クローズUP
増収83社 本紙売上高調査2024.12.21
上位10社合計、344億円増
本紙は、2024年の警備各社の売上高を独自調査した。上位100社のうち、83社が前年比で増収となり、昨年の66社から17社増えた。
上位30社のうち、27社が昨年に比べ売上高が増加した。上位10社に限ると全社が増収、合計は約9240億円で、昨年(8896億円)より344億円増加した。
11位〜100位までの90社の売上高合計は5877億円にのぼり、昨年(5724億円)に比べ、153億円増加した。
警備業は、長期化したコロナ禍による痛手からの回復が順調に進み、交通誘導警備業務は底堅いニーズがある。近年は広域強盗事件が相次ぎ「闇バイト」が社会問題となるなど、安全安心に対する社会のニーズが高まる中、警備業がさらなる成長・発展に向かっていることがうかがえる調査結果となった。
師走の現金輸送車に「強盗」2024.12.21
警備業 緊迫の訓練
現金の動きが活発になる歳末。警備業と警察が連携し、現金輸送車襲撃を想定した防犯訓練が相次ぎ行われた。警備員は非常時の対応を確認した。
山口警協
山口県警備業協会(豊島貴子会長)は11月30日、現金輸送業務の防犯訓練を山口市内で行った。県警本部の担当官5人、3社(綜合警備保障山口支社、セコム山口統轄支社、NXキャッシュ・ロジスティクス中国支店)の警備員、関係者など合わせて40人が参加した。
警備員2人の現金輸送車が銀行に到着、警察官扮する複数の強盗犯人が襲撃し▽行員を人質▽警備員を結束バンドで拘束▽倒れた傷病男性に警備員が声を掛けたところを犯人が襲撃――の3つの想定で訓練。警備員は自社のマニュアルに従い、犯人逃走後の現場保存、警察への通報や犯人像の記録などを確認した。
県警担当官は講評で(1)安全最優先(人命第一)の行動(2)常に念入りな警戒(3)犯人の特徴や逃走車両の記録(4)迅速な通報(5)現場保存などについて説明。警備員は指導を受けスキルを高めた。
中島博文副会長(セコム山口統轄支社)は「各社がさらに訓練を重ね、常に危機感を持って現場での活動につなげてほしい」と述べた。
東洋テック
東洋テック(大阪市、池田博之社長)は12月2日、東大阪市内で大阪府警察本部・布施警察署と合同で防犯訓練を行った。警備員8人、警察官8人が参加。貴重品運搬業務中に強盗に襲撃された想定で、警備員に訓練のシナリオは伝えず、実際に110番通報するなど緊迫した雰囲気で行われた。警備員は訓練の最後に、警察官による警戒棒とカラーボールの使用要領、貴重品運搬警備業務に関する防犯基準などの指導を受けた。襲撃時にとるべき具体的な行動も確認した。
警備員からは「学んだことは社内で共有し、全体の防犯意識とスキル向上につなげたい」との声があった。同社と同警察署の合同訓練は2022年以来2回目。
九州地区連 取り組み報告2024.12.21
熊本は県に要望書提出へ
九州地区警備業協会連合会(折田康徳会長=福岡警協会長)は12月11日、熊本市内で理事会を開催した。九州8県の協会長、来賓として全国警備業協会の黒木慶英専務理事が出席。各県会長が今年の重点取り組み活動について報告した。
熊本・西利英会長は、適正取引・適正価格推進へ向け、県と熊本市に「要望書」を年明け早々にも提出することを明らかにした。同会長は「理事会で内容を精査中だが、役員の協会活動への関心も高まり、結束も強くなった」と述べた。
福岡・折田会長は、4年前から行っている、福岡市や北九州市などの自治体への要望書提出について説明した。要望は物価スライドを踏まえた適正警備料金設定など7項目に及ぶ。同会長は「施設警備の複数年契約は福岡市で、警備業務の分離発注についても福岡・北九州・久留米の各市でほぼ実施されつつある」と成果を強調した。
