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クローズUP

下呂市にラーメン、水2020.07.21

岐阜警協 被災地に食料支援

岐阜県警備業協会(幾田弘文会長)は7月11日、「令和2年7月豪雨」で被害を受けた岐阜県下呂市(山内登市長)に、同協会が防災用に備蓄していた食料品などの支援物資を提供した。

7月7日から記録的な豪雨となり、8日朝には飛騨川が氾濫した。下呂市と高山市では一時、約900世帯約3000人が孤立した。幹線道路が崩落し生活物資の供給に影響が出たことで、同協会は4年前から備蓄している食料品などを被災者のために提供することを決めた。

雨が小康状態となった11日、幾田会長が下呂市役所を訪問した。災害復旧活動を指揮する山内市長に、協会備蓄の食料品(袋入りラーメン250食、五目ご飯90食)と飲料水(500ミリリットル144本)のほか、カップめん76食と市販の飲料水(555ミリリットル、700ミリリットル)96本を渡した。

山内市長は「このような支援物資をいただけることは大変ありがたい」と、岐阜警協の迅速な対応に感謝の言葉を述べた。幾田会長は「協会でお役に立てることがあれば何なりと申し出ていただきたい」と今後の復旧活動に向けた協力を表明した。

  

「警備員B」が最低2020.07.21

健保、年金の加入率

国土交通省は7月9日、昨年10月に行った公共事業労務費調査の際に併せて実施した「社会保険加入状況調査」の結果を公表した。

「公共工事設計労務単価」対象の全51職種平均の労働者別の加入状況は、全職種平均が雇用保険94パーセント、健康保険92パーセント、厚生年金保険89パーセント。いずれも過去最高だった。一方、交通誘導警備業務の1級または2級の検定合格警備員の「交通誘導警備員A」は雇用保険94パーセント、健康保険90パーセント、厚生年金保険87パーセント。A以外の「交通誘導警備員B」は雇用保険84パーセント、健康保険69パーセント、厚生年金保険62パーセント。特に「交通誘導警備員B」の加入率が低く、健康保険と厚生年金保険の加入率は全51職種の中で最も低かった。

全職種平均の企業別加入状況は、雇用保険、健康保険、厚生年金保険いずれも99パーセント。「交通誘導警備員A」と「同B」は、ともに雇用保険100パーセント、健康保険と厚生年金が99パーセントで、全職平均同様高い加入率だった。

特集ワイド2020.7.21

「コロナ禍」での需要

警備業は2月下旬から新型コロナウイルス感染症の影響により建設工事やイベントが軒並み中止となり、業務がキャンセルされて経営に深刻なダメージを受けている。経済活動は少しずつ再開しているものの、複数の上場警備会社は新規契約数の減少や既存契約の解約が続くとして、今期業績を減益と予想、厳しい状況からの出口はまだ見えてこない。そのような中で、わずかだが新たに生まれた需要もある。

発熱者見つけ感染の拡大防ぐ

コロナ禍で生まれた需要の一つが体温検知システムだ。それまでは一部の国際空港や港湾などで海外からの感染症を持ち込ませないために利用されるのみだったが、今やオフィスビルから官庁、商業施設まで至る所に設置されている。警備会社は発注主からの要望に応じて、機器メーカーの製品を警備業務の現場に導入し、発熱者を見つけることで感染拡大を防ぐ。

東急セキュリティ(東京都世田谷区、下形和永社長)は5月から体表面温度監視カメラシステムの販売を始めた。当時出されていた緊急事態宣言の解除を見越して、営業再開を検討していた警備業務の顧客企業などに提案。商業施設や集客施設、学校などに500台以上を納入した。

販売している機種は、音声ガイダンス機能が付いた「カメラ・モニター一体タイプ」や「手首測定タイプ」、一度に最大20人の検知ができる「AI顔認識カメラ」とモバイルバッテリーで稼働する「ハンディ型サーモカメラ」の4つ。

既存の警備現場だけでなく、これまで付き合いのなかった企業にも納入している。機器のみの販売もあれば有人警備と組み合わせた提案、設置や設定に関する相談や調整など幅広く行う。警備員のいる現場の場合は機器で測定し、あらかじめ決めた体温より高い数値を検出すると別スペースで精度の高い体温計による再検温を行うといった流れで運用する。

ALSOK(東京都港区、青山幸恭社長)も多くの既存客からの要望に応じて、6月から体温やマスクの有無を自動検知するAI体温測定顔認証端末の販売を始めた。マスクを着用していない人には音声で警告できる製品だ。

これまでに数十台を販売しており問い合わせも後を絶たない。導入先は入口にゲートが設けてあるオフィスなどが多い。社員のIDと体温を自動で記録できるため、手間をかけることなく健康管理が可能な点も受け入れられているという。

体温検知システムは新型コロナの感染者数が多い東京や大阪だけでなく、全国で需要が高まっている。茨城県ひたちなか市の東関東警備保障(鴨志田聡社長)は5月から最大20人同時測定できる「体表面測定サーマルカメラ」などを販売。6月9日に、常駐警備先である日本自動車研究所城里テストセンター(茨城県東茨城郡城里町)にサーマルカメラ一式を導入・設置した。そのほか病院や裁判所、保育園といった施設から問い合わせがある。

休業店の侵入盗対策、留守番の子供見守り

新型コロナの影響で警備業務の中止や解約が増えている中で、新たな契約が生まれているケースもある。

ALSOKは緊急事態宣言発出から、休業した店舗が侵入盗を防ぐため、機械警備の新規導入希望が増加した。現在はテレワークを採用している企業からの引き合いが多い。一斉休校により留守番をする子供が増えたため、ホームセキュリティーやウェブカメラによる見守りサービスの問い合わせも増えた。

施設や店舗の営業再開に合わせて、運営事業者は屋内の“3密”の回避に苦心している。2号警備システムの開発・販売を行うKB―eye(山梨県中巨摩郡昭和町、秋山一也・橘田孝一共同代表)は、混雑密度を検知して通報するシステム「ZAT―02」の販売を始めた。これまでに30件ほどの問い合わせがある。

同社が販売している屋外の混雑を検知する雑踏警備システムを改良したもので、施設や店舗内部の混み具合を検知して警備員や店舗スタッフに通知することができる。混雑を分散させることで店舗スタッフや客だけでなく、巡回や誘導を行う警備員の感染リスクを抑える効果がある。

コロナ感染者の対応に携わる業務もある。エスピトーム(静岡市、塩澤孝太郎社長)は5月14日から6月30日まで、静岡県から新型コロナ感染症の軽症者宿泊施設の運営補助を業務委託された。静岡市内のビジネスホテルの11フロアで、施設の監視・巡回のほか感染者への食事の運搬などを行った。

警備員は昼3人、夜2人の体制で業務に当った。業務に先立って自衛隊から感染施設内での業務経験がある隊員を講師に招き、安全区域や危険区域の区切り方や、防護服の着脱方法などの指導を受けた。