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愛知・徳島の2警協「被災地」で交通誘導2022.09.21

「防災の日」各地で訓練

9月1日の「防災の日」、各地で訓練が行われた。

愛知県警備業協会(小塚喜城会長)は、県警本部が豊山町内で実施した「緊急交通路の確保訓練」に参加した。

訓練の想定は、南海トラフを震源域とするマグニチュード9の地震が発生、県内で震度7を観測して建物倒壊や交通機関が途絶したというもの。愛知警協は県警との災害支援協定に基づき警備員の出動要請を受け、同協会の北東・中・西・南の各支部の6社10人で編成された災害支援協力隊(渡邊隆訓練隊長=中部相互警備保障)が出動した。

訓練は、緊急交通路を確保するために警察官が行う交通規制活動の支援。警察官の補助や車両の誘導、交差点での信号滅灯対策訓練の交通誘導などを行った。

徳島県警備業協会(松岡宏会長)は、三好市内で行われた「県総合防災訓練」に参加。松岡会長、野崎寛治専務理事などが見守る中、女性1人を含む4人の青年部会員が訓練に臨んだ。

訓練は、県西部を震源としたマグニチュード9の地震が発生し、県内で震度7を観測。三好市内で家屋倒壊や道路の寸断などで集落が孤立しているとの想定。

徳島警協は県・県警と協定に基づき県警からの要請を受けて出動したとの想定で、土砂崩れによる道路の遮断現場に先着して交通規制を行っていた警察官から交通誘導を引き継ぎ、土砂などの障害物を撤去する道路啓開訓練を行う県建設業協会などの関係車両の交通誘導を担当した。

訓練には、加盟社が持つソーラーシステムによる電光表示が可能な標識車を使用。ライフラインの途絶えた地域でも警備業が活動できることや、女性青年部会員が警備員として参加することで、女性も活躍できる仕事をPRした。

警察庁新長官に露木氏2022.09.21

生安局長は山本氏

安倍晋三元首相の銃撃・死亡事件を受けて警察庁の中村格長官が8月30日付で辞職、後任の第30代の警察庁長官に露木康浩(つゆき・やすひろ)次長(59)が就任した。

露木氏は1986年に京都大学法学部を卒業し、同年4月に警察庁に入庁。

02年埼玉県警刑事部長、16年警視庁刑事部長、18年警察庁刑事局長、20年同長官官房長などを歴任。21年9月から警察庁次長。

生活安全局では緒方禎己局長が警察庁次長に就任、後任の生活安全局長に山本仁(やまもと・まさし)氏(57)が就いた。

山本氏は1988年東京大学経済学部部を卒業し、同年4月に警察庁入庁。

2020年警察庁長官官房総括審議官兼交通局付兼警備局付、21年神奈川県警本部長などを歴任。22年1月から警視庁副総監。

特集ワイド 管制業務を効率化2022.09.21

警備会社の経営基盤強化は、原資を確保することと社内業務の効率化を図ることが重要なポイントとなる。ソフトウエアの開発・販売を手掛けるエイセルは、管制業務の効率化を実現するアプリケーション「AceConnect(エースコネクト)」を開発、販売している。その機能と活用するメリットを取材した。

「エースコネクト」は警備業に特化したアプリケーションで、管制や警備現場、経理など多岐の業務を効率化できる。機能は「警備員の配置計画」「警備員への作業指示」「警備員からの作業報告」「作業日報の電子化」「各社の基幹となる給与システムとの連動」の5点だ。

このうち「警備員の配置計画」は、これまで管制が使用してきたホワイトボードの代わりにインターネットブラウザを利用した専用画面で配置計画表を作成する。フォーマットは交通誘導警備用と施設警備用の2パターンがあり、警備員名・日にちと作業時間・現場・作業内容などを入力する。表は社内で共有でき、社外から確認も可能だ(①)。

「警備員への作業指示」は、計画表の入力データが即時に警備員が持つスマートフォンにメッセージとして送信される。警備員にメールや電話、郵送などで指示内容を伝える必要がなく、時間と経費の削減につながる。

