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クローズUP

「東京2020大会」目前、テロを防げ2021.06.01

千葉警協が対策研修会

千葉県警備業協会(加藤智行会長)は5月13日、「テロ対策等研修会」を開催した。会場の同協会教育センターには13社から37人の警備員が参集した。

同研修会は、東京2020大会でのテロ事件の未然防止や、警備員が日常の各種警備現場でテロに対して適切な行動を取れるよう知識と技能を身に付けようというもの。初研修会は2019年12月に、第2回は20年1月に開催されたが、以降は新型コロナの感染拡大の影響を受け開催中止となっていた。しかし、延期された東京2020大会が目前に近づいてきたことや加盟社から開催を要望する声も多くなったため、同協会は感染予防対策を十分に講じて再開することとした。

教育は学科と実技から構成。学科ではテロ事件情勢や警備員が行うテロ対応、テロ事件の適用法令などを学び、理解度確認のために10問30分の考査を行った。実技では、手荷物のX線や開披による検査、携帯用と固定式の金属探知機の操作などを計3時間学び、終了後には協会独自の「修了証」が交付された。第4回の研修会は6月25日の予定。

県内では、千葉市の「幕張メッセ」と一宮町の「釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ」が東京2020大会の会場。オリンピック競技ではフェンシング、サーフィン、テコンドー、レスリングが、パラリンピック競技ではゴールボール、シッティングバレーボール、車いすフェンシング、テコンドーの各競技の開催が予定されている。

昼休み、時差取得を2021.06.01

厚労省、コロナ対策強化を要請

厚生労働省は5月17日、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」改正を受け、労使団体や業種別の事業主団体などに職場での新型コロナ対策の強化を傘下団体・企業に周知するよう要請した。

政府が14日に改正した基本的対処方針では「昼休みの時差取得」を新たに追加、職場での新型コロナ対策を拡充した。厚労省は同取り組みに加え、これから気温の高くなる時期を迎え、業務中のマスク着用による熱中症の発生が懸念されることから、熱中症リスクを踏まえた感染症対策への取り組みも求めることとした。

要請の中で同省は、スマートフォン用無線機を導入して3密を避けたコミュニケーションを図った建設業の事例など感染防止対策の実践例も紹介している。

全国警備業協会(中山泰男会長)が警備業の感染防止対策を定めた「警備業感染予防対策ガイドライン」では、警備員が関係者と接触する際、マスク着用と2メートル(最低1メートル)の距離確保を求めている。しかし、夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると熱中症のリスクが高くなることから、「屋外で十分な距離(少なくとも2メートル以上)が確保できる場合」はマスクを外すことを認めている。

全警協の新専務理事2021.06.01

黒木慶英氏就任へ

全国警備業協会(中山泰男会長)は5月11日、元・警察庁関東管区警察局長の黒木慶英(よしひで)氏を特別顧問として採用した。6月9日に開催の全警協総会で新しい専務理事に就任することになる。

黒木氏は宮崎県出身、63歳。東大法卒、1981年に警察庁に入庁。高知、沖縄、千葉の3県で県警本部長、関東管区警察局長などを歴任した。沖縄在任時代に習った沖縄空手を今も続けているという。

退任する予定の福島克臣専務理事は、2016年の就任から5年間にわたり、青山幸恭氏、中山泰男氏の両会長を事務方トップとして補佐した。協会活動では警備業の懸案だった適正取引推進に向けた「自主行動計画」の策定、コロナ禍への対応などに指導力を発揮した。

特集ワイド 警備業の労災防止2021.06.01

「持続可能な安全管理 未来へつなぐ安全職場」を今年のスローガンとする「全国安全週間」が7月1日から始まる。社会の高齢化を背景に、高年齢労働者の労働災害防止が重要テーマである。また、熱中症対策も大きな柱の一つだ。6月の準備期間に合わせ、厚生労働省労働基準局の安達栄安全課長に警備業における安全確保について寄稿してもらった。

多い転倒、高齢者に安全を

警備業における労働災害による休業4日以上の死傷者数は、ここ数年、前年を上回る状況が続きましたが、2020年は1792人と、対前年比5.5%の増加となりました。

死傷災害を事故の型別に分析すると、最も多いのが「転倒」約39%で、以下「交通事故(道路)」約13%、「動昨の反動・無理な動作」約11%、「墜落・転落」約13%となっています。「転倒」と「交通事故(道路)」で過半数を占める状況にあるため、重点的な対策を講じることが必要です。

20年の死亡者数は28人で、対前年比7人(33.3%)の増加となりました。この28人の事故の型別の内訳は、「交通事故(道路)」15人、「挟まれ・巻き込まれ」3人、「激突され」3人、「溺れ」2人などとなっています。

また、警備業における年齢別の被災状況は、60歳以上の労働者が占める割合が半数で、全業種平均の26.6%に比べ相当高い水準です。50歳以上まで加えると全体の約7割を占めることとなり、人数・割合とも年々増加しているという特徴があります。

