警備保障タイムズ下層イメージ画像

クローズUP

除・排雪の安全担う2022.02.11

新潟・東日本警備

豪雪地帯で排雪作業の安全を確保する――東日本警備(新潟県南魚沼市、舘野功代表取締役会長)は1月5日から3月31日まで、国道17号の南魚沼市六日町から湯沢町までの区間で排雪作業の交通誘導警備業務を行っている。

重機が路面の雪を道路脇に除雪、出来上がった“雪の壁”は場所によっては高さ3メートルにも達する。排雪は別の重機が雪の壁を崩してダンプに積み込み、河川敷などに設けられた排雪場まで運ぶ。

重機で道幅が狭くなった作業現場は片側交互通行となり、警備員は作業車両が一般車両や歩行者と接触しないよう交通誘導警備を行う。警備体制は1班8〜9人で雪が多いときには2班が出動、期間中は日曜日以外の連日業務に当たる。

同社は昨年から社内に「コロナ委員会」を設置して感染防止対策を徹底。作業内容を打ち合わせる朝礼には警備責任者一人が出席、あとで警備員に伝えるなど密の状況を避けている。

中小のIT化支援2022.02.11

中企庁 補助金拡充、インボイス対応

中小企業庁は2021年度補正予算で「IT導入補助金」などを拡充、中小のIT化を支援する。

23年10月導入の「インボイス制度」(適格請求書等保存方式)対応では、会計ソフトや受発注ソフト、決済ソフトなどの購入に対する補助率を、現行の2分の1から4分の3または3分の2に引き上げる。

また、最近のITツールが、自社で管理しているデータを外部事業者のサービスに移行する「クラウド化」が主流となっていることから、最大2年分のクラウド使用料を補助する。パソコンやタブレットなどについては、補助の上限額を10万円、補助率2分の1で支援する

特集ワイド 広がる新卒採用2022.02.11

深刻な人手不足が慢性化した警備業界で、大学・高校の新卒者採用に取り組む中小企業が増えている。コロナ禍にあっても学生の就職活動では底堅い「売り手市場」が続く中で、警備各社は採用活動の方法を工夫し、自社の将来を担う「生え抜き」となる若い戦力を確保して育成を図っている。警備会社の取り組みを取材した。

警備員は高齢者、中途採用者が多数を占める。警備業者の多くは、社会人経験者を「即戦力」として求めてきた。中高年の転職者に警備員教育を施して、異業種で培ってきた人生経験を警備現場で生かしてもらうのだ。

新卒者を採用すれば、社会人の心構え、ビジネスマナーから教育する必要があり、手間もコストもかかる。しかし、自社の経営理念、企業風土を理解して組織の核となる人材を育成することは重要だ。

3年前から新卒採用を開始した中小企業の経営者は「会社が永続的に発展していくためには、次世代の経営者を育てるとともに、次代を担う幹部候補者、現場リーダーを長い目で育て上げることが欠かせない。新卒者の長い人生を引き受ける覚悟が経営者に求められる」と語った。

警備員は58万8000人余(2020年末)のうち、30歳未満の警備員は5万人余で全体の1割にも満たない。若者、優秀な人材を警備業に振り向かせるためには、魅力ある職場づくりを進めることが必須となる。警備業界に新卒採用の取り組みが今まで以上に広がることは、魅力ある職場づくりが一層広がることでもある。

東京警備保障 「オファー型」で大卒8人

昨年に続いて「オファー型」の採用活動を行い、4月に大卒8人が入社する。

オファー型は、学生が新卒者専門の就職サイトにプロフィールや自己PRなどを登録。企業は登録者の中から興味を持った学生に対して選考のオファーを送り、個別に面談などを行う仕組みだ。コロナ禍により対面形式の集団説明会などが制限される中で、新たな採用方法として活用する企業が増えている。

同社は、選んだ学生にアプローチして自社の業務を説明し応募を促した後、複数回の面接と適性テストを行って採用を決めた。学生に対しては、面談の段階で入社後の希望配属先をヒアリングし、希望する部署への配属を前提で選考を進めた。「自分のやりたい仕事ができる」と入社を決意した学生が多いという。8人の配属先は本社総務部に1人、営業部に2人、首都圏の支社に2人、施設警備や受付業務に3人だ。

