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クローズUP

猛暑「座哨」で警備2024.08.21

三重の堤防工事現場で

猛暑の中、交通誘導警備員の熱中症リスクや疲労感を「座哨」で軽減――。桑名総合警備保障(三重県桑名市、岡田憲享社長)は、気温が連日35度を越える中、警備に「座哨」を組み入れた。警備員は工事車両などを誘導するほか、状況に応じ椅子に腰掛けて警戒を行う。

警備先は木曽川の堤防かさ上げ工事現場(三重県木曽岬町)で、同社は6月1日から交通誘導警備を行っている。工事は国土交通省の発注で、地元建設会社から警備を委託された。岡田社長は、ユーザーの現場監督に「警備員の熱中症を予防し、疲労を軽減して健康を促進するとともに“暑い日も一日中、立っている”といった交通誘導警備員のイメージ改善につなげたい」と『座哨』を提案した。

ユーザーは理解と共感を示して警備員のためにパラソルと椅子を設置した。さらに『皆さんを安全に誘導する交通誘導警備員! 快適に座って警備しているんだよ。でも、ヤルときゃヤルよ』と記したイラスト入りの看板も作成し警備員の「座哨」を応援している。

岡田社長は「『足腰の疲労が蓄積しない』と警備員は喜んでいます。警備の現場を快適にしていきたい。従来の“立ちっぱなし”のイメージが変わっていくと、交通誘導警備で働きたいと思う人は増えるのではないでしょうか」と述べた。

全国警備業協会ホームページでは「労働環境整備」に関する実験動画が公開中だ。実験は、立哨・座哨を交互に行う場合と立哨のみ続ける場合の血圧、心拍数、唾液ストレスマーカーの数値を比較。測定結果から「座哨の組み入れは、身体的負担とストレスを軽減し、警備員のパフォーマンス向上に有用」としている。

九州地区連2024.08.21

青年部「G8」開く

九州地区警備業協会連合会(折田康徳会長=福岡警協会長)は8月8日、福岡市博多区内で5年ぶりに「青年部会長等(G8)会議」を開催した。8県の青年部会長や副部会長、部会員など16人が参集、主な活動などを報告した。

青年部会長等(G8)会議は、地区連単位の青年部会の合同会議としては全国で初めて2019年に開かれた。以降はコロナ禍などで中断していた。

折田会長は「内容を持ち帰り、各県で生かしてほしい」と会議に期待を寄せた。また「予算が少なく活動に制約がある」との意見を受け、支援金増額を全警協に働き掛ける意向を示した。

福岡の「青年特別委員会」は、12年に任意組織として発足した「警翔会」が前身。松下貴裕委員長(にしけい)は、23年度に協会創立50周年行事など協会事業の側面支援を行ったことを報告。会議に特別参加した同協会女性部会「あやめ会」を前身とする女性特別委員会の池田純子委員長(SRC)は「青年委員会と警翔会、女性委員会とあやめ会が“ワンチーム・エンジョイ”で活動を展開していく」と述べた。

佐賀の芳司雅之部会長(明光)は今年の「警備の日」PR活動として、「警備フェス」開催を明らかにした。スタンプラリー形式での1〜4号までの警備業務紹介や警備服着用のダンスパフォーマンスなどを計画している。

長崎(町田剛部会長=小田警備保障)は今後、他団体との交流を進め警備業を対外的にPRする。

熊本(甲田博律部会長=コアズ熊本支社)は、協会ユーチューブチャンネル掲載の職業紹介動画「交通誘導警備員の一日」に部会員が出演。退職自衛官向け職業紹介講話などで活用する予定だ。

大分の林健副部会長(ダイケン警備保障)は、協会が県警と結んだ「犯罪の起きにくい社会づくり協定」を受けた年金支給日の特殊詐欺被害防止のチラシ配布などを報告した。

宮崎(山下晃司部会長=FCガード)は、国や県、建設業者などを招き「AI警備」勉強会を開催。AIを用いた警備システムが県内国道で稼働中だ。

鹿児島の原田忍副部会長(ファースト警備)と上玉利勝史部会員(ケイアイ・トラスト)は部会運営上の課題を述べた。同部会は会員減少により会員資格を23年度から「55歳未満」に引き上げ、会費(1万2000円)の徴収も廃止。また部会員が協会理事など複数の役員を兼ね重複的な活動が困難となっているなどの現状を報告した。

沖縄(金城直也部会長=中央警備保障)は、今後の活動として「青年部会キャラクター」の製作を検討。SNS「ライン」でスタンプの登録・販売を目指す。

特集ワイド 広げよう女性部会2024.08.21

警備業協会の女性部会は現在6都道府県にある。青年部会と同様に警備業界の新たな発展につながる活動が期待されている。4月にスタートした神奈川「ポラリス」、5月に新部会長が就任した東京「すみれ会」、北海道「木蓮会」、岐阜「いちい会」、大阪「ひまわり会」、福岡「あやめ会」の取り組みや抱負などを、6人の部会長にそれぞれ語ってもらった。

神奈川警協 ポラリス

4月1日に設立された。7社7人の経営者や管理職で構成する。

平林部会長は「ポラリスは北極星のことで、古(いにしえ)の旅人を導いて見守り輝く存在でした。私たち女性部会が目標に向かって進み、いつか北極星のような存在になれるようにとの思いを込めています」と語っている。

