クローズUP
三重警協 青年部会スタート2024.05.01
次代へ「3つのi」重視
三重県警備業協会(菊田喜之会長)は4月8日、青年部会設立総会を四日市市内で開催した。
部会員は26人で、初代部会長に協会理事の五味洋司氏(HSi)、副部会長に森本勝年氏(中勢警備システム)、堀口昌典氏(あけぼの警備保障)が就任した。警備業の将来を見据え、活動方針の3本柱として▽社会貢献活動の推進▽警備業におけるDX化の推進▽警備業の地位・質的向上の推進――を掲げる。
五味部会長は「未来を担うべく切磋琢磨し、3つの『i』を重要視したい。1つは、イノベート(革新する)。特に2号警備に革新的技術を取り入れ新しい形が創造される。2つ目は、インテグレート(統合する)。イノベーションした新しい形を取りまとめ、皆で共有し発展させたい。3つ目は、インベスト(投資する)。新しい警備業をつくるべく未来に向かっての投資を行う。3つのiにより次世代の警備業が創造されると思う。社会貢献を果たせるよう前進して行きたい」と決意を表した。
菊田会長は「新しいアイデアを発揮して警備業の未来を切り拓くことを期待しています」と激励の言葉を贈った。
全警協・小澤祥一朗総務部次長が基調講演を行い、全国の青年部会の活動状況などを説明した。
四国地区連 初の協議会開く2024.05.01
4県が活動計画を説明
四国地区警備業協会連合会(会長=北川豊彦・香川警協会長)の各県青年部会の部会長と副部会長で構成する四国地区警備業青年部会は4月12日、高知県警備業協会事務局(高知市)で「第1回協議会」を開催した。各県協会青年部会から15人が出席した。
4県の部会長はあいさつで意気込みを述べた。
高知・小松信部会長(グローバル警備保障)は「設立は4県で最後だが、青年経営者に声掛けして部会員を増やし他県に追いつきたい」、愛媛・髙岡俊典部会長(北四国警備保障)は「青年部会として主体性を持ち『警備の日』イベント以外の活動にもチャレンジする」、香川・山下知宏部会長(Zeus警備事業所)は「昨年の『警備の日』イベントで部会員の結束が高まった。さらなる高みを目指す」、徳島・梶本尚賢部会長(新港警備保障)は「コロナ禍で活動が限定されたが、今後はさまざまな取り組みを進める」と、それぞれ語った。
各県青年部会は今年度の活動計画を説明。4県共通して「警備の日」イベントなど警備業の広報活動、県協会行事への積極的参加を行う。愛媛は県総合防災訓練への参加、マラソン大会の清掃活動も予定する。
全国警備業協会広報プロジェクトチーム会議メンバーの香川・平井俊副部会長は、全警協の今後の活動内容を報告した。
岡山警協 年金受給者に広報2024.05.01
防ごう詐欺
岡山県警備業協会青年部会「ももたろう」(小川昌之部会長=近畿警備保障)は4月15日、岡山中央警察署が主催し岡山藤原郵便局(岡山市中区)で行われた「特殊詐欺被害防止の広報活動」に参加した。
小川部会長を含め部会員3人は、年金の受給に訪れた高齢者約100人に、警察官とともに啓発用チラシやグッズを手渡し「詐欺電話の多くは固定電話にかかってきます。留守番電話を活用しましょう」などと注意を呼び掛けた。
同青年部会は今年1月に発足し、初の活動。4月4日には、犯罪のない安全安心な県の実現に取り組む「安全・安心岡山県づくり県民会議」に自主活動団体として登録している。
小川部会長は「今後も県警本部をはじめ関係団体と連携をとりながら活動を行っていきたい」と話す。
静岡警協 特殊詐欺抑止キャンペーン2024.05.01
ガードくん呼び掛け
静岡県警備業協会青年部会(佐藤和博部会長=ビオ企画)は4月15日の年金支給日に合わせ、県警察と特殊詐欺抑止キャンペーンを静岡市葵区内の銀行で行った。関東地区連青年部会の統一活動で、全警協マスコットキャラクター「ガードくん」を活用した。
静岡中央警察署員と地域安全推進員、佐藤部会長ら12人、セコムから2人、合わせて25人が「電話でお金は詐欺です」などの啓発チラシやグッズを配って広報した。
