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クローズUP

通学路 安全守る2024.10.21

秋の全国交通安全運動(9月21〜30日)期間中、各地で警備業協会の会員による地域貢献活動が展開した。

埼玉警協県南支部

9月27日、川口市立原町小学校の通学路で、支部会員5人が見守り活動を行った。警察官と連携し、登校する児童とあいさつを交わし安全な通行を呼び掛けた。

同支部は川口警察署とともに「学校警戒調査研究活動」として2022年4月から見守りなどの活動をスタート、同署管内の27小学校を全て訪問した。9月30日から2巡目に入り、川口市立小学校で見守り活動を行った。

杉森智和支部長(大東管財)は「2巡目で信頼関係も深まって学校関係者の皆さまと安全について活発な意見交換を行いました。子供たちの安心のため警察と連携して警備業のアピール活動を続けたい」と述べた。

9月20日には同署と武南警察署の合同出発式に支部会員が参加。9月24日には、蕨警察署の関係団体とJR北戸田駅周辺で、30日にはJR蕨駅周辺で、それぞれ安全啓発活動を行った。

秋田警協青年部会

秋の全国交通安全運動期間中の9月24日と30日、秋田市立外旭川小学校、桜小学校の通学路で見守り活動「交通安全指導」を行った。制服の警備員が児童に対して「おはよう」と声を掛け、道路横断時の安全な通行や交通ルールを指導する社会貢献活動の一環として2013年にスタートした。秋田県警察との間で締結している「こども・高齢者見守り協定」も踏まえて、22回目を数える。

延べ40人が参加。今回は、協会マスコットキャラクター「ガリット」の着ぐるみが桜小の入口で交通安全をアピールしたところ小学生から大歓迎を受けた。学校関係者からも好評だった。

宮田崇志青年部会長(出羽警備)は「キャラクターによるPR効果の高さを実感する機会になりました」と話している。

警備業から2人受賞2024.10.21

中災防「緑十字賞」

中央労働災害防止協会(中災防)は10月1日、「緑十字りょくじゅうじ賞」の2024年度受賞者(77人、3団体)を発表した。例年2人が受賞している警備業からは、今井仁志氏(信濃警備保障=長野県)と梶岡繁樹氏(コスモセキュリティー=兵庫県)が選ばれた。

表彰式は11月13日、広島市内で開かれる「全国産業安全衛生大会」(主催=中災防)の総合集会(会場=県立総合体育館)で行われる。今井氏は「労働衛生」、梶岡氏は「産業安全・労働衛生」の推進に尽力した。

同大会は83回目。11月13日から3日間にわたって開かれる。14、15日の分科会(会場=広島国際会議場、広島市文化交流会館、JMSアステールプラザ)は企業による研究発表や専門家の講演など約190のプログラムで構成する。

安全衛生保護具・機器の総合展示会「緑十字展」(会場=県立広島産業会館)が同時開催され、約180社が出展する。

特集ワイド 大切です「外国人材」2024.10.21

ビルメン業界の取り組み

少子高齢化が進む中、国内では業種間の人材獲得競争が激しさを増している。警備業界でも外国人労働者の活用を模索する議論や調査が徐々に活発になってきた。そこで、これまで人手不足を補ってきた外国人材の活用制度を振り返るとともに、これら制度を導入して人材不足に対応してきたビルメンテナンス業界の動向を探った。

外国人材活用のための制度として、まず挙げられるのが1990年代からスタートした「技能実習制度」だ。技能実習には1号から3号までの在留資格があり、1号は1年、2号・3号は各2年滞在でき、通算した在留期間は最長5年に延長できる。人材の送り出しは外国政府の推薦や認定を受けた機関が、受け入れ機関(雇い入れる企業など)との連絡調整や実習生のケアは法務、厚生労働の両大臣が許可した監理団体が担当する。日本で技術を身に付け、帰国後に母国の発展に役立てるという国際貢献を目的とした制度だ。日本語能力の要件は原則不要とされ、在留期間も最長5年に限られてきた。このため人手不足業界が技能実習で外国人材を確保しても、長期にわたり活用することができないことが課題だった。

また、実習生の失踪、受け入れ機関による長時間労働、労災隠し、暴行などの人権侵害、監理団体による脱税など不正、失踪した実習生の犯罪への関与などが問題となり、国際貢献とは程遠い実態が明らかになった。国の調査では、失踪した実習生の約7割が、受け入れ機関(企業)の賃金未払いや低賃金を理由に挙げていた。