同社は長年にわたり中途採用に重点を置いてきたが昨年、30年ぶりに新卒者採用を行い、大卒6人が入社した。近年、遠隔操縦の「アバター(分身)ロボット」を導入した警備やドローンを活用する警備・設備点検などの新規事業に取り組み、人材の長期的な育成を視野に採用活動を行った。

先ごろ行われた内定式では、北村社長が「小さな改善を重ねて大きな成果につなげる『修正力』を高めてほしい」と激励の言葉を贈った。

東海警備保障 動画とオンライン活用

同社が主体となり警備会社5社などで構成する「TONETグループ」は、4月に7人(大卒2、高卒5=男性5、女性2)が入社する。

同グループは2020年からウェブ説明会を導入。自社の紹介を効果的に行うため、会社の歩みや業務を説明する20分間の動画を制作し活用中だ。動画は「安全安心を守る警備員は、目立たないが平和を守る正義のヒーロー・ヒロインのよう」と親しみやすくアピールするもの。新卒採用サイトを通じて希望者に配信され、スマートフォンやパソコンで視聴できる。動画を視聴した上で選考過程に進む。学生からは「警備はコミュニケーションが重要と分かり、発見がありました」などの感想がある。

21年からは、複数名の先輩社員が「サポーター」として、新入社員にきめ細かな指導やケアを行っている。1月13日には内定者と先輩社員によるオンライン座談会を開いた。空港警備、施設警備についての質疑応答を行うなどして親睦を深めた。

同グループは「より丁寧に育てる体制づくりを進めることは離職の防止、組織力の強化につながります」としている。

日本パトロール警備保障 入社1年、交通誘導2級

就職情報サイトなどを活用して新卒採用に取り組み、採用者を少人数にとどめて手厚い育成を図る――。

昨春、県内の大学を卒業して入社した徳能あすかさんは、施設警備と交通誘導警備に従事している。徳能さんは「もともと事件・事故を未然に防ぐ警備業に魅力を感じていました。会社見学で社内の雰囲気に好印象を受け、自分で行動を起せばやりたい仕事やさまざまな活動ができる社風と聞いて興味を持ち、入社しました」と話す。

徳能さんは、このほど交通誘導警備業務2級検定に合格した。資格取得へのチャレンジを希望したところ社内で時間をかけて指導が行われ、理解を深めて試験に臨むことができたという。今後、施設警備業務2級、雑踏警備業務2級の資格取得を目標に掲げる。

増子社長は「新卒社員を社員皆が気に掛け、育てようとする環境づくりによって若者の伸びしろはさらに大きくなる」と述べた。4月には専門学校を卒業する男性1人が入社する。

神姫警備保障 「奨学金返済、支援します」

奨学金を返済する社員を支援する――。

3月に創業40周年を迎え社員320人余りを数える同社は、新卒・若手採用を強化する取り組みの一環として2019年に「兵庫型奨学金返済制度」を取り入れた。

制度は、兵庫県と県内の政令市などが、奨学金(日本学生支援機構から受給)を返済中の社員を支援する県内の中小企業に対し、企業の負担額を補助するもの。補助金額は、社員の年間返済額の3分の1(上限6万円)で、最長5年間。県内企業174社が取り入れ、警備業者は同社を含め3社となる。 

現在、20年春に専門学校を卒業し入社した事務職の社員がこの制度を利用している。同社は「企業説明会やホームページで『奨学金の返済を応援しています』とPRを重ね、新卒の警備員・内勤者の採用につながれば」と期待を寄せる。

4月には、制度の利用者ではないが高校の新卒女性が警備員として入社する。近年、大学、高校の新卒男性は複数入社していたが、女性警備員の新卒採用は初となる。

また、同社はSNSのインスタグラムを昨年5月に開設した。イベントなどの警備現場で働く若者の姿を投稿し「暮らしに身近な警備の仕事」を紹介している。