クローズUP
山口警協 県と災害時協定2025.04.01
豊島会長「役立つことが使命」
山口県警備業協会(豊島貴子会長)は3月17日、山口県(村岡嗣政知事)と「災害時における地域の安全確保のための警備業務に関する協定」を締結した。
明記された警備業務は(1)緊急交通路の確保等のための交通誘導(2)廃棄物仮置場出入口等の誘導整理(3)避難所等における犯罪防止――などの各業務。県は県警と協議し協会に協力を要請する。業務を受託した会員事業者は法定手続きを踏まえ契約を結ぶ。業務の費用は業務を行う「直前の適正価格」を基準に協議し決める。活動内容に柔軟性を持たせるため細目協定は策定していない。
協会は県警察と1997年に災害時支援協定を結んだが、より迅速で効果的に活用できる協定に向けて2021年から県警生活安全部と協議を始めたが、災害に関する県警の所管が警備部門となり、協議先を警備部へ変更。災害時の業務の契約や市町との連携の面から県との間で締結となった。協定書の作成に際しては全警協の「ひな形」、複数県の協会からの資料を参考とした。
締結式には村岡知事、県警から坂本英治警備部長、協会から豊島会長、濵岸守・山田博・中島博文副会長、中野民雄専務理事が出席。
村岡知事は「大規模災害の発生時、警備業務が必要とされる場面は多く、県として大変心強い」とあいさつした。
豊島会長は「当協会では防災委員会を設置して協議してきた。新たに協定が結ばれ、災害が発生しても皆さまに安全安心を寄与できるよう努め、お役に立つことが警備業者としての使命だと思います」と述べた。
東京警協「交通部会」2025.04.01
報告会開く
東京都警備業協会(澤本尚志会長)の交通警備業務部会(久恒康裕部会長=第一総合警備保障)は3月19日、2024年度の報告会を都内で開催した。
澤本会長は、10月18日に東京・二子玉川で開催を予定する警備業PRイベントなど協会活動を説明した。
久恒部会長は、公共工事設計労務単価の課題や、3月18日に開かれた全警協・交通誘導警備業務ワーキンググループの初会合に参加したことなどを述べた。
各種研修会開催や警視庁との意見交換会など24年度の活動報告を担当責任者3人が行った。
講演では、賃金人事サポート・松尾正二郎代表取締役副社長が「社員のやる気を引き出す賃金制度・人事制度」を解説した。
警視庁通信指令本部・柴田正一郎指令計画課長は「110番通報の現状」を説明した。
特集ワイド 「最新の危機管理」発信2025.04.01
犯罪・災害対策を一堂に展示
西日本最大級の危機管理の総合展示会「防犯防災総合展2025」(主催=防犯防災総合展実行委員会、大阪国際経済振興センター、テレビ大阪)が4月16日(水)から18日(金)の3日間、インテックス大阪(大阪市)5号館で開催される。犯罪・災害対策から熱中症対策まで、警備業にとって関連が深い分野で最先端の機器やシステムが一堂に展示される。その見どころを紹介する。
危機管理総合展示会「防犯防災総合展」は、2013年10月にインテックス大阪で初めて開催された。翌年14年からは6月上旬に毎年2日間の日程で開催(コロナ禍の20年は10月、21年は8月に延期開催)してきた。13回目となる今年からは当面、4月に3日間、介護・福祉の展示会との同時開催となる。
会場が近い国際イベント「大阪・関西万博」が4月13日に開幕することから、今回は例年以上の来場客が見込まれる。主催者発表では、同時開催展と合わせて6万人の入場が予想されている。
防犯防災総合展の来場対象は警備業関係者をはじめ、各種協会・組合などの団体、防犯・防災関連機器メーカー、警察・消防・防衛機関、自治体・官公庁など、「安全・安心」に関わりが深い業種を中心に多岐にわたる。
