クローズUP
日本ガード 岐阜県警と協定結ぶ2024.11.01
特殊詐欺の被害防止へ
日本ガード(岐阜市、松原将文代表取締役社長)は10月17日、岐阜県警察と「特殊詐欺被害等の未然防止に関する協定」を締結した。全国で後を絶たず、SNSを悪用した投資詐欺やロマンス詐欺など巧妙化する犯罪の被害防止策を官民連携で推進する。
協定内容は、特殊詐欺などの被害を防ぐために同社と県警が連携して広報啓発活動、情報提供を行うものだ。警送業務に従事する同社の警備員は、ATMで利用者に対する声掛けや、チラシ配布などを行う。ATM利用者の会話内容などから“詐欺に関連する”と思われる情報を認知した場合、速やかに警察に知らせる。
県警は特殊詐欺に関連する「前兆事案」などの情報を必要に応じ同社に提供する。このほか、県民が安心して暮らせる岐阜県に向けて必要な事項に取り組む――としている。
同社は1967年に創業した県内警備業の老舗で、ALSOKのグループ会社。警備員は日頃から、ATMを使った犯罪の現状や犯罪被害を阻止する着眼点などについて県警担当官による講話などの指導を受けてきた。
県警本部内で行われた締結式で、県警の葛飾孝彦生活安全部長は「特殊詐欺の被害者や犯人の多くはATMを訪れている。警備会社と協定を締結できたことはは意味深く、これまで以上に連携を図り被害防止に一層の支援と協力を賜りたい」と述べた。
松原社長は「弊社は創業以来、社会のニーズに応えて警備会社として成長してきました。安心して暮らせるまちづくりに向けて官民連携は不可欠であり、協定の締結は光栄なこと。犯罪抑止に貢献できるよう取り組んでいきたい」と語った。
県民大会で功労団体表彰2024.11.01
熊本警協青年部会
熊本県警備業協会青年部会(甲田博律部会長=コアズ熊本支社、22人)は10月18日、「くまもと犯罪の起きにくいまちづくり県民会議」(木村敬会長=熊本県知事)から功労団体として表彰を受けた。
同青年部会は2019年1月に発足。部会員は、警察と連携して「電話で『お金』詐欺」被害防止キャンペーン、痴漢・盗撮撲滅キャンペーン、年末特別警戒活動出発式など各種防犯イベントに定期的に参加、豪雨被災地パトロールを自主的に行うなど社会貢献活動を積極的に展開してきたことが評価された。
熊本市内で開催された同まちづくり県民大会で、知事代理の熊本県環境生活部県民生活局長・中川博文氏は「安全安心まちづくりの推進に尽力された」とたたえる表彰状を甲田部会長に手渡した。
甲田部会長の話 我々警備員は、日ごろ対価を得て地域の安全安心を確保する活動を行っています。一方、青年部会員は「無償で社会に貢献できる活動をやりたい」という思いを持つ警備員の集まり。受賞は県をはじめ関係各所に青年部活動を認めていただいた結果であり感謝しています。
特集ワイド 警備業の災害対応2024.11.01
自然災害が頻発・激甚化し、「首都直下地震」などの発生が懸念される中、警備業の災害対応力が問われている。都道府県警備業協会はそれぞれ、防災関係機関による訓練に継続して参加。各機関との連携や、災害時に求められる警備業務の実効性を高めている。発災後の支援活動に関する協定を自治体と独自に締結し、人材や資機材の充実に努めている警備会社の事例もある。
千葉警協
「第45回九都県市合同総合防災訓練」の千葉県会場訓練が10月20日、いすみ市内で実施された。大原中学校グラウンドで行われた「道路啓開」に、千葉県警備業協会(加藤智行会長)の会員会社から警備員が参加。迅速で安全な作業のための誘導警備に当たった。
訓練は同市で震度6強の揺れがあり、道路、建物の損壊や土砂崩れなどが起きていることを想定した。救助隊が被災集落へ行くための道路が土砂や倒れた信号機、取り残された車両でふさがれているとし、撤去作業を行う必要があるとした。
