯電話」。県銀行協会(松山市)内で行われた宣言式には、二宮会長と阿波本部長、三好会長が出席し宣言文を読み上げた。

愛媛警協会員社の警備員は今後、ATMなどで積極的に声掛けを行い詐欺被害の防止に努める。貴重品運搬警備やATMの保守点検業務、金融機関の機械警備などに従事する警備員は運動の名称が書かれた腕章を着け、業務車両にはマグネットシートを貼付して県民への注意喚起を図る。

愛媛警協は県警本部と2014年7月、「犯罪の起きにくい安全で安心なまちづくり等に関する協定」を締結。推進事項の中に特殊詐欺防止への協力も謳われていたが、今回の宣言で取り組みを一層強化する。

愛媛県警によると、県内で昨年発生した特殊詐欺件数は67件(前年比25件増)、被害額は約2億4400万円(前年比1億5300万円増)と大幅に増加。なかでも還付金詐欺は、自治体や金融機関の職員をかたり、保険金や医療費の名目でATMを操作させ現金をだまし取る犯罪件数が、前年に比べ5倍に増加した。

二宮会長の話 警備員一人ひとりに詐欺の現状と被害防止の重要性を再認識してもらい、警察官や金融機関と緊密な連携プレーを図って被害防止に貢献したい。

eラーニング「ひな型」2022.03.11

全警協が作成、HPに

全国警備業協会(中山泰男会長)は4月からスタートさせる「eラーニング」に取り組む事業者向けに「教育計画書」と「教育実施簿」の書き方(ひな型)をホームページに初めて公開した。警察庁の了解も得て作られたひな型をベースに計画書などを作成すれば、当局の立ち入り検査時に「問題なし」とされる可能性が高い。

昨年10月に開始予定だった全警協のeラーニングは、教材データ(コンテンツ)に磨きをかける目的で半年延期されていた。そのため、同eラーニングに取り組むことを決めていた事業者の間で「eラーニングの教育項目が何かなど、コンテンツの内容が分からないため教育計画書などが作れない」との声が上がっていた。 

ひな型は表計算ソフト「エクセル」で作られ、例えば「2号警備・新任教育」の「警備業務実施の基本原則に関すること」とする教育事項を見ると、eラーニングで行うのは「警備業の歴史」と「警備業法第15条」の2点。各社で行う教育は「警備員としての使命と心構え」を「講義または実技訓練」で行うと例示した。

全警協の担当者は「大幅な教育の効率化が図れる同eラーニングの利用価値は大きい」と話している。

警備業と共に歩んで タイムズが伝えた10年2022.03.11

「社会保険未加入問題」は本紙創刊の2012年3月から2か月経過した5月、警備業界にも波紋を広げた大問題に発展した。その後も「自家警備問題」や「働き方改革」など警備業の命運を左右する出来事は相次いだ。警備業はその都度、全国警備業協会を中心に業界を挙げて課題解決に取り組んできた。本紙の10年の歩みは、まさに警備業の課題克服の軌跡でもある。本紙は今後も警備業界の動向を詳細に報じ、業界の発展に寄与していく。

創刊10周年に寄せて

警備業発展に支援・協力を

全国警備業協会 会長 中山泰男

警備保障タイムズ株式会社におかれましては、創刊10周年を迎えられ、心からお慶び申し上げます。

貴社は2012(平成24)年3月11日に創刊号を発刊されて以来、警備業界の全国専門紙の新聞社として、常に警備業に関する適時・適切な情報を提供されるとともに、警備業の抱える課題や将来の展望等について、幅広く紙面展開をされてこられました。これらを通じて、全国警備業協会の重要施策を強力にバックアップしていただき、ひいては警備業界の健全な発展のために重要な役割を果たされてきたところであり、その永年にわたる数々のご貢献に対しまして、心から敬意と謝意を表する次第です。

特に、12年から全警協の重要施策として取り組んだ社会保険未加入問題では、「社会保険加入推進キャンペーン記事」の一環として、『経営者に対する連載インタビュー「我が社はこうして社会保険に加入した」』の好事例を紙面展開され、各警備業者の社会保険加入促進を強力に後押ししていただきました。

17年6月に急遽浮上した交通誘導警備業務のいわゆる「自家警備」問題に際しましては、全警協に対して、地域の取り組み等に関する初報と問題提起をされるとともに、同問題に対する警察庁、国土交通省、「警備業の更なる発展を応援する議員連盟」等の動向を随時特集記事として掲載され、各警備業者に対する注意喚起を図っていただきました。さらに、21年夏に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」では、警備士に対する外国報道陣の称賛の声を特集され、日本の警備業の活躍を幅広く世に知らしめていただくなど、まさに警備業界の社会的地位の向上や発展に大きく寄与されてこられました。