沖縄・池田典夫会長は、協会会費改定のために10月に臨時総会を開催したことを報告した。同協会では創設以来、会費を据え置くとともに、会社規模に関係なく一律の会費を徴収してきた。会費値上げ分について同会長は「赤字補填に加え、自治体への要請活動の活性化や青年部会の支援、弁護士を協会顧問に迎えて会員に対する無料法律相談実施などに必要な経費に充てたい」と述べた。
大分・但馬英二会長は、各県の「災害支援協定」の現状について意見を求めた。理由について同会長は、8月に宮崎県日向灘沖で発生した地震により初めて発令された「南海トラフ地震臨時情報」を受け、県警から2000年に協会と結んだ災害支援協定の見直しの打診があったことを明らかにした。
警備業今年のニュース102024.12.21
能登半島地震 警備業の支援
1月1日、最大震度7の地震が石川県の能登半島を襲った。石川県警備業協会(上田紘詩会長)は会員の被害状況の把握、関係機関との連絡調整などに追われた。
中部地区警備業協会連合会(小塚喜城会長=愛知警協会長)の有志は緊急援助隊を結成、1月6日から七尾市内で避難所の夜間パトロールを開始。全警協幹部も県内に入った。各警協や警備会社が義援金を送るなど、警備業関係者による支援の動きは全国に広がった。
警備員は、インフラ復旧工事や災害廃棄物の処理に伴う交通誘導警備業務などに尽力した。しかし9月、復興をめざしていた能登半島の被災地は記録的な豪雨に襲われ、再び甚大な被害が発生した。
警協と県や市 災害協定結ぶ
南海トラフ地震、気候変動による豪雨など大規模災害の発生が懸念される中、警備業と自治体の災害支援協定が相次いで結ばれた。1月に神奈川警協は県と、3月に高知警協は高知市と、10月に鹿児島警協は鹿児島市と、それぞれ協定を締結。滋賀警協は「改定協定」を県・警察と9月に結んだ。
警備会社と市・町との災害支援協定も複数結ばれた。
1995年の阪神・淡路大震災発生後に各警協が自治体や警察と結んだ協定の多くは、費用負担や業務内容などの点で明確でないことから、より実効性を高める協定に向けて見直しが進められている。
10月に開かれた中国・四国地区連合同会議では、災害復旧時の警備業務は「広域連携」の検討が重要とする指摘もあった。
「最賃」過去最高 平均1055円
2024年度改定で最低賃金は、全国加重平均で過去最高の1055円となった。前年度からの引き上げ額は51円と、これまでで最大。時給千円台は16都道府県に倍増し、そのほかの31県全てで950円を超えた。
最賃の24年度改定では、国の審議会が物価高や春闘の賃上げ水準を踏まえ、引き上げの目安を全国一律50円増に設定した。都道府県ごとの審議の結果、27県で目安を上回った。引き上げ額の最大は徳島の84円。岩手と愛媛の59円、島根の58円が続いた。人手不足の中、時給格差による人材流出を抑えたいとの意向が強く働いたとみられる。大都市圏を含む20都道府県は目安と同じ50円増で決着した。
10月から適用されている最賃の最高は東京の1163円、最低は秋田の951円。地域間格差は縮小した。
警備員Aの単価 2万円に近づく
3月に改定された公共工事設計労務単価で交通誘導警備員の全国加重平均は、1級・2級検定合格の警備員Aが1万6961円(前年度比6.4%増)、A以外の警備員Bが1万4909円(同7.7%増)となった。Bの伸び率は主要12職種で最大だった。単価上昇は人手不足などが要因。都道府県別でみると、Aの最高は2万円に近づき、愛知の1万9700円。東京と静岡の1万9000円が続いた。引き上げ額は愛知の2100円が最大となった。Bの最高は東京と神奈川の1万6600円、次いで茨城の1万6400円で、引き上げ額の最大はAと同じく愛知で1700円だった。
警備員の単価は上昇の一途を辿っているものの、主要12職種でAは10番目、Bは12番目。依然として低い水準にある。
青年・女性部会 アイデア活かす
