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クローズUP

秋田で青年部サミット開く2024.10.11

北海道・東北6県警協

「北海道・東北各県警備業協会青年部サミットin秋田」が10月4日、秋田市内で開催された。7道県警協の青年部会員や来賓など約60人が参加。記念講演と活動成果の発表が行われた。秋田警協マスコットキャラクター「ガリット」も登場、参加者は交流を深めた。

6回目の青年部サミットは、青年部会員が警備業の課題を討議する従来の形式でなく、直近の活動について発表する“プレゼン形式”で行い、情報の発信と共有を図った。

開催地の秋田警協青年部会・宮田崇志部会長(出羽警備)は「警備業の未来を青年部が担う気運がさらに高まり、各県の取り組みに弾みがつくことを願っています」と述べた。

活動成果発表会では、秋田警協青年部会の初代部会長を務めた山崎里史氏(協会副会長、国際パトロール)が「青年部発足の思い」と題して講演した。

活動の原点に「警備業の健全な発展」をめざす関係者の思いがあり、各種研修会や地域貢献活動に取り組む中で視野が広がり成長につながることを強調した。

それぞれの青年部会は、SNSを活用した警備業の広報活動、人材確保に向けたセミナーやイベント、ボランティアなどの取り組みを画像を交えて説明。秋田警協マスコットキャラクターとしてイベントなどでPRを行って注目される「ガリット」が紹介された。青年部活動の課題として「より若い世代の入会者をどう増やすか」「参加者が固定している」「活動のパターン化」などが挙げられた。

活動発表に先立ち、全国警備業協会・小澤祥一朗総務部次長は記念講演を行った。42都道府県で青年部会が設置され幅広い活動が展開していることや、全警協の取り組みを説明した。

全警協・黒木慶英専務理事、秋田警協・鈴木伸也会長も、青年部活動に寄せる期待を述べ、激励した。

サミットには宮田部会長と次の部会長が参加した(敬称略)。

【北海道】多田朋剛(ガード二四)【青森】種市貴史(北東ビル管理)【岩手】吉田繭(新生警備保障)【宮城】早坂好行(ゴリラガードギャランティ)【山形】松田大輔(山形警備保障)【福島】鹿島光太郎(コスモさくら警備保障)

次回は福島県での開催を予定している。

全警協 インドネシア訪問2024.10.11

警備業、日本語教育を視察

全国警備業協会(村井豪会長)は、8月19日から23日にかけてインドネシアを訪問し警備業や日本語教育機関を視察した。黒木慶英専務理事、幾田弘文監事(岐阜警協会長)、小澤祥一朗総務部次長は首都ジャカルタで日系の警備会社や日本語教育の関係者からヒアリングし意見を交わした。

全警協は、人手不足の産業で外国人労働者を受け入れる「特定技能制度」と、技能実習制度に代えて新設される「育成就労制度」への警備業の導入に向けて警察庁と連携し検討を行っている。今回の視察は、人口2億7000万人を超える同国の労働状況や警備業を取り巻く環境の把握が目的だ。

インドネシア人が日本で介護やビルメンなどに就労する場合に日本語教育を手掛けて送り出す機関「ATC」「SAKURA BINA CITA」「joycare」を訪問した。

日系警備会社の教育訓練センターで新任研修を見学。在インドネシア日本大使館関係者との意見交換、アジア太平洋警備業協会(APSA)インドネシア支部との意見交換も行った。

全警協は今回の視察に関するウェブセミナーを予定している。

特集ワイド 「科学保安警備」とは2024.10.11

顔認証システムで万引き防止

各地で「常習的な万引き」や「犯罪組織による大量窃盗」が発生する中、保安警備員が顔認証システムを活用して犯行を防ぐ「科学保安警備」が進められている。一方でシステムを適正に使用しない人権侵害の被害が問題になっている。科学保安警備のメリットと課題、科学保安警備員を育成するために日本万引防止システム協会(JEAS)が開催する「科学保安講習会」を紹介する。

警察庁の調べによると、2023年の万引き犯罪の認知件数は約9万3000件で、刑法犯認知件数の13.2%を占めた。03年は5.2%だったことから、全犯罪の中で万引きの認知件数の割合は20年間で約2.5倍に増えていることがわかる。東南アジア系外国人などの犯罪組織による大量窃盗やインターネットを使った換金、セルフレジでの新たな犯罪手口、増加する高齢者による犯行などが、被害増加の要因となっている。

それらの対策の一つとして「科学保安警備」がある。犯行防止の流れはこうだ。(1)万引き常習犯など警戒対象人物の顔の画像を事前にデーターベースに登録する(2)店舗出入口に防犯カメラを設置(3)登録した人物が入店した際に指定した保安警備員や店員のスマートフォンなどにメールなどで通報する(4)アイコンタクトや声掛けなどで犯行を未然に防止できる。

システム利用のメリットとしては、保安警備員の能力や経験に関係なく警戒できること、システムに登録しておけば長期間経ってからの再来店でも情報を活かせること、店舗全体で情報共有でき複数の目で警戒できること――などが挙げられる。