今後、警備業の未来には、さらに大きな飛躍が求められています。全警協は警備業のより一層の発展を期すべく各種施策を強力に展開していくこととしています。貴社におかれましても、引き続き警備業界のオピニオンリーダーとして、絶えず警備業界に示唆を与える論陣を張っていただくなど、警備業の発展に向けてさらなるご支援・ご協力を賜れば幸いです。

人材確保・定着

経営者自ら語る好事例

長期化する人手不足は警備業界の大きな課題で、深刻な状況がまだ続くと予想されている。

本紙は連載企画「ヒューマン・インタビュー」の“特別版”として「人材確保と定着の取り組み」と題したシリーズを2016年4月1日号から1年間、29回にわたって掲載。経営者自ら語る好事例を紹介した。

特に定着率アップについては「拠点数を増やして管理職ポストを作りモチベーションを上げる」「希望する業務を各自で選べるようにして多くの現場を経験してもらう」「警備員の悩みや不安を早期に発見しケアするための仕組み作りを行う」――など具体的な取り組みを語ってもらった。

全警協が人手不足対策の一環として取り組む厚生労働省からの受託事業「就職氷河期世代向けの短期資格習得コース」も紹介。ほかに各警協が地元労働局やハローワークと連携して開催した就職説明会や現場見学会なども逐次報じてきた。

今後は「経営基盤を強化して処遇改善を実現した」「先進技術の活用による省人化」などの事例なども取り上げていく。

自家警備

「補足通知」まで徹底追求

2017年6月、国土交通省は総務省との連名で通達「交通誘導員の円滑な確保」を全国の自治体や建設業団体に通知した。一部地域で交通誘導警備員が不足して公共事業執行にも支障を来していることから、元請け建設会社の職員による交通誘導「自家警備」の実施を促すとも受け取れる内容だった。

通知は警備業界に大きな衝撃を与えた。全国警備業協会は「交通誘導警備は危険な業務。安易な自家警備の導入は極めて危険で遺憾だ」(青山幸恭会長=当時)、「警備業界、特に交通誘導警備業務を行う警備会社には極めて影響が大きい」(福島克臣専務理事=同)と、補足の通知を出すよう警察庁に申し入れた。

これを受けて本紙は、自民党の衆参両院の議員約80余人で構成する「警備業の更なる発展を応援する議員連盟」会長の竹本直一衆院議員(当時)に自家警備についての見解を求めた。同会長は「警備業の発展に水を差すものだ」と述べ、議連として国交省に慎重な対応を申し入れることを明言、本紙は7月21号で報じた。

同月28日の議連会合では、説明を求められた国交省の担当審議官(当時)が「警備業界に不安の声が上がっていることは業界新聞などで承知している。通知には舌足らず部分もあり反省している」と述べ、通知の見直しを示唆した。

9月22日、国交省は「(6月の通知は)自家警備を奨励するものではない」などを内容とする「補足通知」を全国の自治体と建設業団体に出した。警察庁も同日、自家警備のために設置が必要な「協議会」への対応に関する「留意事項」の通知を全国の警察に出した。

同問題で本紙は、国交省が目指した自家警備のモデルケースともいえる長崎県での取り組みについて、現地調査し詳細を報じた。

社保加入促進

全国の取り組み後押し

国土交通省が2012年5月に設置した「社会保険未加入対策推進協議会」は、5年後の17(平成29)年までに社会保険への加入率を「企業単位は100%、労働者単位では製造業相当」との目標を掲げ、未達成企業を公共工事から排除する方針を打ち出した。建設業だけでなく、警備業にも大きな波紋が広がった「平成29年問題」の始まりだ。

これを機に、警備業界でも社保加入促進へ向けた取り組みがスタート。全国警備業協会は全国9ブロックや47都道府県で「社保問題研修会」を開催。各警協も経営者研修会などで加入促進を呼び掛けた。

本紙は、同問題をめぐり全警協や都道府県警協が行った各種研修会・勉強会の内容やアンケート調査結果などを報じ、社保加入へ向けた全国の取り組みを後押しした。

14年4月からは社保問題に詳しい社会保険労務士・木田修氏が加入ポイントなどを解説した10回にわたる連載企画「社保問題を考える」をスタート。15年7月からは、他社に先駆けて社保加入に着手し、17(平成29)年を待たずして加入率目標を達成した全国の警備会社の取り組み事例をインタビュー方式で紹介する「我が社はこうして社保加入を果たした――課題克服の成功事例」の連載を開始。登場したトップや経営幹部は23人に及んだ。

