クローズUP
「万博テロ」に備え2025.02.21
伊丹空港で合同訓練
4月開幕の「大阪・関西万博」を控え、兵庫県と大阪府にまたがる大阪国際空港(伊丹空港)で1月23日、テロ対処に向けた合同訓練が行われた。
セノン神戸支社の警備員15人をはじめ兵庫県警本部から2人、伊丹警察署10人、日本航空10人、関西エアポート10人の計47人が参加。凶器を持つ男が飛行機を乗っ取ろうとしたと想定、警備員と警察官が連携しての対処について確認した。
訓練の前に空港関係者は、県警担当者から護身術と護身用具・刺股の取り扱いの指導を受けた。
参加した警備員は「合同訓練を行うことで関係機関、空港関係者との連携の重要性を再確認できた。事案が発生した場合も連携を図って対処していきたい」と述べた。
入札に向けた要望書2025.02.21
熊本警協 県と熊本市に提出
熊本県警備業協会(西利英会長)は1月23日、「入札に向けた警備業務に関する要望書」を熊本県知事と熊本市長宛てに提出した。
要望書は(1)適正な予定価格の積算(2)最低制限価格制度導入と分離発注(3)適切な価格交渉協議への対応(4)勤務環境の改善(休憩と待機の明確な区別など)(5)警備発注の平準化(公共工事の年間を通じた均等な発注)(6)随意契約と参考見積による業者選定(7)施設警備業務、機械警備業務の入札に関する要望(実施時期、3年以上の複数年契約導入)――の7項目から成る。
西会長、稲葉義典副会長(キューネット)、下川源也副会長(にしけい熊本支社)が県庁と市役所を訪問。県庁では「警備業は深刻な人手不足などの課題を抱え、改善に向けては労務費の適切な転嫁を含めた取引の適正化が不可欠」と述べ、県出納局管理調達課・津川尚美課長に要望書を手渡した。
SECURITY SHOW 20252025.02.21
3月4~7日 東京ビッグサイト
セキュリティー・安全管理総合展「SECURITY SHOW 2025」(主催=日本経済新聞社)が3月4日(火)から同7日(金)の4日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)東7ホールで開催される。
「SECURITY SHOW」は国内有数のセキュリティー展示会で、監視カメラや入退出システム、サイバーセキュリティーなどの最新技術を紹介。今回で31回目を迎え、101社・団体が出展する。
警備会社はALSOK(東京都港区、栢木伊久二社長)とVOLLMONTホールディングス(東京都青梅市、望月武治代表取締役)が出展。その他、AI搭載交通誘導システムや管制システムの関係会社などが出展を予定している。
最新のセキュリティー情報を専門家が解説するセミナーは「管制業務のDX化」など13テーマで行う。
同会場内ではビルメンテナンスに関連する製品やサービスを紹介する「ビルメンCONNECT(コネクト)」が初開催され、ALSOKは同展にもブースを出す。両展示会合わせて3万人の来場を予想している。
特集ワイド ワンタッチ警備記録2025.02.21
交通系ICカード技術活用
通勤や通学などで日ごろ使用する「交通系ICカード」の技術を、警備業務に活用するシステムが登場した。ソニーの「パトログ」は、スマートフォンを非接触ICカードにかざし指でタップする(軽く触れる)だけで上・下番報告や巡回記録ができる警備記録システムだ。システムの概要と警備会社が使用するメリット、導入事例などを紹介する。
ソニーのセキュアテクノロジー&ソリューション事業部事業開発部のシニアビジネスプロデューサー・林大作氏と営業部シニアカウントマネージャー・金澤秀香氏のお二人に話を聞いた。
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「パトログ」の技術は、ソニーが開発した非接触型ICカードの技術「FeliCa(フェリカ)」を活用している。これは電車・バス利用時の交通系ICカードや、コンビニエンスストアで電子マネーを使う際などに、専用の読み取り機にカードをかざして使用されている。近年、スマートフォンにNFC(近距離無線通信)読み取り機能が搭載されたことで、これまでとは異なり、設置したカードに手持ちのスマホを近づけて読み取る使い方ができるようになった。