今年の出展者数は、3月25日現在で88社・団体を数える。展示内容は大きく防犯分野と防災分野に分かれる。
防犯分野の中で特に警備業に関係する展示内容としては、▽入退出や万引き防止、安全管理など各種システム▽監視カメラやセンサー、レコーダーなどセキュリティー機器▽サイバー対策や侵入防止・検知システムなど情報セキュリティー対策▽家庭用のドア鍵やゲート、警報機器など防犯対策製品――などがある。
防災分野は、▽震災対策としてBCP(事業継続計画)や安否確認システム、通信機器▽火災対策として火災報知器や消火器、消火・防煙設備▽土砂災害対策として土砂・落石検知システムやドローン▽突風・竜巻対策として気象監視技術や気象解析システム――などを紹介する。
防災関係で特に社会からの関心が高い内容として、次の3つの展示がある。
交通インフラの麻痺による足止めを想定した「帰宅困難者対策」では、備蓄品や避難誘導システム、OA機器などの転倒・転落防止対策、デジタルサイネージなどを紹介する。
毎年各地で甚大な被害を受ける「豪雨災害の対策」として、止水板・フェンス、監視・予測システム、土のう・水のう、救命艇、ライフジャケット、シェルターなどを展示する。
「災害時の停電対策」としては、ポータブル発電器やポータブルソーラーパネルなどを展示する。
ほかに高齢者や障害者、乳幼児、妊婦、外国人など“避難弱者”に向けた「要配慮者の防災を考えるゾーン」を設けて、避難・誘導用品や緊急時コミュニケーションツール、多言語災害情報システムなど最新アイテムの展示を行う。同時開催の介護・福祉の展示会「バリアフリー展」との共同企画となる。
阪神・淡路大震災の発生から30年目の今年、懸念される南海トラフ地震の発生に備える特別企画として、インテックス大阪内にある「国際会議ホール」で18日、災害対策関連のシンポジウムや基調講演が予定されている。
警備業にとって夏季の業務に向けて必見の、猛暑から命を守るための熱中症対策用品も紹介する。飲料(経口補水液など)や食品(飴・サプリメントなど)、衣類、遮熱シート、冷却スプレー、熱中症計、空調機器、業務用扇風機などを展示する。
大阪府警備業協会
大阪府警備業協会(池田博之会長)は、コロナ禍の2020年を除いて、第1回から毎年出展を続けている。
今年も協会職員や青年部(阪本健太郎部会長=フォールズ)、女性部会「ひまわり会」(若林勝美部会長=ブラザーメンテナンス)らが、警備業のアピールと協会活動の紹介を行う。
今年は来場者に向けて、防災グッズの配布を予定している。その内容は(1)簡易トイレ(2)エマージェンシーシート(防寒用ブランケット)(3)ウレタン製コップ――の3点で、約3000セットを用意している。
防災グッズのほかに、大阪警協と大阪府警察の連名による特殊詐欺犯罪への注意喚起を呼び掛けるチラシも配布する。
大阪警協マスコットキャラクターで広報活動用に製作した着ぐるみ「大阪まもる君」が、昨年に引き続き登場。今年は新たに「大阪まもりちゃん」も登場する。ペアでブースを明るく盛り上げる。
ブース内では安全活動協力隊が参加した防災訓練や、社会貢献活動の様子などをパネルで紹介する。
大阪府防犯設備協会
大阪府防犯設備協会(平野富義理事長)は、ブース内に無料の「防犯相談コーナー」を設置する。日ごろから犯罪の傾向や手口を研究し防犯に取り組む日本防犯設備協会(廣田耕一代表理事)の認定資格者「防犯設備士」が常駐。建物の防犯対策や防犯診断、防犯設備など導入のアドバイスを行う。
ほかに協会会員2社が自社で扱う防犯製品をブース内に展示する。
AIセキュリティ(東京都新宿区、樫野晴信社長)は、画像解析AIで不審者の検知、威嚇を行う次世代防犯カメラ「Luccs(ルシックス)」を紹介。あらかじめ顔画像の情報をリストに登録することで不審者のみを検知する。エリア内に侵入した不審者への威嚇・警告は白色LEDや赤白色フラッシュの点灯で行う。
