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クローズUP

新会長に長谷川氏2025.06.01

福井警協 結束強化

2期4年務めた田﨑真弓会長(高草木警備保障)が退任し副会長に、長谷川朋弘理事(第一警備保障)が新会長に就任した。

田﨑前会長は「警備業は社会に安全・安心を提供する生活安全産業として確固たる地位を築くまでになりました。北陸新幹線が敦賀まで開業した現在、多くのイベント警備や犯罪の抑止活動で、警備業への県民の期待はより一層高まっています」とあいさつした。

長谷川新会長は「福井警協を一層魅力ある協会にしていきたいと考えています。会員同士の結束を強化する活動を推進するべく、力を尽くしてまいります」と抱負を述べるとともに、協力を呼び掛けた。

サングラス着用ガイドライン2025.06.01

全警協が策定

全国警備業協会(村井豪会長)は「警備業務におけるサングラス着用ガイドライン」を策定した。

猛暑日が年々増加し紫外線が人体に及ぼす影響が懸念される中で、警備員の目を保護し、太陽光を遮ることで視認性を確保し、安全で効果的な警備業の遂行を目的に定めた。4月28日に都道府県警協に通知し、全警協サイトで公開している。

ガイドラインによれば、サングラスの色はレンズ、フレームとも黒色系、茶色、それに近い色調で、紫外線から目を保護する機能を有するもの。形状は「警備員としての品位を損なわない実用的なもの」とし、派手な色や大きなロゴ、反射性の高いミラーレンズタイプ、威圧感や不安を抱かれる奇抜なデザインのものは着用しないと定める。

着用の基準は、昼間の屋外での警備業務に従事する(車両乗車中を含む)時に限り着用するが、屋内であっても直射日光が差し込む場所などでは着用することができる。夏季に限定せず、他の季節も必要に応じて着用できるとしている。

留意事項として「警備業者からユーザーに対してサングラス着用の必要性を十分に説明したり、またはホームページ等で告知したりするなど、事前に了承を得られるように努めること」などを呼び掛けている。

五輪警備で推奨

2021年開催の東京五輪では、大会組織委員会が「警備員の目の健康管理」として警備員にサングラスの着用を推奨していた。

近年は複数の警備会社がサングラスを導入。日本綜合警備(東京都立川市、対馬一社長)は今年1月から導入した。警備員が紫外線から目を保護し、交通誘導で視認性を確保するため着用する場合がある旨を自社サイトで説明、使用するサングラスの画像も掲載して周知を図っている。

大阪警協「ひまわり会」2025.06.01

石川警協と意見交換

大阪府警備業協会の女性部会「ひまわり会」(若林勝美部会長=ブラザーメンテナンス)は4月14日、石川県警備業協会事務局を訪問し、「災害発生時に向けた警備業者の備え」をテーマに意見交換会を行った。若林部会長、中川奈己副部会長(グローバルサービス保障)ら5人が参加した。

石川警協から上田紘詩会長と北原泉副会長(アクロス警備保障)、川原正明専務理事が出席。震災発生後の社員安否確認、事業継続などについて会員各社の事例を報告した。避難所における女性警備員の必要性、被災者に寄り添う警備員の役割、連絡手段としてSNSの重要性、平時における地域の建設業との連携などの意識を共有した。

翌15日は被災地を視察、甚大な被害に遭ったアクロス警備保障(七尾市)の事務所を訪問した。

若林部会長の話 能登半島地震から1年以上が経ち、災害対応についてさまざまな話を伺いたく、意見交換させていただきました。

東京警協「すみれ会」2025.06.01

特別講習講師を招き勉強会

東京都警備業協会女性部会「すみれ会」(黑田奈苗部会長=パシフィック警備)は5月19日、協会内で勉強会、定例会議を開催した。勉強会では、東京警協の施設種別主任講師・金城雅仁氏(第一総合警備保障)が講師を務め、実務に即した講義を行った。

