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クローズUP

宮城警協 セキュリティジョブサーチ2024.10.01

県北の大崎市で初開催

宮城県警備業協会(氏家仁会長)は9月8日、求職者や警備業に興味を抱く人などを対象とした警備業合同面接会「セキュリティジョブサーチ」を開催した。

企画は昨年同様、同協会の青年部(早坂好行部長=ゴリラガードギャランティ)が担当。加盟社から12社が参加、自社や警備業をPRした。会場は初めて仙台市内を離れ、県北地域の中心都市「大崎市」で開催された。

開会式典で早坂部長は「これまで(警備員への)就職希望者が多い仙台で開催していた。しかし、希望者の声を聞くと、“自分たちの住んでいる地域の安全・安心に貢献したい”との声があった」と、初の試みとして大崎市内で開催した理由を述べた。

会場には、事前予約していた12人と当日参加の8人の計20人(平均年齢は概ね40〜50歳代)が来場。運営に当たった宮城警協青年部員からは「初の仙台以外の開催だったが、ハローワーク古川のバックアップもあり希望者の会場滞在時間が前回の3倍ほどだった」(安彦駿介副部長=エース警備)、「ほとんどの方に全てのブースを回っていただいた。アンケートにも真摯に対応してもらい希望者の熱意を感じた」(千葉良平副部長=WAKABA)などの感想が寄せられた。隣県の岩手県警備業協会青年部会(吉田繭部会長=新生警備保障)も視察に訪れ、宮城警協青年部部員と開催場所や開催方法などについて活発な意見交換を行った。

宮城警協は今年度からセキュリティジョブサーチを2回開催する予定。大崎市での開催が成功したことから、次回も仙台市以外での開催も検討する。

「車いす警備員」パリへ2024.10.01

パラリンピックを視察と応援

昨年11月に「車いす警備員」として初の施設警備業務2級の検定を取得したゼンコー(さいたま市大宮区、海野弘幸社長)の濱田久仁彦さん(64)は9月2日から7日間、「パリ2024パラリンピック」を視察した。

自身も会場警備に従事した21年開催の「東京2020パラリンピック」との障害者対応の違いを確認するとともに、車いすで警備にあたる民間警備員と交流することが目的。濱田さんが勤務するゼンコーが支援するパラスポーツ「ゴールボール」と、同社への入社が内定している女子水泳200メートル個人メドレーなどに出場した由井真緒里さんの応援も目的の一つ。パリへは海野社長と同社関係者の計3人が同行した。

濱田さんによれば、大会直前の鉄道施設テロ事件により警備は警察・軍が中心となり、民間警備員と交流する機会はなかったが、障害を持つ大会ボランティアとの交流は実現。ゴールボールチームや由井選手には大きな声援を届けることができたという。

特集ワイド 警備会社の「管制」2024.10.01

警備会社の「管制」は、警備現場ごとに必要な人数の警備員を配置するマネジメント業務だ。担当者は、警備員それぞれのスキルや経験、勤務シフトなどを考慮しながら連絡を取り、警備現場に割り当て、勤怠を管理する。管制担当者の育成と働きやすい職場づくりの工夫、現場と社内が円滑なコミュニケーションを行うポイント、管制業務をPRする動画を取材した。

東和セキュリティ

東和セキュリティは施設警備、交通誘導警備を手掛け、警備員は92人、管制業務には内山代表を含めて7人が携わっている。

内山代表は「警備員に電話で指示を行う通常業務にとどまらず、急病人が出た場合やトラブル事案の処理など、対応は多岐にわたります。現在、勤怠管理ソフトの導入を検討していますが、電話を使って警備員と正確に情報をやり取りすることで現場をバックアップする若い管制担当者を育成する取り組みは重要です」と強調する。

「以前に静岡県警備業協会が開催した業界の課題をテーマに会員がざっくばらんに話し合う討論会の中で、複数の中小企業のベテラン管制が『後継者が見つからない。いつまで自分がやるのか』と懸念を話しました。警備員の確保に加え、管制の若手人材を育てることは課題となっています」と指摘した。