大和ES(大阪府豊中市、澤村栄一代表取締役)は、映像配信型店舗非常通報システム「ビッグジニィ」を展示。強盗犯罪者の侵入など緊急事態発生時、リモコン操作で来店客と従業員のほか、店外の通行人にも状況を知らせる。店内は防犯警告灯が点灯・回転しスピーカーから警告音が出る。店外の透過性LEDビジョンは通常BGV(自然動画などの癒し映像)だが、防犯カメラ映像に自動的に切り替わる。映像を見た通行人は店内の異状事態を認識し、110番通報を行う。
ケルク電子システム
街頭防犯カメラの開発・製造・販売を行うケルク電子システム(京都市、仲良二・仲峰由共同代表)は、LTE通信・無線LAN搭載の遠隔故障監視システム街頭防犯カメラ「IG―KDC550DWLシリーズ」を展示する。
従来のスタンドアローン(自律式)街頭防犯カメラは、機器の故障について、定期点検や現場対応時にしか認知できなかった。「IG―KDC550DWLシリーズ」は、携帯電話の通信規格・LTE通信網を利用してカメラのライブ映像や録画映像をどこの場所からでも確認できる。
画像のダウンロードも、LTE通信を通じて遠隔地から可能だ。録画映像は強固な暗号化により記録されることから、セキュリティー対策も万全だ。
カメラ部のハウジングは「IP67」準拠、ボックス部は「IPX5」準拠と防水・防塵規格に適応しており、屋外の設置が可能だ。常時モニター監視する必要がなく、不測の事態が起きた際に映像確認することで効率化を図る。
使用用途としては特に、街頭や駐車場内の防犯、不法投棄の監視などに適する。
ニチボウ
防災設備の開発・設計・施工・メンテナンスを行うニチボウ(東京都品川区、杉山裕之代表取締役)は、自動火災報知訓練機器や訓練用マネキン人形を展示する。
「自動火災報知設備訓練機器・非常放送機器(コンパクトタイプ)」は、必要な防災設備を小型ボックスに収め、保管時にスペースをとらない。屋内消火栓操法大会などで使用できるよう、屋内外問わず移動可能なキャスター付き。自動火災報知設備訓練機器と非常放送機器の2つのボックスはコード1本で連動し、さまざまな訓練や試験ができる。警報時の初期対応訓練、通話試験、受信機・発信機の鳴動訓練、非常放送の一斉鳴動・区分鳴動などが可能だ。
救助訓練用マネキン人形は「救児くん」という名称で、災害・事故を想定した救助・救出訓練に使用する。関節11か所が可動して人体に近い動きができ、強度の樹脂製のため壊れにくい。高さ170センチメートル、重さ60キログラム。子供サイズのマネキン人形もある。
展示ブース内では、自動火災報知設備の仕組みについての説明も行う。
セミナーのテーマは多彩
展示会場内にある4つの特設ステージでは、3日間で合計46の専門セミナーやパネルディスカッション、基調講演が予定されている。犯罪・災害対策から事業継続、熱中症対策など多彩なテーマで行われる(受講無料)。警備業に関連が深い内容のセミナー4件を紹介する。
4月16日は、大阪府防犯設備協会・平野富義理事長の「過去の重要犯罪の分析と対策〜総合防犯設備士からの提言〜」(午前10時30分〜11時30分)。
同17日は、京都大学防災研究所・川池健司教授「最近の豪雨災害から学ぶ〜水害に備えるための正しい知識〜」(午前11時〜12時)。
同18日は、兵庫県警察本部・井上聡子参事による「兵庫県警察学校はいかにして重症熱中症を減らすことができたのか〜熱中症死ゼロへの道〜」(午後2時30分〜3時30分)、京都橘大学工学部情報工学科・松原仁教授の「生成AIとセキュリティ 生成AIを使うときに何に気をつければいいか」(午後1時10分〜2時10分)。