クローズUP
「万博警備、前進の年に」2025.02.01
大阪警協・新年祝賀会で池田会長
「世界に誇る大阪の安全・安心を守るのは、われわれ警備業です」。大阪府警備業協会・池田博之会長は1月17日、大阪市内で開かれた新年祝賀会で各警備会社に強く呼び掛けた。
大阪・関西万博について、池田会長はこう続けた。「博覧会が無事に終了できるよう、一丸となって警備業務に当たるようお願いします。大阪警協はイベント対策特別委員会を立ち上げ、準備を進めてきました。会場警備や熱中症対策のマニュアルを作成するなど、さまざまな取り組みを行ってきました。体調を管理し隊員確保など万全の準備を進めてください。大阪警協にとって今年は、万博警備を一つのエポックメーキングとして大きく前進する年にしたいと思います」。
大阪警協は2024年11月、「大阪・関西万博研修会」として会員各社を対象に障害者対応の研修を実施。25年2月には、熱中症予防対策と救急法・救命技能をテーマに研修会の開催を予定している。
同日は阪神・淡路大震災が発生して30年目の日。池田会長は、大阪府警察本部生活安全部・小林俊夫参事官に「災害支援協定に基づく出動可能人員は486人」と定めた報告書を提出した。
「女性活躍」「ハラスメント」2025.02.01
厚労省 法改正し対策強化
厚生労働省は「女性活躍推進」と「ハラスメント防止」の対策を強化する。12月26日には同省審議会が「対策強化」を福岡資麿厚労相に建議。同省は今後、1月24日開会の通常国会に改正法案を提出する。
女性活躍推進は、2026年3月末までの“時限立法”の「女性活躍推進法」を10年間延長、さらなる取り組みを事業者に求める。
現行では301人以上の企業に義務化されている「男女の賃金差異」の情報公表を、101人以上300人以下の企業にも義務化。101人以上の企業には男女間の賃金差異の大きな要因となっている女性管理職の数(女性管理職比率)の情報公表を義務化する。公表に当たっては新たに「説明欄」を設け、追加的な情報や男女別の管理職登用比率などを参考値として記載するなど女性管理職比率向上へ向けた取り組みを促す。
100人以下の企業に求められている「一般事業主行動計画」策定は、これまで同様に努力義務とし、企業へのコンサルティングや支援ツール提供など支援策の充実を図る。
ハラスメント防止は、近年多発している顧客などによる従業員へのハラスメント「カスタマーハラスメント(カスハラ)」と「求職者へのセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)」への対策を特に強化し、それぞれ防止対策を事業主の雇用管理上の措置義務とする。
カスハラについては、パワーハラスメント(パワハラ)防止措置を規定する現行の労働施策総合推進法を改正し、カスハラの定義や防止措置の具体的内容は指針で明確化する。
特集ワイド 管制業務のDX化2025.02.01
警備士の負担も軽減
警備業では業務効率化を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進められている。中でも管制業務については多くのシステムが活用されている。使いやすさと価格、サポート面で人気が高いエイセル(東京都千代田区、大野伸治社長)の「AceConnect(エースコネクト)」について、三協警備保障(福岡県北九州市、森田沙耶社長)の導入事例と新機能を紹介する。
三協警備保障の森田社長は、かつて全国警備業協会(村井豪会長)のICT・テクノロジー活用作業部会(豊島貴子部会長=山口警協会長)に所属していた。警備業界のDX推進に取り組みながら、自社の業務DX化についても検討を続けていた。
同社が当時使用していたシステムは、警備業に特化していたものの非効率的な面があり、状況を改善するため新システムの導入を模索した。
森田社長は本紙2023年9月21日号・特集ワイドで記事紹介された「エースコネクト」に注目した。同社が求める機能が備わっていたことと、森田社長が以前所属していた全警協・技術研究専門部会(技研)の先輩にあたる警備会社・MMSの鈴木智実社長がこのシステムを活用していたからだ。検討を重ねた結果、導入を決めた。
24年1月、社内にDX推進に向けた専門部署「ISDX課」を設置。エイセルの担当者に要望を伝えてエースコネクトをカスタマイズし、自社の業務に合ったシステムを構築した。同年5月から試験運用を開始し、8月から本格稼働させた。
まもなく管制側と警備士側の両面で、効果が生まれた。
