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クローズUP

静岡警協 高校3年生に警備業PR2024.09.21

インフラ事業者説明会

来春就職予定の高校生に、社会基盤を支える職業をアピール――。静岡県警備業協会(立川勝彦会長)は8月19日、静岡市葵区内の古庄自動車学校で開かれた「社会に貢献するあなたへ〜インフラ事業者合同説明会」に参加した。

同校は「少子化の中、インフラ関連事業者がより多くの優秀な人材を獲得する機会になれば」と主催。就職を検討している高校3年生などを対象に行い、静岡労働局が協力。県警察、自衛隊、県トラック協会、静岡市の建設業協会、県交通安全協会などが集まる県内初の合同説明会となった。

静岡警協からはセコム、綜合警備保障、ALSOK静岡、鈴与セキュリティサービスの4社、警備員と採用担当者など十数人が参加。教習コースでは、白バイ、パトカー、2台の現金輸送車などがデモンストレーション走行を披露した。制服の警備員は、貴重品運搬警備など各種の業務について説明を行った。

高校3年生など約60人が参加し「警備員さんの仕事は交通誘導だけでなく、現金輸送や機械警備、空港保安など幅が広いと分かった」と感想を話した。当日の様子は地元テレビ局で放送された。

静岡警協・三原浩専務理事は「参加者に好評で警備業の理解促進、イメージアップにつながったと思います」と述べた。

危機管理産業展2024.09.21

10月9~11日 東京ビッグサイト

今年20回目を迎える国内最大級の危機管理総合トレードショー「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2024」と国内唯一のテロ対策専門展示会「テロ対策特殊装備展(SEECAT)24」が10月9日(水)から11日(金)までの3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される(主催=東京ビッグサイト)。

危機管理産業展は「防災・減災」「BCP・事業リスク対策」「セキュリティー」の3分野を中心に、あらゆるリスクに対処する最新機器やシステムを展示する。今年は特別テーマとして「衛星測位・位置情報活用」と「ドローン」を新たに企画し展示エリアを設定。337社・団体が出展を予定しており、警備業からは全国警備業協会(村井豪会長)が出展する。

テロ対策特殊装備展は、警察や警備業などの治安関係者、自治体や鉄道インフラなどの危機管理関係者などに来場を限定したクローズドショー。緊迫する世界情勢を背景に最新鋭のテロ対策資機材などを展示する114社・団体が出展する予定で、警備業からはセントラル警備保障(東京都新宿区、市川東太郎社長)とセキュリティー(岐阜市、幾田弘文代表取締役)、国際警備(群馬県高崎市、山﨑健社長)が出展する。

昨年は両展示会を合わせて約1万4700人が来場。今年は1万7000人超を見込んでいる。

特集ワイド 警備員「概況と課題」2024.09.21

働きやすい環境整備

警察庁が2023年12月末時点でまとめた「警備業の概況」によると、警備員全体に占める女性の割合が高くなった。一方で警備員の高齢化が進んだ。人手不足の中、働く女性をさらに呼び込むことや、高齢者が安心して働ける環境整備が課題だ。30代などの離職が少なくないことも数字に表れており、研修会で解決策を探ったケースもある。警備業界を挙げた取り組みが期待される。

「概況」によれば、23年12月末時点の警備員数は58万4868人。前年を2754人上回った。22年に警備員数は8年ぶりに減少したが、増加へ転じた。ただ21年と比較すると、5070人少なかった。

男女別の警備員数は男性54万3893人、女性4万975人。女性は前年比で1604人増加し、“大台”を超えた。警備員全体における割合は0.2ポイント増え、7%に乗った。

国の労働力調査によると、23年(平均)の就業者数は前年に比べ24万人多い。男性が3万人減少した一方、女性は27万人増加しており、女性警備員増の一因になったとみられる。

女性警備員が働きやすい環境整備として、企業の取り組み例では、警備現場を巡回してフォローに当たる「ラウンダー」が、現場周辺でトイレを借りられる場所や、ゆっくりと昼休憩を取れるスペースを事前に確保していることなどがある。

