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クローズUP

3年ぶり合同入社式2022.04.11

千葉警協「大きく成長して」

千葉県警備業協会(加藤智行会長)は4月1日、千葉市内の同協会研修センター研修室で「合同入社式」を開催した。2019年に初めて開いたが、以降は新型コロナの影響で中止したため3年ぶりの開催(2回目)となった。加盟4社から大学・高校・専門学校を今春卒業した女性6人を含む合計30人の新入社員と4社の代表者が参加した。

加藤会長は、民間警備力のさらなる成長に欠かせないのは皆さんのような“若い力”だと期待を寄せ、はなむけの言葉として「去華就実きょかしゅうじつ」を送った。「外見の華やかさを取り除き、実際に役立つ人間になる」という意味で、「自分の内面に磨きを掛け、社会に貢献していただく人材へと大きく成長してほしい」とエールを送った。

新入社員代表として宣誓したMSKの大森敬介さん(22)は「上司や先輩、一般市民からも頼りにされる警備会社社員になるため平素から心身を鍛え、業務に必要な知識・技術の習得に全力を尽くす覚悟です」と決意を述べた。

20年にALSOK千葉に入社した石川翼さん(20)が先輩警備員からの激励として、入社以降に重要だと感じた「言葉遣い・態度・礼節の重要性」「チャレンジすることの重要性」の2点について話した。

石川さんは「言葉遣い一つでクレームにつながり、感謝もされる。接遇マナーは社会人としての第一歩。頑張って身に付けてほしい」と述べるとともに、自身の資格取得や警備品質の向上を目指した各種大会への出場経験談を交えながら、積極的にチャレンジしてほしいと呼び掛けた。

「行動計画」中小も義務2022.04.11

改正女性活躍推進法、施行

厚生労働省は4月1日、「改正女性活躍推進法」を施行した。これまで大企業に限られていた「一般事業主行動計画」の策定・都道府県労働局への届け出・外部への情報公表が、101人以上300人以下の中小企業にも義務化された。

一般事業主行動計画とは、自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、これを踏まえた行動計画を策定するもの。計画には期間・数値目標・取り組み内容・実施時期を盛り込まなければならない。

計画を策定すると、各府省庁が行う公共調達での加点評価が行われるともに、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援金」の特別利率による資金融資が受けられる。

ALSOK、新CEOに村井豪氏2022.04.11

栢木氏は社長に

ALSOKは4月5日の同社取締役会で、村井豪氏を同社グループCEO(最高経営責任者)兼CTO(最高技術責任者)、栢木伊久二氏を同COO(最高執行責任者)の社長執行役員とする人事異動を決定した。6月24日の同社定時株主総会での承認を経て選任する。共に代表権を持つ。

代表取締役会長でCEOの村井温氏と代表取締役社長でCOOの青山幸恭氏は取締役を退任、それぞれ顧問、特別顧問に就く。

同社は異動の理由を「東京2020が終了し、新体制で新たな展開を図るため」としている。

特集ワイド 警備業のDX2022.04.11

警備業界は「DX(デジタルトランスフォーメーション)社会」への対応が求められている。デジタル化でよりよい暮らしを目指すDXは、警備会社にどのようなメリットをもたらすのか。その一例として、CGSコーポレーション(山口県岩国市、豊島貴子社長=山口県警備業協会会長)の取り組みを取材した。

CGSコーポレーションは、人と機械が協力し合う交通誘導警備業務を全国に先駆けて採用した。1996年に日本初の「車載式の道路工事用誘導表示盤」を開発し実用新案特許を取得。信号機と誘導表示盤を車両の昇降機に固定したもので、工事現場に容易に搬送できる。改良を重ねて現在、中国地区を中心に約130台が活用されている。

2009年には警備士の受傷事故防止を目的に「新信号機システム」を開発。リモコン操作の無線による遠隔操作式の信号機で警備士の省人化や通行車両からのクレーム減少にもつながった。同年、国土交通省が運営する民間企業の新技術共有データベース「NETIS(ネティス)」に登録された。

同社の「AIを活用した片側交互通行規制システム」(上図)は昨年8月、国交省が進める「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択された。建設会社と通信機器会社の協力を得て3社のコラボレーションで実現した新技術だ。AIが渋滞状況を把握しながら通行車両を最適にコントロールする。今後は実証実験を重ね精度を高めていく。

現在は高速道路で交通誘導警備業務に従事する警備士の事故を防ぐシステムの開発を進めている。幅員減少に伴う通行車両の規制や通行止め工事区域内での工事車両の誘導業務を行う際に通行車両のスピードが速いため死亡事故につながりやすい。AIカメラで工事現場周辺の状況を把握し警備士の安全を確保する仕組みを構築する。

このように警備現場での「外へのDX」を進める一方で、同社は社内の事務作業など「内なるDX」にも早期に着手した。業務の改善と見える化(共有化)を目指しシステムエンジニア(SE)と連携しながら自社でシステム開発を行ってきた。

警備業法で定める保管資料をデータ化する「社員管理システム」は2004年に構築。業務に必要となる警備員名簿を迅速に作成でき、公安委員会の立ち入り検査用にも使用できる。

11年に「労務管理システム」を構築。警備員の勤務実績をデータベース化したもので、給与計算時間を削減し、さまざまな労務管理に活用できる。17年には「請求システム」を構築し見積書、契約書、請求書を1本化。誰がどの顧客に、どのような提案をしているか明確になり過去の契約状況なども確認可能。「労務管理システム」と連動させビッグデータとして活用中だ。

豊島社長はDXを進めるメリットについて「警備業は今後、警備士のほかにシステムの運用や保守を担うオペレーターが必要になると予想されています。当社はシステムや機器を導入したのではなく自社で開発したことにより、製作過程の経験や知見がDX社会に向けた貴重な財産になりました。システム開発で連携した多くの専門家との人脈も財産です」と話す。

同社長は警備業の喫緊の課題は、「DX社会への対応」と「慢性的な人手不足」の2点と述べ、2つの課題は密接につながっていると指摘する。警備業の人手不足の最大の要因は警備士の低い賃金にある。「警備現場のDX化」は新技術による高付加価値を生む。「社内のDX化」は効率性と生産性を高め、経費と手間を削減する。それらを実現させて原資を確保し経営者が適正な再分配を果たすことで、企業経営の好循環を実現できる。

山口警協青年部会(上川高太郎部会長)は「せい研究会」を5月21日、CGSコーポレーションのトレーニングセンターで開き、「DX化による経営基盤強化」を解説する。これまで議論を重ね構築したセオリーを協会加盟員に開示し、協力し合いながら課題解決を図る方針だ。