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管制側は警備士の配置作業をPC画面上で行うことで社員と共有でき、配置確定後には警備員への業務指示をボタン一つで可能となった。業務指示は警備員ごとにLINEやショートメッセージ、Eメールの中から選択できる。警備士は業務内容を確認し「確認ボタン」を押すと、管制のPC画面に「確認済み」と表示される。
警備士の作業時間からは勤怠状況を自動集計できるようになった。データはCSV(テキスト)形式で作成することで、給与計算や請求書作成などの業務との連携が可能となった。経理で義務化されたインボイスや電子帳簿にも対応している。請求・勤怠のシステムは、エースコネクト導入にあたりエイセルが新たに構築した。
事務担当者はこれまで行っていたデータ転記作業の手間と時間が必要なくなり、その分、違う作業に取り組むことができるようになった。集計した勤怠データからは各従業員の残業時間や年次有給休暇の取得状況などを把握できることから、労働環境の整備にも活用できる。
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警備士側で最も効果があったことは、稼働証の作成・送信機能だ。警備士はこれまで工事名や隊員名などを毎日手書きで記入していたが、その必要がなくなった。勤務終了後に現場責任者からもらうサインは、LINE画面上に手書きでもらうことができ、逐次送信してもらうことで警備士の管理もしやすくなった。管制は報告内容をもとに稼働証をPDF形式で作成し、必要な宛先にメール送信することが可能となった。
同社では警備士は現場に直行せず会社に立ち寄るよう定めている。会社を出て現場到着後、警備士はエースコネクトに備わっているLINEや音声自動応答システム、Eメールを利用して報告するよう定め、管制がPC画面上で確認できるようにした。電話報告ではないので、管制は業務に集中できる。
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同社ではエースコネクトの導入をきっかけとして、社内のDX化が進んだ。ISDX課の担当者は、クラウドサービスを学んで修得し、法定備付書類のデジタル化を短期間で実現。同社に立入検査を行った県警察担当官からは「中小規模の警備会社でここまでデジタル化を進めている例は珍しい」と評価の言葉をもらったという。
森田社長は「警備士から『業務負担が軽くなりました』との声があり、内勤者も業務が楽になったようです。エースコネクトの導入により多くの業務が効率的になり、社内のDXが進んだことに感謝しています」と話す。
同社では今後、専門部署の人員を増やし、DX化をさらに加速させる計画だ。
エースコネクト新機能
エースコネクトは管制業務を効率化するシステムだ。管制はパソコン、警備士はスマホや携帯電話で簡単に利用できる。特長は次の4点。
【警備士の配置・指示】
管制は警備士の配置作業をPC上で行う。確定した配置をもとにボタン一つで警備士のスマホや携帯電話に業務指示を伝えることが可能だ。
【上番・下番報告】
警備士はスマホや携帯電話のボタンを押すなど簡単な操作で、上番・下番などの業務報告ができる。
【稼働証の作成・送付】
警備士はスマホ画面上に顧客から手書きサインをもらって稼働証を作成できる。データとして保管、送信も可能だ。
【給与システムとの連携】
警備士の報告から勤怠状況を集計し、給与システムと連携させて給与計算ができる。
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合わせて1月に新機能「警備士の自動配置」を追加。これまで画面上で手動入力していた警備士配置を自動化し管制の負荷が一層軽減される。
自動配置の手順としては、まず各警備士の2週間先までの休暇・研修などの予定を入力。現場によって特定の警備士の配置が必要な場合は予め入力する。その作業が終了後、自動配置を実施。基本的には配置実績が高い警備士から順次、配置される。次の5項目も配置の条件となる。
(1)現場を移動する際の空き時間が適切に取れているか(2)適正な休暇が取得できているか(前日まで6日連続勤務していないかなど)(3)月平均稼働時間が8時間を超えないか(4)警備士個人の勤務要望を満たしているか(1か月単位・1週間単位で勤務可能日数など)(5)警備士同士の相性はよいか――をもとに配置する。
PC画面上の配置表は、横に日付、縦に現場名が入り、順次、警備士名が配置される。