「警備員からの作業報告」は、警備員のスマホにインストールした無料通話アプリ「LINE」の簡単なボタン操作で済む。管制担当者は集中する電話連絡や電話を受けきれない忙しさから解放され、作業に集中できる。

「作業日報の電子化」は、勤務実績データから作業報告書の自動作成を行うことができる。報告書を電子化するには、作業時間や作業場所などに変更があった場合、訂正できる機能が必要だ。エースコネクトはLINE画面上にある「実績訂正」ボタンを押しメッセージに従って訂正することが可能だ(②)。

警備員が業務終了後にもらう発注者の“確認サイン”の電子化も必要となる。エースコネクトはスマホ画面上の「サイン欄」に手書きで書き込んでもらうことができる(③)。作業日報を電子化することで警備員は会社へ報告書を持参する必要がなくなり、発注先への提出もメールでできる。紙代など経費の節約にもつながる(④)。

管制が受信した業務予定や警備員の配置計画、上下番の報告、作業日報などのデータはすべて、クラウド型データベース「kintone(キントーン)」に取り込まれる。

「各社の基幹となる給与システムとの連動」はオプションの機能として提供している。キントーンのデータベースから取り出した、現場ごとに違う勤務時間などのデータを給与システムに取り込み給与計算を行う。給与明細や源泉徴収票、請求書、勤務表、売上集計表などの発行が可能だ。上番下番報告を受けた時間や休憩時間を紙に記録し給与システムに入力する手間と時間を削減できる。

エイセルは40余年にわたるソフトウエア開発の実績があり、カスタマイズの注文に応えている。エースコネクトの製品画面や操作のデモンストレーションをTeamsなどの会議用アプリで見ることができる。30日間無料トライアルも実施中だ。

▽問い合わせ先 エイセル(担当・斎藤) Eメール nsaito@psl-em.co.jp ☎ 090-1178-2855

警備業のDX 若手経営者中心に浸透

あと3年以内にデジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)社会を実現できない場合、経済的損失は年間最大12兆円にのぼる――経済産業省が警鐘を鳴らす“2025年の崖”が近づく中、各企業がICT(情報通信技術)活用に取り組んでいる。

警備業もこの2年間でDX化を進める動きがあった。全国警備業協会(中山泰男会長)は21年1月、警察庁に「行政のデジタル化に関する警備業界の要望」を提出。アナログで非効率的な手続きの改善に向け警備業法に基づく各種手続きのオンライン化を求めた。

21年7〜9月に開催された「東京2020」では大会警備JV(共同企業体)が「上番下番報告システム」を採用。警備員は上番下番報告を携帯端末の操作で行い、稼動時間のデータを基に警備料金の請求・支払処理まで一元管理するシステムだ。JV553社がシステムを使用したことにより各社で業務効率化に向けたICT活用が広まった。

山口県警備業協会・青年部会(上川高太郎部会長)は22年5月の研修会で、CGSコーポレーション(山口県岩国市、豊島貴子社長)が取り組むDX化の現状を発表した。同社は12年以降、労務管理と装備品管理、請求管理などのシステムを自社開発し作業効率の向上を図った。月45時間だった社員の時間外労働時間を21年には5時間まで削減した。

一方、小規模の警備会社を中心に依然としてDX化が進まない実態もある。それは全警協・基本問題諮問委員会「ICT・テクノロジー活用部会」(豊島貴子部会長)が実施した警備会社1140社への調査結果で明らかになった。アンケートの回答には「高齢な警備員が多くスマホによる上番下番連絡が実用化に至らない」「人手不足対策に追われDXに取り組む余裕がない」などの声があった。

警備業はマンパワーが主軸の労働集約型産業で平均年齢が高いことから、アナログ的な業務に固執しがちだ。しかし業界に事業継承が進む中、若手経営者を中心にDX化の取り組みが徐々に浸透してきた。各地の青年部会では情報交換も活発に行われている。