ワンタッチ警備記録システム「パトログ」は昨春、発売された。利用にあたって必要となるのは専用ICカードと手持ちのスマホのみで、専用アプリのダウンロードは不要だ。特別な機器やシステム、電源、通信・設置工事なども必要ない。スマホ以外に、読み取り機能を持つ機種であれば携帯電話(ガラケー)でも利用できる。
警備員は、手持ちのスマホを各警備拠点に取り付けられたICカードや、現場の責任者などが持つICカードにかざすと、ブラウザが立ち上がりスマホ画面に「ON/OFF」の記録登録メニューが表示される。警備員は画面に指を触れるだけで巡回記録や上・下番記録ができる。記録したデータはクラウド上で管理される。
管制員は、PCやタブレットの管理画面から警備員の状況をリアルタイムで確認、共有できる。警備員の上・下番の有無を表示するほか、警備員の氏名や上・下番時間なども表示可能。ユーザーIDなどフリーワードでの検索もできる。管理画面上のマップはエクセル上で簡単に作成できる。
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「パトログ」の新機能として2024年12月、「自動アラート」が追加された。設置するカード1枚ずつに人数や時間などの条件設定を行い、設定時間に人数がそろわない場合には画面上に赤色のアラート表示が点滅する。発注元との契約どおりの警備員配置がない状況を未然に防ぐ。
記録データは、異なるシステムをつなぐ仕組み「API」やテキスト形式で表示するファイル「CSV」を使って、勤怠、給与計算、請求書作成、給与前払いなどのシステムと連携できる。
ICカードは複製が困難なため、複製利用による不正を防止できる。ICカードは20枚から利用でき、カード枚数(購入ライセンス数)の20倍の警備員をシステム上に登録できるため、20枚で最大400人の使用が可能だ。
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施設警備での「パトログ」利用例として、期間限定の大型イベント会場での警備業務が挙げられる。配置ポスト数が多く警備員の勤務管理が難しい状況だが、「パトログ」を使えば勤務管理システムを簡単に構築できる。会場の準備はカードを設置するだけなので撤収も容易だ。イベント終了後のカードは次の警備業務に使用でき、コストや手間が最小限で済む。
ソニーの林・金澤両氏は「警備業は多忙な業務の中、常に人手不足の課題があるとお聞きしています。ソニーの先進技術を使ったスマートで簡単な仕組みを導入することで、『誰もが働きやすい警備業界』の実現を支援させていただきたいです」と話す。
2025年3月末までに申し込むと「パトログ」で使うカードが無料となるキャンペーンを行っている。
「パトログ」を導入、稼働
アサヒファシリティズは竹中工務店グループの建物維持管理会社だ。警備業務を担当する建物管理サポートセンターでは、主に施設警備業務を行っている。建物管理サポートセンター長・小泉美仁氏と同担当課長・児玉賢一氏に「パトログ」の導入について聞いた。
同社警備員は受託施設の事務所や防災センターの出退勤時に、上・下番報告を行う。以前は電話による報告だったため、同じ時間帯に20〜30人の警備員から電話が集中。警備員は「話し中」による掛け直し、管制側は電話を取りきれないなどの課題があった。
報告の自動化を検討することとなり、2024年1月からさまざまな管制システムや通信機器を比較検討を始めた結果、「パトログ」の導入が決まった。決め手となったのは次の特長だ。
▽費用、特にランニングコストが圧倒的に安い。
▽現場で工事を行ったり機器を準備する必要がなく手軽。
▽データ管理をCSVで行え、他のシステムとの連携が可能。
▽メンテナンスが簡単。
ソニーの「パトログ」担当者と打ち合わせを行い、新たに追加された上番報告がなかった際に画面上で通知する「自動アラート機能」も搭載。12月に本格稼働となった。
導入後、警備員は「上・下番報告の手軽さが予想以上でした」「操作が難しくないのですぐに慣れました」と評価。
管制員は「以前は運用画面の作成・変更に時間が掛かりましたが『パトログ』はエクセル同様に操作でき、個人のスキルに関係なく作成できます」と、現場・管制の双方で満足がいく結果となった。