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クローズUP

「警備員名簿」押印は不要2021.04.11

全警協、加盟者へ周知へ

全国警備業協会(中山泰男会長)は3月26日、警備業法に基づく申請・届出の際に添付が必要な一部書類について、押印・署名が不要であることを通知した。同月19日に警察庁が都道府県警察に対して行った事務連絡を受けたもの。

警察庁が押印・署名が不要としたのは次の通り。

▽警備業法第45条規定の営業所ごとに備え付けが義務付けられている確認票や教育実施簿、教育計画書、指導実施簿などの「警備員名簿」。

▽警備業法に基づく申請・届出の際に添付が求められている「履歴書」。

▽添付が必要な「誓約書」(誠実に業務を行うことを誓約する書面と欠格事由に該当しないことを誓約する書面)。

全警協は同通知内容を都道府県警協に連絡、加盟社への周知を要請した。同協会発行「基本書式記載例集」掲載の関係書類の「押印欄」などを削除、早期に改定版を発刊する。

全警協は今年1月12日、警察庁に全15項目の「行政のデジタル化に関する要望書」を提出。要望書の中で「申請・届出時の署名・押印が必要な添付書類の再検討」や「営業所備付書類への署名・押印の省略」などを求めていた。

「ゴールボール」を支援2021.04.11

埼玉・ゼンコーがサポーター契約

ゼンコー(さいたま市、海野弘幸代表取締役社長)は4月1日、日本ゴールボール協会(梶本美智子会長)と「オフィシャルサポーター契約」を結んだ。

同社は2019年から「オフィシャルサプライヤー」としてゴールボール大会の運営に協力。今後は運営に加え資金面でも支援する。また、同社女子硬式野球チーム「ZENKOBEAMS」もゴールボール競技に参戦する。BEAMSのメンバーは現在20人。全員が警備員として施設や交通誘導、雑踏などの警備業務に従事する。例年11月に開催される日本ゴールボール選手権大会の女子予選大会への出場を目指しつつ、ゴールボール競技の普及にも努める。BEAMSメンバーの平原美羽さんと浅田真有さんは、「やると楽しさが分かった」「おもしろさを伝えていきたい」と、新たなスポーツへの挑戦を楽しみにしている。

特集ワイド 最先端の万引対策2021.04.11

万引対策のキーワードは「情報共有」――。全国万引犯罪防止機構(万防機構/東京都千代田区、竹花豊理事長)は3月12日、東京ビッグサイトで開かれた「SECURITY SHOW 2021」で、「最先端の万引対策」と題して5つのテーマでパネルディスカッションを行った。いくつかの事例が紹介され中で、2つのプロジェクトを取材した。

書店

啓文堂書店・渋谷店、大盛堂書店、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店の3店舗は、顔認証システムの画像データを共有して万引き犯を検知する「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」に参加している。

経済産業省が2002年に全国の書店2530店舗に対して行ったアンケート結果によると書店の年間の万引被害額は1店あたり約212万円にのぼることがわかり、被害の深刻さが浮き彫りになった。

プロジェクトは2019年9月に立ち上がり約1年半が経過。万引犯罪を行ったことが確実な人物の画像を3書店で共有、その人物が来店すると店員に注意を促し警戒して再犯を未然に抑止する業界初の取り組みだ。個人情報保護の観点から、専門知識を有する弁護士や大学教授、消費団体などで構成する「運用検証委員会」が、個人情報保護法に基づいて運用されているか検証を行う。

パネルディスカッションでは、3氏がパネリストを務めた。

プロジェクト事務局長の阿部氏は「2019年7月30日から20年7月31日までの1年間の運用で万引犯として特定、登録した人数は3店舗で40人、万引行為を確認した事案は53件、うち13件は同一人物が再来店していた。万引きの抑止につながった数は7件で万引き犯として捕捉した数は8件あった」と成果を発表した。

顔認証システムを担当したグローリーの越智氏は「3書店で万引き犯が再来店した事実を確認でき、実態の検証ができました。今後はマスク着用の対象者の検知能力アップに向けて、さらに認証機能の改善を図っていきます」と語った。

大盛堂書店の舩坂氏は「直近の棚卸しの結果、万引きによる損失を減らすことができたことがわかりました。誤認逮捕やお客さまからのクレームもなく、万引き予防に向けた従業員の意識も向上したことからプロジェクトの意義を確認できました」と述べた。

阿部氏は「これまでの経験を踏まえて改善、法令遵守・説明責任を車の両輪として進めていけばプロジェクトへの理解、そして防犯の効果がさらに得られるでしょう」と総括した。

薬局・衣料品店

ウエルシア薬局と衣料品の製造販売を行うユニクロを傘下にもつファーストリテイリングの店舗が大量万引きの情報を共有し被害を防止する「緊急通報システムプロジェクト」の紹介があった。

同プロジェクトは2019年10月にスタート。大量万引きが発生した際に発生日時、場所、被害品(商品名)、犯人像などを2社が文字情報で共有する。

パネリスト3氏が意見を述べた。万防機構の長谷川氏はプロジェクトの概要について「運用は現在、静岡・愛知・岐阜・三重の中部地区4県内の2社・約400店舗で行っています。システムへの入力はパソコンやスマートフォンでも簡単にできるように開発しました。アジア系外国人グループや常習万引き被害の日時、地域、時間帯、商品を確認でき、来店した疑わしい人物への警戒や声掛け、注視による防止対策を図ることができます」と説明した。

ファーストリテイリングの土屋氏は「システム導入の目的は万引き犯の捕捉ではなく未然防止であり、その目的は果たせています。今後は犯人の特長などの情報の精度をより高め効果を上げていきたい」と語った。

ウエルシア薬局の井上氏は、成果について「他業種と盗難防止対策についての意見交換を行うことで気付きがあり、参考になります。今後は同一業種の参加を期待したい」と話した。

2019年10月21日から21年2月28日までに244件の通報があり、そのうちアジア系グループの通報が162件で66%を占めた。今後は専門家で構成するPIA(プライバシー影響評価)検討委員の意見や助言を受けながら、画像共有による運用を準備している。共有する画像は、防犯カメラに記録された犯人画像から静止画を取り出し、頭部全体にマスキング処理を施す予定だ。

店舗の対策強化が急務

万防機構・理事長講演

竹花理事長は「新しい時代のロス対策・万引対策」と題して基調講演を行い、万引きを減らすカギとして「店舗の対策強化が急務」と強調。具体的には「監視カメラなどセキュリティー機器の設置、万引対策についての店舗の方針を確立・共有し来店客の目を見たあいさつをするなど、ハードとソフトの両面から犯行が難しい店舗づくりが大切」と指摘した。足立区が始めたプロジェクトを紹介し「地域の行政が中心となり、小売業者や警察署などと連携して本格的な万引対策を行うのは初めてのことで、当機構でも積極的に支援していきたい」と述べた。

万引犯罪は、2004年の15万8020件をピークに20年には8万7280件まで減少。しかし減少率は、刑法犯認知件数と比べると鈍く、全刑法犯に占める万引犯の割合は04年の6.2%から20年には14.2%に増加した。警備業は19年末現在で、警備会社9908社のうち1445社(14.6%)が保安警備業務に従事する。私服または制服警備員による店内巡回やモニターによる監視を行い、万引犯罪の防止に務めている。