青年部会・女性部会

若い世代の行動力に期待

近年、都道府県警備業協会では青年部会、女性部会の設立が相次いだ。警備員不足の克服に向けて警備業のイメージアップ、PR活動が必須となり、若い世代のアイデアや行動力、女性目線などを活かす取り組みに期待が集まっている。

各警協の役員・関係者が青年部会、女性部会の活動をバックアップする中、本紙も両部会の活動が一層広がることを念頭に多様な取り組みを報じてきた。

青年部会は当初、二世経営者を中心として次世代の業界発展に向けた調査研究などを行うため、2010〜15年度に11部会が発足。16〜18年度には22と倍増し、現在は31を数える。各種テーマの研修会、児童の登校見守りや清掃などの地域貢献活動、制服警備員のファッションショー(宮城警協セキュリティフェア)などを行っている。

女性部会は現在4部会だ。大阪警協「ひまわり会」が2001年に発足。女性活躍推進が社会のテーマとなり、15年に東京警協「すみれ会」がスタート。車椅子利用者への接遇スキルアップ講習会、女性警備員のための崩れにくいメイクアップ講座などを開いた。16年に福岡警協「あやめ会」、18年に岐阜警協「いちいの会」が発足した。

大阪・東京・福岡の3女性部会は、女性警備員の愛称について話し合い、これをもとに17年の「警備の日全国大会」で「警備なでしこ」が発表された。

本紙は全国の青年部会・女性部会の動向に加え、部会関係者から「地域からの提言」コーナーに寄稿してもらい、活動への思いなどを述べてもらった。なかでも「活動を行う前は、他社は仕事上のライバルと考えて交流はなかった。しかし人材確保や働き方改革への対応など“同じ悩み”を抱える仲間と分かり親近感が生まれた」との言葉は多くの関係者に共通するものだ。

3・11――震災復興

被災地に寄り添い続ける

東日本震災発生翌年の3月11日に創刊した本紙は、編集方針の一つに「被災地に寄り添う」を掲げる。以来、岩手、宮城、福島各県の警備業の復興へ向けた取り組みを追ってきた。

福島では、東京電力福島第一原子力発電所事故により一時は県外への避難生活を余儀なくされたものの、その後に帰還。放射能汚染のために立ち入りを禁じられた故郷をあきらめ、その周辺地域の広野町などで事業を再開した警備会社の苦悩の軌跡を報じた。岩手・宮城では、津波で社屋や従業員を失うも、その後に地元復興のために立ち上がった警備業経営者の声を聞くなど、紙面で現地警備業に光を当ててきた。

一方、震災復興には全国警備業協会をはじめとする全国の警協や宮城警協など地元3県の警協も取り組んだ。宮城警協の災害緊急援助隊は毎年3月11日、警察とともに「行方不明者捜索」を実施。壊滅的な被害を受けた気仙沼市内の海岸地域や、多くの児童が亡くなった石巻市大川小学校近くで行われた捜索活動に本紙は同行し、隊員たちが黙々と捜索する様子を伝えた。

震災直後に全警協が編成・派遣した災害支援隊が防犯パトロールなどを行った宮城県七ヶ浜町には、活動から10年後に訪れた。支援隊隊員の一人として現地で活動し、現在は地元警備会社に勤務する男性と一緒に現地を歩き、当時の思いを聞いた。

震災発生から11年経過した今も、被災3県ではそれぞれの現場で復興に取り組んでいる警備会社がある。

東京2020

意気込み、熱気伝える

2021年夏、新型コロナ感染拡大のため1年延期されていた東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020)が開催された。期間はオリンピック7月23日〜8月8日、パラリンピック8月24日〜9月5日。大会警備は、全国から派遣された警察官とともに史上初めて民間警備会社553社による警備共同企業体(警備JV)が担った。

大会開催に先立つ15年11月、セコムとALSOKは大会スポンサー契約を結んだ。両社は「オールジャパン」体制による警備サービス提供を目指す意思を表明した。

警備JVは18年4月に設立。参加企業100社・動員警備員1万4000人の目標が掲げられた。

本紙は警備料金、女性警備員の活用、警備員の教育方法など、警備JVの重要課題についてレポートした。

その後も首都圏1都3県で行われた説明会や首都圏の警備業協会で設置された特別委員会、聖火リレーの予定などを、大会本番に向けた関係者の意気込みや熱気とともに伝えた。

コロナ禍による大会の1年延期で、一部地域で実施直前だった聖火リレーが中止となった際は、岐阜警協が県などと交渉して、警備に参加する予定だった加盟社34社がキャンセル料を受領できたことなどを報じた。

