クローズUP
警協の地域貢献、知事表彰2024.12.11
地域社会に貢献する警備業を知事が表彰――。島根県警備業協会(吉岡健二郎会長)は鳥インフルエンザの防疫業務を行い島根県・丸山達也知事から、熊本県警備業協会(西利英会長)の特別講習講師・宇都宮宏聡氏(シータ代表取締役)は職業訓練に尽力し熊本県・木村敬知事から、それぞれ表彰された。
島根 鳥インフルで出動
島根県内では14年ぶりに高病原性鳥インフルエンザが確認された。島根警協は県との間で締結している「家畜伝染病発生時における防疫業務支援に関する協定」に基づく要請を受け出動。11月7日から車両消毒ポイントの交通誘導警備業務などを会員6社の延べ69人が行った。
丸山知事は11月20日、県庁内で島根警協、県建設業協会、県トラック協会に感謝状を贈呈し、「皆さんの協力で大きな山を越えることができた。夜間に早朝に大変お疲れさまでした」と謝意を表した。感謝状贈呈式の後、知事との意見交換会が行われた。島根警協会員による業務は12月1日に完了した。
吉岡会長の話 会員会社の献身的な協力により、滞りなく任務を遂行することができました。知事との意見交換の場では、災害支援協定の早期見直しの推進についても話しました。
熊本 講師、職業訓練に尽力
熊本警協の特別講習講師・宇都宮氏は、11月15日に県庁内で開催された「熊本県職業能力開発促進大会」で認定職業訓練関係優良職員(指導者)として県知事表彰を受けた。
同氏は2015年6月から特別講習講師として尽力してきた。講義、指導を受けた多くの受講生(訓練生)が警備現場で活躍し県民の安全・安心の一端を担っていることや、警備員指導教育責任者講習講師として優秀な警備員の育成に貢献し、協会の教育事業活動の要となっていることが評価された。
2018年度以降、熊本警協関係者13人が県知事表彰を受賞している。
宇都宮氏の話 大変光栄に思います。知事表彰に恥じないよう、今後ますます自己研鑽に努め、優秀な警備員の育成に貢献し、微力ですが警備業界の発展に少しでも寄与できればと考えております。
「警備料金の基礎知識」2024.12.11
全警協がHPで公開
全国警備業協会(村井豪会長)は「警備料金の基礎知識」と題するガイドブック(全27ページ)と「解説集」を作成し、11月8日から協会ホームページで公開している。
警備料金の価格構成や料金の設定方法などを分かりやすく説明。「公共工事設計労務単価」「土木工事・業務の積算基準等の改定」「建築保全業務労務単価」「建築保全業務積算要領」などについて検索・確認できる。価格交渉に活用できる内容となっている。
警備料金設定については代表的な3類型として、経費を積算する「コスト基準型」、市場価格を重視する「競争基準型」、戦略的に価格を決める「マーケティング戦略基準型」について紹介。適正取引の実現に向けた具体的な価格交渉のノウハウとして「労務費・採用費・教育訓練費の説明」、「取引条件の明確化」(警備員の休憩時間、キャンセルポリシー)などを解説。
各ページに全警協マスコットキャラクター・ガードくんがイラストで登場、「ボクが疑問に思っていることを全警協の担当者に解説してもらうよ」といった親しみやすい対話形式だ。
ガイドブックのほか、全警協参考様式の見積書(交通誘導警備業務用、施設警備業務用)のひな型をダウンロードできる。
全警協は「警備業の請負契約にあたり発注者との間で適正な料金による適正取引を行うため、警備料金を算出する参考情報として活用してほしい」と呼び掛けている。
特集ワイド 基本徹底 ゼロ災に2024.12.11
年末年始をゼロ災害で過ごし、明るい新年を迎えよう――。中央労働災害防止協会(中災防・竹越徹理事長)は12月1日から「2024年度年末年始無災害運動」(1月15日まで、後援=厚生労働省)を実施している。同運動の概要や事故防止のチェックリストを踏まえながら、各社の取り組みを紹介する。自社の対策に役立てていただきたい。
「今年もやります! 基本作業の徹底 年末年始も無災害」を今年度の運動標語に掲げている中災防が年末年始無災害運動を始めたのは1971(昭和46)年。特に慌ただしい年の瀬は多忙による焦りや疲労から注意力が低下しミスが起こりやすく、積雪や凍結による転倒のリスクも高まる。労働者が年末年始を無事故で過ごし明るい新年を迎えることを目的に運動が実施される。
運動実施要領で中災防は、職場の安全と健康を確保するために大切なこととして「経営者と労働者が一丸となって安全衛生活動を推進する」「一つひとつの作業を丁寧に確認し次の作業に備える」「体調管理を万全にする」「無理をしない」を挙げる。目新しいフレーズではないかもしれないが「基本事項の徹底」がゼロ災害につながる。