システムの導入により万引き被害が減少する一方、課題も出ている。万引きの証拠が確認できなくても「怪しい」と見なした段階で顔データをデータベースに登録され、店員に警戒の目で追われる「人権侵害」の被害が発生している。

JEASではこうした顔認証システムの誤った使い方を改善し、保安警備員が適正に効果的に活用する知識を修得する機会として「科学保安検定講習会」を開催している。

同講習会の企画・運営はJEAS科学保安講習プロジェクトが担当している。同プロジェクトは、日本保安・青柳秀夫社長がプロジェクトリーダーを務め、JSS・林俊一執行役員がワーキンググループ長、セフトHD・山根久和社長が総括指導の立場でそれぞれ参加している。

青柳リーダーは同プロジェクトについて次のように話す。

「万引き犯への対応は、受傷事故や誤認確保などさまざまなリスクが伴い、人権への配慮も必要です。科学保安講習プロジェクトは、JEASの稲本会長が保安警備の実情を聞き、打開策を講じるため発足しました。進化する顔認証システムを活用した新たな保安警備システムを法令順守のもと実施できるよう企画されたものです。私は保安警備一筋30年超にわたり、業務を続けてきました。次世代に保安警備業務を継承していくためには、顔認証システムを活用する必要があると判断し参加を決意しました」。

JEASが今年2月から5月にかけて会員53社を含む計84社を対象に行ったアンケート調査によると、23年の顔認証システム設置店舗数は1781店。2019年と比較して約5.7倍と大幅に増えた。顔認証システムを適正に取り扱うことができる科学保安員の育成が急務となっている。

科学保安警備には、個人情報保護法を順守し顔認証に求められる基準に適合した機器の使用が求められる。JEASのカメラ画像安全利用推進委員会(三宅正光委員長)は20年、顔認証システムを防犯目的で導入する企業に向けて自主認定制度「推奨顔認証システム検定」をスタートさせた。21年からはマスク着用時の認証試験「マスク対応プラス」が加わり、より厳格な検証基準となった。

23年までに「顔認証システム・マスク対応プラス」の推奨を受けているシステムは、パナソニックシステムソリュージョンズジャパン(現パナソニックコネクト)の「FacePRO」、日本電気の「NeoFaceKAOATO」、グローリーの「来訪者検知システム」、GeoVisonの「AiFR Server」、リアルネットワークスの「AI顔認証ソフトウェアSAFR」の5システム。24年の推奨顔認証システム検定の結果は、科学保安講習会の会場で発表される予定だ。

審査基準に合格したシステム機器には「推奨顔認証システム」として、推奨機器に添付できるシールが発行される。

個人情報保護の重要性

顔認証システムや不審行動検知AIシステムなどが普及する中、個人情報保護の重要性が指摘されている。2003年に定められてから改正が続いている「個人情報保護法」は、個人情報を扱う組織や事業者が守らなければならないルールだ。次の内容などが定めてある。

(1)防犯カメラで撮影した映像の利用は防犯目的に特定する(2)撮影されている人に対して認識させるため、施設内や施設出入口など目立つ場所に撮影の告知を行う(3)記録された映像が目的以外に利用されないように管理責任者や管理体制など運用規則を定めておく。

認定個人情報保護団体は、消費者などから寄せられる対象事業者の個人情報の取り扱いに関する苦情処理や漏えいなどに対応する。セキュリティーに関係する業界団体では、次の4団体が個人情報保護団体としての認定を受けている(取得順)。全国警備業協会(村井豪会長)、日本万引防止システム協会(稲本義範会長)、全国万引犯罪防止機構(竹花豊理事長)、日本防犯設備協会(春山正樹会長)。

JEASでは個人情報管理室を設置し、稲本会長が室長を務めている。対象事業者について苦情処理対応が必要と判断した場合は解決に努める。6月には「個人情報保護指針第4版」の理解を深めるオンラインセミナーを開催し、丸の内総合法律事務所の木村一輝弁護士(元個人情報保護委員会委員)が講師を務めた。

検定講習会に参加しよう

「第4回科学保安検定講習会」が11月15日午後1時から午後5時10分まで、YOTSUYA TOWER7階(東京都新宿区)を会場にオンライン(Teams)併用で開催される。

この講習会は顔認証システムを使用する保安警備員がシステムや技術、個人情報に関する法令を理解する必要があることから2021年に開始した。

講習内容は、顔認証システムを使った保安警備業務、推奨顔認証システム、個人情報保護と保護指針、セルフレジ不正、防犯データの分析と活用などについて講師が講義するほか、各メーカー担当者が推奨顔認証システム機器について説明する。講習会の最後に行う確認テストに合格すると科学保安員として修了証が授与される。

講習会の参加費はJEAS会員企業5000円、非会員企業1万円(どちらも税込み)。

同講習会は全警協発行の「保安警備業務の手引き第2版」を理解していることが参加条件となる。10月1日から配信を開始した動画「第3回『保安警備業務の手引き第2版』」(1時間46分)も視聴して講習会前に理解を深めておく必要がある。動画の視聴は無料。視聴用アドレスの案内は日本万引防止システム協会事務局(☎03―3355―2322)まで。