大会延期後も、警備JVによる警備会社の追加募集、警備条件の見直しなどをきめ細かく伝えるとともに、警備体制の全容や「無観客開催」となった時の体制変更などについても迅速に報じた。

開幕後は、各競技会場で活躍する警備員を追うとともに、海外メディアからの日本の警備員に対する賞賛の声も紹介した。

警備の日

「全国大会」1面飾る

「警備の日」は、1972年の警備業法の施行日にちなみ「11月1日」に決まった。全国警備業協会が2015年に制定し、日本記念日協会に登録された。都道府県警協は毎年の同日や前後の日に、警備業の理解促進に向けたPR活動を重ねている。

全国に先駆けて警備の日を05年に制定したのは大阪警協だ。07年には近畿地区警備業連合会が警備の日のPRポスターを制作。本紙14年10月11日号では「警備の日」を報じる記事は30行余りだった。

警備員不足が続き、警備業の認知度向上が課題となる中、16年11月に全警協は「警備の日・全国大会」を都内で初めて開催、本紙1面を飾った。

警備業をどのようにアピールするか、関係者は趣向を凝らしている。岐阜警協は「警備業の姿をもっと広く一般市民に知ってもらうために、子供さんから作文と絵を募集したい」(幾田弘文会長)と、小学生を対象に作文と絵画、警備員と家族による写真をそれぞれ募り、コンクールを行って表彰した。

群馬警協は17年から小・中学生の書道コンクールを開催。「安全安心」など警備業に関連するお題で作品が寄せられ、展覧会は家族連れでにぎわった。

千葉警協は青年部会が中心となって労災事故防止に向けた会員向けイベント「セーフティフォーラム」を企画・運営。全国各地でも警察と連携した特殊詐欺防止キャンペーン、子供見守りパトロール、警備服を着たアイドル歌手の街頭イベントなどが行われた。

全警協主催の全国大会では、人命救助や容疑者確保などの功労が顕著な「模範となる警備員」表彰式が行われる。本紙は全表彰者にインタビュー、連載で「最前線で安全を守るエッセンシャルワーカーの思い」を伝えている。

紙面向上委員会

「旬のテーマ」深堀り

本紙は、紙面のさらなる充実を目指し「紙面向上委員会」を開催してきた。警備業の経営者や警備業協会関係者に「委員」を務めてもらい、業界の課題など“旬のテーマ”について深堀りする形で意見交換。示唆に富む発言が相次いだ。

初会合(2015年4月1日号)では「社保未加入問題と警備料金」について6人の委員が意見を交わした。回を重ねて社保未加入問題は「人材確保と定着促進」「働き方改革への対応」にシフトしていったが、警備料金をめぐる問題は以後も多くの議題に関連して常に話題にのぼった。

直近の20回目の会合(21年12月11日号)はコロナ禍の影響で1年半ぶりに開かれ、「東京2020」警備で警備員が果たした役割や長期化したコロナ禍への警備業の対応を話し合った。

女性経営者3人を含む延べ11人の委員は、それぞれの経験や情報を踏まえて警備業界の厳しい現状を憂慮し、改善点を指摘した。業界全体のレベルアップ、健全な発展に向けて、より多くの企業が取り組みを促進してほしいと訴えた。

これまでの議題は「検定合格警備員の配置拡充」「熱中症対策」「自主行動計画の推進」「警備業の災害支援のあり方」「自家警備問題」「AIなど次世代の警備」「東京2020に向けた取り組み」「法改正による法定教育時間の短縮、法定外教育の充実」「外国人雇用」「コロナ禍への対応」など多岐にわたった。

<委員を務めた皆さん> (敬称略、五十音順)五十嵐和代(五十嵐商会)、岩瀬剛(旭総合警備)、絵野裕美(東洋相互警備保障)、齋藤文夫(元・全国警備業協会)、實川利光(アルク)、鈴木伸也(日本海警備保障)、田中敏也(リライアンス・セキュリティー)、斜木幹郎(エムサス)、早川正行(元・神奈川県警備業協会)、平林尚子(神奈川県警備保障)、脇川清治(新日警備保障)