これらの状況を踏まえ、特に次の事項を重点とした労災防止対策を強化することが必要です。

人は一般に加齢とともに、身体能力・感覚機能が変化してきます。特に、足の筋力、視力・聴力、バランス感覚、記憶力・判断力などが低下し、若い頃と比べ転倒や墜落・転落などの労災に遭いやすくなります。警備業は高年齢労働者の割合が高いため、高齢でも安全で快適に働ける職場づくりに努めることが重要です。

例えば、床面の段差や凸凹を視認しやすいようにする、表示の字を見やすい大きさ・色にする、適切な照度を確保する、取り扱う重量物の重さを制限する、作業時間を見直すなどです。加えて、注意喚起だけで終わることなく、高年齢労働者の心身機能の変化を踏まえた職場環境の改善を図ることも必要です。

厚生労働省では、20年3月に策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)を今年度も普及していきます。エイジフレンドリーとは「高齢者の特性を考慮した」を意味する言葉で、WHOや欧米の労働安全衛生機関で使用されています。関連セミナーを開催するなどの支援によって、高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりを推進します。警備業のみなさま方も積極的にご参加ください。申請受付は6月中を予定しています。

交通誘導警備と輸送警備における交通事故対策が重要です。

道路工事などでの交通誘導警備では、不特定の第三者が運転する車両を対象とするため、警備員の意思が運転者に伝わりにくいなどの問題があります。分かりやすく確実に合図を伝えることや、安全に配慮した適切な誘導位置の確保、適切な装備品・保安用資機材の装着・使用など、基本的対策の徹底をお願いします。

現金輸送車などの輸送警備では、「交通労働災害防止のためのガイドライン」などに沿った対策が必要です。適正な走行計画の作成、乗務開始前の点呼等による運転者の状況の確認、運転者に対する教育の実施、交通ヒヤリマップの作成や交通KYTによる危険感受性の向上、雪や大雨時の安全確保などの取り組みが不可欠です。

警備業では、暗い夜間の警備や緊急時の駆け付け、降雨・積雪のある屋外での警備など他の業種にはない課題も複数あります。

また、管理権限の問題もあると思われますが、警備場所のオーナー等の理解・協力を得ながら転倒原因の除去、改善を図り、警備員に対する危険予知訓練(KYT)などを通じた注意力の向上など、転倒災害防止対策に心掛けて下さい。

熱中症警戒、正しいマスク着用

警備業の熱中症の死傷者数は依然高止まりの状況です。

警備業等の作業現場においても、(1)黒球付測定器によるWBGT値の測定と適切な作業計画(2)屋外での作業の場合に冷房や屋根などの休憩を取るための設備の整備(3)健康診断結果や点呼時を活用した当日の健康状態の把握(4)熱中症の早期発見と緊急時の対応についてあらかじめ確認し、救急車の要請等、適切な対応を図って下さい。

熱中症は、気温が急に上昇したときや雇い入れ時、休暇明けなど、暑さ慣れしていないときに特に発生しやすいので、重点的な対策をお願いします。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、感染防止の観点から、夏場においてもマスク等の着用が求められていることにも注意が必要です。

軽度の運動では、マスク等の有無により、熱中症と関連が深い深部体温の上昇には差がないということが研究結果から分かっていますが、一方で、マスク等の着用により、(1)呼吸時の負担感が増加し、飛沫飛散防止等の効果が高いものでは息苦しさを強く感じる(2)マスク等の内部に「酸素濃度の低下」、「二酸化炭素濃度の上昇」が見られる――などの影響も明らかになっています。単独作業の場合や屋外で他の作業員等と十分な距離(2メートル以上)が確保できる場合などでは、熱中症予防の観点からマスク等を外した方が良い場合もあると考えられます。

厚労省では、本年5月にリーフレット「建設現場における熱中症予防と新型コロナウイルス感染防止」(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000781018.pdf)を作り、建設現場におけるマスク等の正しい選び方、使い方を作業員一人ひとりに徹底することを呼び掛けています。警備業においても、「道路工事などでの交通誘導」など、建設現場と同様または類似の作業が存在しますので、上記リーフレットを参考に夏場における熱中症予防と新型コロナウイルス感染防止の両立に努めて下さい。

また、職場における熱中症予防に関するポータルサイト(https://neccyusho.mhlw.go.jp/)ではeラーニング教材などを掲載していますので、ぜひご覧下さい。

厚労省では、国や事業者、労働者等の関係者が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第13次労働災害防止計画」において、それぞれの業種の特性や労災の状況に応じた"対策を講じています。

昨年度は、全国警備業協会にご協力いただきながら、警備業向けに雇入れ時教育の安全衛生教育マニュアルを作成しました。厚労省ホームページから入手できますので、社内の安全衛生教育にご活用下さい。