静岡警協・立川勝彦会長は「特殊詐欺被害を防ぐ積極的な声掛けが、加盟各社に広がることを期待する」と青年部会員を激励した。
最低賃金 労使が政府に要望2024.05.01
6月の議論開始控え
厚生労働省の審議会で例年6月にスタートする新たな「地域別最低賃金(最賃)」をめぐる議論を前に、使用者団体と労働組合が政府に要望書や要請書を相次いで提出した。
日本商工会議所など中小企業の経営者4団体は4月18日、連名で厚労省の宮﨑政久副大臣に要望書「最低賃金に関する要望」を手渡した。要望内容は▽中央と地方審議会でのデータによる明確な根拠に基づく納得感のある審議決定▽最賃引き上げが企業経営や雇用に与える影響についての調査研究▽生産性や価格転嫁の実効性向上など賃上げを後押しする制度の拡充――など。新たな政府方針「2030年代半ばまでに全国加重平均1500円」に対し慎重な対応を求めた。
日本労働組合総連合会(連合)は同16日、宮﨑副大臣に要請書を手渡した。
要請内容は、EU(欧州連合)など国際的な最賃水準として「一般労働者の賃金中央値の60%」が挙げられていることに触れ、中期的に大幅な最賃水準引き上げなどを求めた。
特集ワイド 警備会社のDX2024.05.01
人と技術が力を合わせる
深刻化する人手不足を乗り越えるため、警備会社にDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の取り組みが広がっている。DXは、人と最新技術が力を合わせ、業務や組織を大きく変革すること。省人化・効率化を図りながら生産性が高まるとともに、さらに求職者獲得や勤務者の定着、業界の社会的地位向上にもつながる。DX化を進める警備会社3社の導入事例を紹介する。
東京警備保障 ドローン活用
施設警備を主業務とする東京警備保障(東京都港区、北村喜伯社長)は、就業人口減少から警備員不足が深刻化することを7〜8年前に予測し、対策を検討してきた。警備業務の省人化を図る手段としてドローンやロボット、AI搭載監視カメラを活用することに着目。最新技術活用の取り組みを公開する場として2022年から24年まで、都内で開催される「SECURITY SHOW」(主催=日本経済新聞社)に出展している。
24年のSECURITY SHOWでは取り組みの一つとして「ドローン事業」を紹介した。同社は今後予想される「ドローンを活用した警備」に備えるため、19年にドローンを購入。社内で操縦者を選定し、研修を受講してさまざまな規制を学び、河川敷などで操縦技術を磨いてきた。
ドローンを使った警備の実現は法的規制や機器の性能などの理由でまだ時間を要する。そこで業務発注元へのサービスの一環として「ドローンによる施設点検業務」を22年から開始。専門業者のような細部にわたる点検ではなく、映像を簡易的に撮影する内容だ。これまで常駐警備先3社に納品している。
同社は「建物点検映像」に続き「PR映像」の提供も始めた。23年には常駐警備先である「つくば国際会議場」(茨城県つくば市)のプロモーション映像撮影を実現。ドローンならではの撮影映像を見て施設の利用希望者を増やし、施設の収益と警備料金の上昇につなげる試みだ。今後は対象を施設だけではなく警備先の学校にも広げていく計画だ。
こうした事業は将来現実となる“空からの警備”に備えるとともに、顧客との関係強化にもなる。同社では、ドローン警備はプログラムによる飛行がメインになると予想している。そのためドローン操縦者を本格的に育成する計画はないという。
RTS 管制システム
施設警備・イベント警備を主業務とするRTS(アールティーエス・東京都台東区、増田良和社長)は2019年の創業後、警備員管理の効率化を図る目的で、シービーティー(東京都中央区、若村和明社長)のクラウド管制システム「プロキャス警備」を導入、活用している。