国は「女性活躍」の施策を推進している。仕事と育児の両立支援では、フルタイムでの柔軟な働き方に対する助成金を新設。▽始業時間の変更▽テレワーク▽所定労働時間の短縮▽保育サービスの手配・費用補助▽育児のための年次有給休暇の付与――の中から複数を選択し実行する中小企業に助成を行っている。

国では、時限法で来年度末をもって失効する「女性活躍推進法」を10年延長する方向で検討を進めている。出産や子育てに伴う離職で女性の勤続年数が短いことを背景に、依然として男女間の賃金格差が大きく、女性管理職の比率が低いためだ。警備業界を挙げて是正を図ることは、他業種からの転職に結び付く可能性がある。

同推進法では、女性活躍関連の数値目標を掲げた行動計画の策定について、従業員数101人以上の企業に義務付け、100人以下には努力義務として課している。今後、不妊治療や更年期など「女性特有の健康課題」への対応を計画に盛り込むことが必要となる見通しだ。

「概況」によると、警備員の半数近くは60歳以上。年齢別でみた場合、「70歳以上」が11万7411人と最も多く、全体の2割となった。

全国警備業協会では昨年、「60歳以降も働きたい人たちが長く活躍できる職場にする」ことを目指し、「警備業 高齢者の活躍に向けたガイドライン」を作成した。事例を踏まえ、六つの指針を示した。

継続的な面談で高齢者の要望や健康状態、生活状況を把握し、併せて会社側の期待を伝えることや、高齢者の豊富な知識や経験を若手・中堅社員に伝える機会を設けることなどを呼び掛けている。

また全警協では、ホームページで公開している実験動画で、「座哨警備」が身体的負担やストレスの軽減に有効であることを紹介している。

警備員の高齢化が進む中、労働災害の防止も引き続き課題だ。今年1〜7月の労災による死傷者数(死亡と休業4日以上の合計)で警備業は978人。全体の45.5%に当たる445人は転倒によるものだった。

国が行った23年の労働安全衛生調査によれば、転倒を防ぐためのハード面の対策(手すりの設置、滑りにくい床材・靴の導入、段差の解消、照度の確保など)を行っている事業所は8割にのぼる。一方で、ソフト面の対策(専門家による身体機能チェック、運動指導など)は進んでおらず、企業規模が小さいほど未実施率が高い。

警備業法第4条に基づく認定業者「4条業者」は23年12月末時点で1万674社。前年比で150社増加し、過去最多を更新した。警備員数別では100人未満が9649社となり、全体の90.4%を占めた。

警備業務別では▽1号=7167社(前年比73社増)▽2号=8596社(同441社増)▽3号=705社(前年と同数)▽4号=723社(前年比8社増)。1号では施設が増加した一方、空港保安と機械は減少した。2号の交通誘導、雑踏はそれぞれ増えた。

検定合格証明書の保有は延べ22万1905人、警備員指導教育責任者の資格保有は延べ10万1065人となっている。

人材確保「まずは離職防止」

ジョブズリサーチセンター(リクルート調査研究機関)の宇佐川邦子センター長が9月6日、千葉市内で開かれた千葉県警備業協会の経営者研修会で講演した。警備業で30代などの離職が課題となっている中、参加した約100人が対策の参考にした。

2023年12月末時点の警備員数で「30〜39歳」は、「30歳未満」より約5千人少ない状況にある。

宇佐川センター長は、業種を超えた競争が激化している人材確保に関し、「方法はシンプルだが、順番が大事。まずは離職を防止すること」と述べた。その理由について、離職に伴う新規採用や育成にコスト、時間がかかることや、離職が続くと教育担当者のモチベーションが下がっていくことなどを挙げた。

業界の慣習が離職を招いているケースが多いとし、「当たり前を覆すような労働条件、働き方をつくることができれば、最強のPRになる」と強調。

警備業界に関しては、警備員を対象に実施したアンケートの結果を踏まえ、「勤務時間が長い」「体力的にきつい」という二つを改善していくことが重要になると語った。

その上で、離職防止につながる警備会社の取り組みについて紹介した。一例として、面接を「相互理解の場」と位置付けた上で、賃金や休日数などの中で応募者が何を優先したいかを聞き取り、寄り添っている事例を挙げた。