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クローズUP

「カスハラ対策強化を」2024.06.01

自民PT、政府に提言

自民党の政務調査会雇用問題調査会に設けられた「カスタマーハラスメント(顧客などからの著しい迷惑行為=カスハラ)対策プロジェクトチーム(PT)」(座長=田畑裕明衆院議員)は5月16日、カスハラの総合的な対策強化に向けた提言を岸田文雄首相に提出した。提言を受け政府は、近く策定する「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針2024)」に同内容を反映させる方針だ。

提言の柱は(1)カスハラの定義(2)労働者保護の強化(3)企業の対応に関する支援強化(4)消費者の権利と責任の正しい理解促進強化――の4本。概要は次の通り。

▽対策強化に当たっては、カスハラに該当すると考えられる範囲を明確化し、労働者や企業、消費者などが「やってはならない行為である」ことを共通認識として共有・対応することが必要。同観点からカスハラを定義する。

▽カスハラを受けた労働者は、不安を感じたり仕事に対する意欲が減退するなど心身に影響を受けている。中には通院や入院に至るなど深刻な労働者もみられる。

企業はカスハラにより就業環境が害されないよう、現場任せでなく、労働者からの相談に応じ適切に対応するための体制整備など、雇用管理上の措置を講じることを事業主に義務付けるなどの法整備も念頭に、労働者保護対策を強化する必要がある。

▽労働者保護の強化に加え、カスハラの事前防止の観点からも、企業は従業員の顧客対応に関する研修強化などに取り組む。独自に対応できない中小零細企業に対しては、業界が一体となって取り組むことが効果的なことから、業界団体などを通じた取り組みに政府が支援を強化する。

▽正当な権利行使を起因とする申し出などでも、結果として行き過ぎた、不適当な言動となってしまい、消費者が「加害者」となり、カスハラとして社会的に非難されるケースも見受けられる。国民が消費者の権利と責任について正しく理解し、責任ある消費者として行動できるよう消費者教育を強化する。

新たなカスハラ対策は、パワーハラスメント(パワハラ)防止措置を明記した現行の労働施策総合推進法を改正、対策を盛り込むことを検討する。

本紙の取材に対しPTの田畑座長は「(提言を元に)今夏から秋にかけて厚生労働省の審議会で議論が行われることとなる。来年の通常国会には(労働施策総合推進法の)改正法案を提出、来年今頃には成立させたい」と、今後の見通しについて見解を示した。

警備員の環境づくり

田畑座長の話 警備業は、さまざまな現場で我々の社会活動を支えている。顧客からの不当な要求・クレームに苦しんでいる警備員もいると聞いている。警備という崇高な仕事に気持ちよく力が発揮できるような環境づくりのためにカスハラ対策を整備していきたい。人材不足も深刻だが、警備の魅力に政治としても光を当てていきたい。

特集ワイド スポーツで元気2024.06.01

企業とスポーツの関わり方はさまざまだ。エリート選手の活動を支援し「広告塔」として活用することは知られているが、従業員がスポーツを行いやすい環境づくりを推進している企業もある。最近の事例から警備会社や従業員がスポーツを通じ元気になっている警備会社や警備員の事例を紹介する。

セントラル警備保障

スポーツ庁は、週1回以上スポーツを行う人の割合を「スポーツ実施率」とし、従業員の健康増進のためスポーツ活動に取り組んでいる企業を「スポーツエールカンパニー」として2017年度から認定している。24年度の認定企業は1252社で、1年間、名刺にロゴを表記したり、採用活動などでPRすることができる。

セントラル警備保障(CSP・東京都新宿区、澤本尚志社長)は5年連続でスポーツエールカンパニーに認定された。5度目の認定を受けたCSPは今回「ブロンズ」の呼称を獲得。7回以上でシルバー、10回以上はゴールドに昇格する。

同庁が発表した成人の週1日以上のスポーツ実施率は52.3%(22年調べ)に対し従業員数3628人のCSPの同実施率は65%(23年2月末)と大幅に上回っている。

会社公認の運動部活動は1990年代に活発化し、剣道部、空手道部、居合道部、柔道部が相次いで創部した。2022年9月には合気道部が活動を始めた。活動の裾野を広げるため各部は未経験者の入部を歓迎している。1月の「武道始式」では各部の演武が披露されるのが恒例となっている。