青年部会を設置する警備業協会は42都道府県に広がった。人材確保に向けて警備業の広報、イメージアップが急がれる中、青年部会は「警備の日」PRなどに取り組んだ。イベント参加、SNS活用、マスコットキャラクター製作、電車内のアニメーション広告など、さまざまなアイデアが活かされている。
各地区連内の青年部合同会議、合同勉強会も開かれた。
全国で6番目となる女性部会・神奈川警協「ポラリス」が4月にスタート。各女性部会は、研修会の企画・開催や警備業のPR活動などに取り組んだ。
70代増え30代離れ 業者数は過去最多
警察庁が公表した2023年12月末時点の「警備業の概況」によると、警備員数は58万4868人(前年比2754人増)で、前年より0.5%微増した。女性警備員は4万975人(同1604人増)で全警備員の7.0%を占めた。年齢別の最多は「70歳以上」の11万7411人。最少は「30歳以上40歳未満」の5万4496人で「30歳未満」の5万9725人より少なく、警備業から30代が離れていく傾向がうかがえる。在職年数の最多は「3年以上10年未満」の19万2789人(33%)。
警備業法第4条に基づく認定業者(4条業者)は1万674社(同150社増)で過去最多となった。
全警協新会長 村井豪氏就任
全国警備業協会が6月に開いた定時総会で第7代会長に村井豪氏(ALSOK)が就任した。村井会長は就任あいさつの中で「労働力の不足やDXの進展など、経営環境はこれまでと大きく異なる。警備業界は大きな転換点を迎えて『変化はチャンス』と捉えて良いと思う。時代の変化に適合して、人が集まる一層魅力的な業界をめざしていきたい」と言葉に力を込めた。
関東、近畿、中国の3地区警備業協会連合会で新会長が就任。大手警備会社では、セコム、セントラル警備保障、セノン、にしけいで新社長が就任した。
「価格転嫁」新設 自主行動計画
全国警備業協会は「警備業における適正取引推進等に向けた自主行動計画」を改訂し、価格転嫁の項目を新たに設けた。
発注者の取り組むべき事項として、取引価格が受注者の適正利益を含むものとなるよう協議して決定することや、価格交渉を申し込むことが受注者の不利益にならないよう徹底することなどを記載した。
受注者の取り組むべき事項では、全警協が作成したリーフレット「警備業における適切な価格転嫁の実現に向けて」の積極的な活用などを盛り込んだ。
政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針)」では初めて警備業について言及。「警備業での賃上げに向けて労務費の価格転嫁を進める」と明記された。
改正警備業法施行 警備業のDX進む
政府が進めるデジタル改革や、人手不足対策が求められる中、業務の効率化や生産性向上を目的に警備業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進んだ。
4月には警備業法が改正、施行された。主な内容は(1)警備業の認定証の廃止(2)認定証に代わる「標識」の営業所とウェブサイトでの掲示義務化(自社にサイトがない、または従業員数5人以下の場合は、サイト掲示は免除)――の2点だ。
国土交通省は2月、同省の地方整備局担当官などに「交通誘導システム等を活用した費用計上方法(試行)」と「道路工事保安施設設置基準(案)」を通達。警備会社の提案で交通誘導警備員の代わりに「映像解析AIによる交通誘導システム」が採用された場合、「共通仮設費(安全費)」として費用計上することなどが示された。全警協は都道府県警協に通達文を参考として送付し周知を呼び掛けた。
宮崎・齊藤氏に叙勲 警備業から36人目
秋の叙勲で、宮崎県警備業協会元会長の齊藤幹生氏(宮崎綜合警備保障)が旭日双光章を受章した。警備業界の受章者は36人となった。齊藤氏は1998年に宮崎警協会長となり10期21年務めた。