RTSは創業当初、警備員からの上・下番連絡をメールか電話で受けていた。しかしメールは常時確認できないため見落としが生じ、電話は時間が集中することから受けきれないことがあった。プロキャス警備で課題を解決できることを知り、導入を決めた。同システムは専用アプリをスマートフォンにインストールして使う。報告のタイミングは起床・出発・上番・下番の4回。それらの連絡がない場合のみ会社に通知が送信される。当日の急な欠勤や遅刻にも早期に対処できるようになった。
警備員の側からも電話料金がかからずワンプッシュで送信できることから「負担が少なくなった」と好評だ。高齢の警備員も最近はスマホを使用することが多くなり、事前教育をしっかり行えば運用に支障は少ない。
RTSでは報告・確認の他に、さまざまな機能を活用している。例えば警備員への勤務指示だ。管制担当者はパソコン上で各警備員への指示内容を作成後、ボタン一つで一括送信できる。警備員は指示内容を確認後、出発予定時間を返信することで受託の合図とする。
警備員からの交通ルートと交通費の報告、出勤希望日の申請もプロキャス警備で受け、会社はそれを基に1か月のシフト管理を行っている。
警備員からの報告はデータとして蓄積されることから、労働時間や休日取得など適正な働き方の管理にも活用している。
東葉警備保障 VR研修
交通誘導警備業務を行う東葉警備保障(千葉県柏市、福岡直視社長)は、VR(バーチャルリアリティー)を使った警備員研修を行っている。VRは、なのはな警備(千葉県流山市、田中一善社長)が開発した警備員仮想空間教育システム「トラフィックコンダクター」。専用ゴーグルをかけると360度の仮想空間が目前に展開される。実際に手にするコントローラーは映像内では誘導灯となる。
福岡社長は同システムのことを知ってトライアル(試行)を申し込み、納得して導入した。同社では新任教育に使うケースが多く、特に交通誘導警備業務の未経験者の教育に使っている。
システム導入前の実技研修では、講師が屋外で実際に車を運転し片側交互通行の練習を行っていた。トラフィックコンダクターは屋内で安全に学ぶことができ相手役を必要としないため効率化につながっている。さまざまなステージを経験でき、長期間の学習が可能だ。
福岡社長は導入効果として「未経験者の辞退者減少」を挙げる。「交通誘導警備は自分に向いていない」「現場に出るのがこわい」など不安を感じて研修中に退社する人が大幅に減った。大勢で研修を行う際には互いにアドバイスをするなど、コミュニケーションの機会にもなる。一人の研修では単調な講義にならずメリハリができる。
受講した警備員からは「安心して現場で業務を始めることができた」「VRは想像より操作が楽だった」などの声があった。
同社では研修以外にも、求人広告にPRポイントとして掲載したり、高校生の職場体験(インターン)で疑似体験として活用。外国人採用時には「交通誘導警備を理解しているか」を確認するために使用している。
各社社長
東京警備保障・北村社長 人口減少が加速する今後、人だけに頼る警備を続けていくことは不可能です。警備の質を落とさずに省人化を実現するためには「DX推進」が唯一の解決策となります。当社は大手企業と違い人も資金も不足しています。しかし企業を存続させるため限られた条件の中で“チーム東京警備”として取り組んでいます。
RTS・増田社長 プロキャス警備を導入して業務の効率化が大幅に進みました。管制担当者の手間とストレスを軽減でき、的確な状況把握も可能になった。既にeラーニングは導入し、社外に出る内勤者にはノートパソコンを持たせどこでも作業できる体制をとっています。今後は法定備付書類や契約書類のデジタル化を行いたい。
東葉警備保障・福岡社長 最近では介護や医療、製造、建設など、さまざまな分野でVR研修が行われています。安全を提供する警備会社として警備員の皆さんにも安全にスキルを身に付けてもらうことは大切です。今後はVRのコンテンツを、業務別教育やトラブル・クレーム対応、資格試験などに広げていただきたい。