神奈川警協(岩野経人会長)では、警備業界における一層の女性活躍推進を視野に会議や調査を重ねてきた。活動目的として(1)協会事業への積極的な参加と協力(2)他の都道府県協会などの同様団体との交流、調査研究(3)警備業界での女性活躍を見据えた提言活動(4)相互の理解を深める交流・親睦――を掲げている。

平林部会長は「岩野会長はじめ役員と事務局の方々の心強いサポートと協会会員の皆さまの応援を受けてスタートしました。警備業は女性の占める割合が非常に低い中で、各地の女性部会が連携を図ることによって相互の潜在的な力が引き出される『エンパワーメント』の向上が期待できると思います。2025年10月には全国の女性部会関係者が集まる大会を横浜市内で計画しています」と述べた。

東京警協 すみれ会

主な活動として協会会員に向けて年2回の研修会を企画・開催している。

今年は6月11日に警備員の接客スキルを高める教育について初代部会長の五十嵐和代氏(五十嵐商会)が講演した。11月7日には防犯・防災をテーマに外部講師を招いて講演を予定している。

副部会長を経て5月31日に新部会長に就任した黑田氏は、女性部会の担う役割について次のように話す。

「男女の性差にとらわれない“ジェンダーレス”が社会に広がっています。警備業は男性も女性も活躍できる職業ですが、まだまだ女性は少数派。部会としてチームワークを発揮して協会活動に携わり、業界内外への情報発信や道府県の女性部会との交流・連携を図ることは大切です」。

今後の抱負として「経営に活かせる知識の共有に向けて『両立支援助成金』など公的制度の研修や、子育てや介護をしながら警備業で働く方々に役立つ研修など、協会会員の皆さまに奉仕する心で部会員とアイデアを出し合い、取り組んでいきたい」と語った。

同会は2014年に「女性経営者グループ」の名称で立ち上げられた。関係者は活動方法などを話し合い、翌2015年の協会定時総会で部会(理事会の諮問機関)として発足した。会員は12人。

北海道警協 木蓮会

昨年10月1日に発足し、部会員は11人。「女性部会及び女性経営者セミナー」を5月30日に札幌市内で開催した。総合物流企業の創業者が講演し、大阪警協と神奈川警協の女性部会員や全国の女性経営者など36人が参加して交流・連携を深めた。

幡部会長は「“できたて”の女性部会としましては、長く活動されている都府県の女性部会の取り組みなども参考にしつつ、より魅力ある業界づくりに向けて積極的な広報活動を推進していきたい」と力を込めた。

北海道警協(長尾昭会長)は2022年10月に女性経営者4人による「設立発起人会」を立ち上げ、会則を定め、部会員を募った。長尾会長は設立総会で「より多くの女性が活躍できる警備業をめざすことは、男女を問わず働きやすい産業になることです」とエールを贈った。

岐阜警協 いちい会

理事会の下部組織として2018年6月28日に発足し、9人で活動中だ。これまでに、職場環境の整備に向けて女性警備員の“現場の声”を集める座談会やアンケート調査を行った。「女性が着たくなる」をモチーフとする警備員制服のデザインを一般公募し「警備の日」に発表した。

森部会長は「昨年の『警備の日』PRでは、青年部会と連携して岐阜駅周辺で“社会になくてはならない生活安全産業”として広報啓発活動を行いました。街頭広報では、より多くの方々に関心を向けてもらう工夫が大切だと実感しました。家族連れにPR効果が見込まれる全警協マスコットキャラクター『ガードくん』の活用や、SNSによる広報などを部会員と検討しています」と述べた。

大阪警協 ひまわり会

全国で初の女性部会として2001年9月13日に設立された。総務委員会の下部組織だったが2018年から部会に位置付けられ、部会員は40人を数える。

多様なテーマで研修会を重ねる。8月27日には労働災害防止に向けて「危険予知(KY)研修」を開く。講師は、ひまわり会会員で社内ゼロ災運動により中央労働災害防止協会会長賞を受賞した竹内千里氏(レールソリューションズ)。

若林部会長は「経営者や業務担当者が、危険予知トレーニングなど労働災害防止の知見をより一層深めて社内に展開する契機になればと企画しました。最近は活動に参加する若い世代の女性経営者が増えており、活発に意見を交わして研修テーマなどを話し合っています。“ひまわり会で勉強してスキルアップ”という雰囲気が高まっていると感じます」と話している。

福岡警協 あやめ会

2016年11月1日「警備の日」に設立され、部会員は25人。協会とは別組織の任意団体だが、協会の女性特別委員会(奥村雅弘担当理事=協会副会長)の委員長を池田部会長が務めている。

あやめ会はSNSのTikTok(ティックトック)を活用、60本の短い動画を配信中だ。6月に開かれた「女性特別委員会強化会議」の様子、「警備の日」街頭PR、ハローワークで行った「警備業セミナー」などをアピールしている。

協会広報誌「SECURITY FUKUOKA(セキュリティ福岡)No.100」には、あやめ会の歴代部会長4人による座談会が掲載され、協会ホームページで同誌を閲覧できる。

池田部会長は「幅広いPR活動を通じて警備業界では女性も活躍しているとより多くの方々に知っていただき、新たな人材の確保につながれば」と期待を寄せる。