会社公認の運動部は、主要大会への出場や合宿は「勤務扱い」だ。活動費は会社が補助している。

運動部以外にも、秋には全社ボウリング大会とサッカー大会を開催。4月から10月にかけて行われる全社野球大会では、各地でトーナメントを開催し、東西の優勝チーム同士で「日本シリーズ」を実施し職場の親睦を図っている。

ALSOK秋田

秋田県で「盗塁・パスボール(捕逸)による進塁なし」「打席全員回し」などの独自ルールを設けている草野球リーグ「コムレードリーグ」に今シーズンからALSOK秋田(秋田市、辻本光雄社長)の野球部が参入した。4月に行われたリーグ初戦で同部は3―2で勝利した。同リーグは23チームが所属しているが、チームごとに試合数が大きく異なり、総当たり方式も採用していないため順位は決定しない。成績を気にせずプレーを楽しむことができる。

同部は昨年6月にスタートした。代表とコーチを務める内崇伸さんが辻本社長に創部を提案したことがきっかけだ。入社6年目の警送隊員、内崇伸さんは「社内の部署間での交流が少なく、野球を通じてコミュニケーションの機会を増やし、若い人たちに楽しく会社で働いてもらいたいです」と話している。

内さんは2005年、高3年の夏に出場した甲子園で156キロを記録し、巨人にドラフト1巡目指名されたが、肘と肩の故障で1軍登板せずに引退した。社内親睦のため、距離を置いていた野球に向き合った。

部員20人中、半数近くを野球未経験者が占めるが、運営をサポートする総務課の佐藤学さんは「部署を問わず楽しく親睦を深めています」と話している。

新潟綜合警備保障

新潟県には社会人スポーツ推進協議会という団体が社会人スポーツの振興に寄与する企業を認定したり、各競技の強化支援、優秀な人材の県内定着のための雇用支援に取り組んでいる。警備業では2社が同協議会に名を連ねている。

新潟綜合警備保障(新潟市、廣田幹人社長)には現在、国民スポーツ大会(国体)県代表レベルの選手や指導者9人が在籍している。機械警備隊員の風張徳志さん(39)はアイスホッケー選手で、大学でプレーしていた2009年度の新潟国体の強化に取り組んでいた県の雇用支援を活用して入社した。風張さんは一般企業に就職したらウインタースポーツの選手生活を終えるかもしれないところだったが、地縁のない新潟からの誘いを受け、競技生活30年を迎える今も県代表フォワードとして現役を続けながら働いている。警備員としては指導教育責任者1・2・4号と雑踏警備2級を保有している。地域に根差した「デュアルキャリアアスリート」といえる。

同社が継続的に優秀なスポーツ人材を雇用しているのは「広告塔」としてではない。総務部の星野小津枝さんは「アスリート社員の仕事とスポーツを両立する意識が当社の社員に与えてる影響を期待しています。諦めない姿には心を動かされ、周囲も協力したい、応援したいと思わせる力を持っています。仕事というチームワークに与える影響も大きいです」と話している。

ギルド

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、警備員の年齢は51.6歳。高い順に145職種中11位。勤続年数は11.1年で長い順に同87位だった。高年齢と勤続年数の短さが鮮明になった。

埼玉をはじめ茨城、栃木、群馬で交通誘導警備やイベントの雑踏警備を手掛けるギルド(さいたま市西区、長田健太郎社長)の平均年齢は45歳で、50歳以上が4割弱、20代から30代が6割以上を占めている。平均勤続年数は6年で、若い警備員の定着に努めている。

同社は「体を動かそう会」を毎月2度開催している。

長田社長は「従業員が求める福利厚生を提供することを突き詰めると体を動かそう会になりました」と話す。毎回30人前後が集まり、バスケットボール、ボウリング、ハイキングなどで汗を流す。支社などがある北関東各地を持ち回りで開催する。

同社では自治体などと連携し(1)従業員同士の交流(2)生活相談(3)住居・食事の提供――を「ギルドケア」として取り組んでいる。交流活動はクリスマスなど季節の催事、バーベキューなども開いている。