運動期間中、中災防はホームページのほかリーフレットなどを各事業場に向けて作成・配布し、活用を呼び掛けている。リーフレットでは安全衛生活動について、転倒災害に関するイラストや9項目にわたるチェックリスト、紹介している。
一方、年末年始の警備現場では次のような状況が予想される。
▽交通誘導警備では、建設会社が「工期に間に合わせる」「正月休み前に工事を進めよう」と工事時間の延長や夜間工事が行われる。
▽施設警備では、オフィスビルでは年末年始のあいさつのための来訪者の増加、商業施設ではクリスマスなどのイベント開催や通常より多くの買い物客が訪れるなど出入管理の繁忙や巡回頻度が増加する。
▽貴重品運搬警備では、交通量増加による渋滞で配達・回収などが計画的に進まない。
これらにより警備員も長時間労働や連続勤務を余儀なくされて疲労が蓄積、注意散漫によるヒューマンエラーなどに起因する労働災害の多発が懸念される。また、冬季は日没も早く交通誘導や貴重品運搬などの警備現場では、第三者の車両に自身の存在を早期に知らせる視認性の高い装備品の着用は欠かせない。寒冷地では路面の凍結などもあり、転倒災害の増加も予想される。体調が悪いのに無理をしている隊員がいないか、警備員指導教育責任者など幹部の目配りがゼロ災害につながる。
薄暮時に高い視認性 「オーロラ色」反射材
第一警備保障
第一警備保障(福井市、長谷川朋弘代表取締役)は昨冬から屋外での業務に従事する警備員の視認性向上に取り組んでいる。
具体的には、ブルゾンの背中、首付近にあしらわれた「SECURITY」の文字に反射材を採用。100着のブルゾンに取り付けるとともに、一時停止を促す警備員が持つ「手旗」にも用いられている。
同社のグループ会社「エコビルズ」(長谷川美帆代表取締役)が発案・企画したもので、「オーロラ反射材」と呼ばれている。反射して、見える光がオーロラのように角度によって変わることが特徴だ。車のヘッドライトなどによって57メートル先からでも明るく光って見えることから、運転者からの視認性を向上させるという。
安全運転者に報奨金 薄手ダウンを支給
美警
北海道釧路市の美警(三上葉月代表取締役)は安全運転と防寒対策に取り組んでいる。
毎年1月の仕事始めに「安全衛生大会」を開催し、1年のゼロ災害を誓うとともに、優良ドライバーをたたえる「SDカード表彰」を実施している。今年は59人が参加し、最上位のゴールド(10年以上20年未満の無事故無違反)以上は28人にのぼった。表彰制度は12年続いている。
SDカードは自動車安全運転センターが発行する安全運転者であることを示すカードのこと。同社では無事故無違反歴4年以上を表彰対象とし、勤続年数に比例して500〜1000円を表彰式の際に報奨金として手渡している。40年間無事故無違反を達成し、4万円を獲得した例もある。業務以外の運転履歴も評価の対象で、公私にわたる安全運転が求められている。
さらに、全ての業務車両に居眠りやわき見、携帯電話の使用など運転者の挙動も検知する「Fドラ」というドライブレコーダーを搭載している。走行記録だけでなく運転状況を確認することで隊員らの運転の質が向上した。導入のきっかけは、同社の交通誘導警備員2人が犠牲となった、22年10月に標茶町内で発生した死亡交通事故だ。悲劇を繰り返さないため、Fドラと「SDカード表彰」で安全運転と参加意欲を喚起している。
また、防寒対策として23年2月から超薄手ダウンジャケットを支給している。一日の最高気温が0度未満の「真冬日」が平年40日に及ぶ釧路市では防寒警備服を着ても寒いことから、長袖シャツの下に着ても着ぶくれしないことから採用した。
凍結路面での転倒対策 融雪剤入りペットボトル
トスネット南東北
トスネット南東北新庄営業所(山形県新庄市、京郷有一所長)は12月1日から1月末までを冬季の労災防止期間として転倒災害対策などに取り組んでいる。
路面が凍結したり圧雪アイスバーンとなっている現場で業務にあたる隊員に対し、靴底に滑り止めを装着させるほか、融雪剤を携帯できるようペットボトルに入れて配布している。
新庄営業所の管轄エリアは県内有数の豪雪地帯。内陸と沿岸を結ぶ主要幹線道路の国道47号は7月の豪雨災害で甚大な被害を受け現在も片側交互通行の規制が続いており、復旧工事は着手されないまま越年する。同営業所はこの現場で交通誘導警備を担当している。
重機による除雪作業の直後の道路は表面が鏡のような圧雪アイスバーン状態となり、地元の隊員でも立つことが難しい。警備員各自が立哨する足元に融雪剤を撒いてアイスバーンを溶かすことにより転倒リスクを減らしている。