参加した警備員は、被災道路へ続々と向かう車両をスムーズに誘導。撤去作業が比較的狭い範囲で行われる中、前進や後退、旋回をする車両同士の接触が起きないことに注意を払い、安全を確保した。
警備員2人は「総合防災訓練への参加を重ねることで、協会内で防災意識が高まっている。訓練したことを災害現場で実践できるようにしていきたい」と話した。
千葉警協は県警と1997年、災害時の応急業務(緊急交通路確保の交通誘導警備、避難場所での警戒警備など)に関する協定を締結。県警から文書や口頭で要請を受けた場合、協会会員の警備会社から警備員を出動させる。県警は要請に当たって日時や場所、具体的な業務内容を指定し、警備にかかった費用を負担する。
協定によると、出動警備員の災害対応業務中の労災や物品損壊に伴う補償は会社側が負うことになっている。
この日の千葉県会場訓練では道路啓開後、倒壊家屋やがけ下に転落した車両からの人命救助、ライフライン復旧の訓練が行われた。県警ヘリコプターによる「ホイスト(吊り上げ)救助」もあり、緊迫感に包まれた。熊谷俊人知事は「各機関の災害対応力が確実に強化されている」と講評した。
「九都県市」は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市。首都直下地震などに備え、災害発生による被害を最小限に抑えるため、それぞれの自治体が警察、消防、自衛隊などの防災関係機関とともに訓練を重ねている。
北関東綜合警備保障
北関東綜合警備保障(宇都宮市、青木靖典社長)は栃木県内の4自治体(県、宇都宮市、小山市、さくら市)と災害時協定を締結している。
最初の協定は2016年、小山市と締結した。警備会社で初めて導入した消火用タンク車で災害時に給水支援を行うほか、情報収集した被災状況や必要な資機材、人員を提供する。15年の関東・東北豪雨で同市から要請を受け、断水地域で給水を行ったことが締結につながった。
さらに栃木県と18年に、宇都宮市と19年に災害時協定を締結。それぞれの協定では、同社が所有するドローンや、車体上部にネットワークカメラを搭載した警備指揮車で、被災状況を撮影し映像を提供することになっている。
今年10月にはさくら市とも協定を締結し、給水支援や被災状況の情報収集・提供を内容に盛り込んだ。
災害対応の実効性を高めるため、同社はグループ会社とともに防災訓練を続けている。地域に根差した警備会社として、住民を訓練会場に招いて行っており、清水達矢常駐警備部長は「防災に取り組んでいる姿を地域の方に見ていただくことが信頼につながっている」と話す。
29回目の今年は9月7日に本社で実施。屋内外で行い、屋外ではレスキュー隊やドローン警備隊などが日頃の訓練成果を披露した。屋内では、線状降水帯による豪雨で宇都宮市が土砂災害警戒区域に避難指示を発令したことを想定し、本社ビル(愛称=あんしんかん)に災害対策本部を設置。本部訓練では支社やグループ会社が、社員の安否や警備契約先の被災状況をオンラインで報告した。また、出動した警備指揮車、バイク隊が現在地と周辺状況の映像をリアルタイムで本部に送信した。
防災訓練では避難所の運営も想定。炊き出しを行った。同社は11年の東日本大震災と19年の台風19号で本社ビル内に避難所を開設し、避難者を受け入れた経緯がある。
一方、同社は今年8月に那須赤十字病院(大田原市)と協定を締結している。大規模災害発生時にレスキュー隊を派遣し、人命救助を行うことが主な内容。同院では東日本大震災の際、多数の患者を避難させることに苦労したといい、締結に至った。
11月中に同院で行われる防災訓練に、レスキュー隊が初めて参加する予定になっている。