同社では今春、施設警備に従事していた30代の男性社員が管制業務に異動した。施設警備の勤務シフトは月単位で作成するが、交通誘導警備のシフト作成は週単位で行う。警備員との電話連絡や、警備現場に出向いて資格者配置路線の確認など、上席者がマンツーマンで育成を図っているという。

内山代表は「お客さまから『警備員は1人で良い』と依頼されても、管制担当者が実際に現場を確認し“2人必要だ”と判断したら増員について交渉する必要がある。警備員とお客さま、双方とのコミュニケーションを管制は求められるのです」と話した。

管制担当者がより働きやすい職場づくりの一環として9月16日にオフィスのレイアウトを変更した。従来は席が向かい合う「対向型」だったが、「上司の視線があると“常に見られている”というプレッシャーを感じやすい。のびのびと管制の仕事をできる空間を作ろう」との趣旨で席の配置を変え、高さ1メートル20センチの「ハイデスク」などを購入。“動きやすく、話し合いやすく、視線が気にならない”室内デザインとした。複数の事務机購入などで諸経費は約80万円。「毎年緊縮予算で経営を行ってきたが、今年は取引先が値上げをしてくれたことから投資の意欲が湧きました。若手が育つと社内の活性化につながります」と内山代表は期待を寄せる。

警備サービス輝

管制の業務内容を動画でアピール――。警備サービス輝(かがやき)は、ユーチューブで交通誘導警備などを紹介する動画を30本以上配信中だ。このうち複数の動画で管制業務について紹介している。

「輝討論会!警備会社の管制官とは」と題する動画では、同社の管制室課長と課長補佐が出演。業務の流れを説明した上で「聞き上手でメンタルの強い人が向いていると思います。管制には厳しいが隊員には優しい会社です」などとユーモアも交えて話し、風通しの良い職場の雰囲気も伝える。再生数は2300回近くにのぼる。

浅川社長は「警備会社の中ではどんな仕事が行われているか、一般の方々に知っていただければと思います。色々な角度から警備業を紹介する動画を通じて、理解促進、イメージアップにつながればと考えます」と述べた。

同社では、スマートフォンで勤怠を報告する業務管理システムを導入した。浅川社長は「隊員と内勤者の電話によるコミュニケーションが少なくなった分、現場に直行直帰の隊員が会社に立ち寄って交流する機会を増やすなどの工夫をしています」と話している。

アルク

アルク東京中央支社(豊島区)の警備員指導教育責任者・戸張千里さんは入社15年目、管制業務を5年半にわたり担当している。「隊員190人の顔と名前を覚えて業務に取り組んでいる」という戸張さん。隊員とコミュニケーションを図るポイントなどを聞いた。

<<電話で円滑に話すコツはありますか>>

隊員さんの顔を思い浮かべて話すと、より伝えやすく、聞きやすくなると感じます。私は警備員教育や採用も担当しているので一人ひとりの顔と名前を覚えるようにしています。

<<管制業務で重要なことは何でしょう>>

警備を行う現場について理解した上で、適材適所となる配置を心掛けます。接客が得意な隊員、黙々と警備することに向いている隊員など、個性を考慮することは大切です。お客さまからの要望を聞いて、限られた時間の中、隊員の都合を聞きシフトを調整して配置を完了するのは大変ですが、やりがいを感じています。

電話では、事務的な連絡であっても声に感情がにじむものです。隊員の気持ちや体調が気になった時は「どうしましたか」と声を掛けます。長電話にならないよう、要点を聞き取らなければなりません。

警備先の施設で、隊員が休憩室の使用を遠慮していると分かった時は、遠慮せずに使用できるよう施設の関係者にお願いするなど現場の職場環境にも気を配ります。

体調がすぐれない様子の高齢の隊員さんが電話で「病院には行きたくない」と話した時には「一度病院で診てもらえば安心できますよ」と説得したところ、後でお礼を言われました。

<<近年は管制業務にデジタル活用が広がっています>>

弊社もスマートフォンのアプリによる勤怠報告システムの導入に向けて検討を進めています。一方で、高齢の隊員さんは、電話で話すことに安心を感じるようです。

管制業務を続けていくには、あきらめない根気強さ、隊員のことを考える姿勢、会社全体の心強いバックアップが欠かせないと思っています。