現行の技能実習制度では長期にわたる外国人材の活用が不可能なことから、国は2019年4月、国内人材の確保が困難な産業分野であると国が認めた業種に外国人材を受け入れることを目的に「特定技能制度」を創設した。23年6月時点で建設業や製造業など16分野、30万あまりの事業所で約17万3000人が就労している。このうちビルクリーニング分野では2728人が特定技能外国人として働いている。

特定技能外国人(1号)になるには、技能1号評価試験と日本語試験の合格が必要で、16分野の中であれば転職もできる。

在留期間の上限は全分野通算5年だが、制度開始6年目の今年度から始まった特定技能2号の評価試験に合格すると在留期間の上限は撤廃され、長期就労や家族の帯同が可能となる。

ビルクリーニング分野の特定技能評価試験は、全国ビルメンテナンス協会(佐々木浩二会長)が実施している。国内に加え、19年にミャンマー、20年にフィリピン、21年にインドネシアなど国外でも行っている。1号の合格者は24年6月現在4653人となっている。

同業界では16年に技能実習生の受け入れを始めた。新規受け入れ数は20年に2407人で最多となったが、コロナ禍の影響で21年は860人、22年は1713人と累計8250人(23年5月時点)となっている。

全国ビルメン協は、外国人材の受け入れに向けた取り組みを会員会社、厚生労働省と連携して進めてきた。技能評価試験担当者は「厚労省の担当者は当初、清掃なんて誰にでもできる、といった認識でしたが、プロの技術の高さや教育熱心な会社の存在、協会の技能検定の取り組みを説明し、外国人を受け入れられる業界であると認めてもらいました」と話す。

国は6月、技能実習に代わり「育成就労制度」を新設するための法改正を行った。特定技能への移行を前提とする在留資格で、在留期間は3年。日本で長期間働きたい実習生には期間内に特定技能外国人1号の評価試験に合格することが求められる。23年末時点で技能実習生は約40万5000人、特定技能外国人(1号)は約21万人となっている。

厚労省の調査では、特定技能外国人を雇用している企業の76%が特定技能外国人に満足していると回答、86%が今後さらに雇用したいと回答した。

極東警備保障

1981年創業の極東警備保障(北海道旭川市、長谷川力也代表取締役社長)は、昨年6月から特定技能外国人として3人のインドネシア人男性を採用した。同社は交通誘導と施設を中心とした警備事業を中核に、ビルクリーニングを含む総合ビルメンテナンスなどを行う従業員400人規模の会社。健康経営優良法人に認定され、北海道警協の総務委員会副委員長を務めている。

特定技能外国人の業務内容は、旭川から100キロほど離れた山間の観光地にある温泉宿泊施設の館内清掃全般を寮に住み込みで行うもの。スタッフ7人のうち5人が稼働する勤務シフト。

これまで従業員は近隣の町から採用し、車で通勤するのが主流だったが、高齢化で地元採用が困難になり、特定技能外国人を採用することにした。

特定技能外国人3人を面接した内田新次美装担当本部長はインドネシア人が働く際にデメリットと感じるかもしれない▽冬の厳しい寒さ▽職場にイスラム教のお祈りをするスペースが確保されていないため寮で礼拝しなければならない▽社員食堂のメニューには豚肉が含まれるメニューがあり、都度確認が必要――などを最初に伝えた。

一方、賃金は大都市に比べて低いが、食費や寮費など合わせて3万円弱で、物価の高い都市部よりも貯金しやすいとも説明。3人は納得して住み込みを始めた。

3人のうち1人は40代で妻子を母国に残して来日した。他の2人は20代独身で、1人は転職を希望していると申し出てほどなく離職した。現在は40代と20代の2人が日本人の同僚と大浴場や客室など館内の清掃作業に従事している。

特定技能1号の日本語スキルは日本語能力試験の5段階中下から2番目のN4だが、同僚の日本人ともコミュニケーションを取っており、日々上達しているという。

内田本部長は「人材確保が困難な業種ではすでに高齢者を雇用しているが、高齢者の退職後を補う人材がいない。若くて意欲的に働く特定技能外国人は大切な戦力です」と話す。

宿泊施設側も働きぶりを評価するとともに、外国からの宿泊客が増えていることから、外国人が働いている方がコミュニケーションの助けになると好意的だ。

外国人労働者はSNSなど同郷者同士のコミュニティーで情報交換し、離職につながるリスクがあるとされる。

内田本部長は「外国人だから安く雇えると思っている会社は心配かもしれないが、制度に即して日本人と同等かそれ以上の待遇を提供し、どんな現場が働きやすいのか、個別に相談できる関係を築けていれば心配することではない」と話す。