同部会では積極的な学びの機会として、7月に警視庁組織犯罪対策部の担当官を招き、女性経営者・管理職向けの「反社会勢力の実態と対応」をテーマとした勉強会を予定。10月18日に東京・二子玉川で開催される警備業のPRイベント「Tokyo Security Festival2025」では、警備服を着た子どもたちの撮影会「なりきりキッズ」のブースを出展する計画も進める。

島根警協 県と災害協定を再締結2025.06.01

「適正価格を基準」盛り込む

島根県警備業協会(吉岡健二郎会長)は3月7日、島根県(丸山達也知事)と「災害時における地域安全の確保等に係る警備業務の実施に関する協定」を、県・県警察本部と「同・細目」を、それぞれ再締結した。

新たに協定に明記された警備業務は(1)災害時における緊急交通路確保のための交通誘導警備(2)避難所等における犯罪防止のための警戒活動を行う施設警備業務(3)その他、島根県が必要と認める業務。このうち(3)では「支援物資保管場所等の警備」「災害ゴミ集積地の交通誘導業務」が想定されている。

県の要請を受けて協会が調整を行い会員事業者が業務を実施する。業務の費用は県が負担し「役務の提供を受ける直前の適正価格を基準とする」ことも盛り込まれた。適正価格は、細目の中で「公共工事設計労務単価と積算要領、被災地の特殊事情によって生じる必要経費を計上した受託警備業者の見積りによって算出する」と明記された。

協会と県は1997年に協定を結んでいたが、全国警備業協会が作成した協定案(ひな型)を使用して協議を行い、再締結に至った。

5月1日に開かれた県との懇談会に、丸山知事はじめ県関係者、協会から吉岡会長、後長利春副会長(企業警備保障)、幡宏明副会長(北陽警備保障)、木島亨専務理事が出席した。

吉岡会長は「一層の社会的使命を果たせるよう活動し、会員の対応能力向上や危機管理意識の醸成に努めていく」と述べた。

特集ワイド 給与前払いサービス2025.06.01

人材獲得強化と定着率向上

「給与前払いサービス」を導入する警備会社が増えている。従業員は給与の一部を給料日より前の好きなタイミングで自由に受け取ることができる。GMOペイメントゲートウェイ(東京都渋谷区、相浦一成社長)の「即給 byGMO(そっきゅう ばいじーえむおー)」は、大手企業を含む約8000社が導入している給与前払いサービスだ。導入するメリットや、事例などを紹介する。

「即給 byGMO」について、GMOペイメントゲートウェイの企業価値創造戦略統括本部給与Fintech事業部・根本浩史部長に話を聞いた。

根本部長は「給与前払いサービスを導入することは、企業の経営課題の解決につながる」と話す。具体的には次の3点のメリットがあるという。

まず「人材獲得力の強化」。警備業は慢性的な人手不足が業界最大の課題となっている。柔軟な給与支払い制度は、人材獲得率の向上につながる。

2点目として「福利厚生の充実」が挙げられる。従業員は病気・けがや冠婚葬祭、レジャーなど、急な出費に対処することが可能になる。

3点目は「企業コンプライアンスの強化」だ。個人の前払い利用実績を元に従業員の経済状況が可視化できる。柔軟な給与支払いは経済的困窮から起こる不祥事の可能性を回避できる環境を作る。

「即給 byGMO」は、国内シェア1位の決済代行会社であるGMOペイメントゲートウェイが、メガバンクの三井住友銀行と提携して提供するサービスだ。導入社数は、直近の3年で8倍に急増している。

給与の前払いは労働基準法で認められている。警備業界では古くから散見され、給料日前に支給することへのマイナスイメージもあったが、近年では働き手にとって一般的な制度となっている。人材獲得強化と定着率向上に効果的で、働き手に寄り添った柔軟な経営手法である。同サービスの警備業での活用状況について、根本部長はこう話す。

「1号警備・2号警備を主業務とする3000人規模の警備会社で、月に従業員940人が平均6回、11万円を前払い申請している事例があります。『即給 byGMO』の従業員一人あたりの利用回数は全業種の平均で月3回ぐらいです。しかし警備業の場合、他の業種と比較して使用回数が多いです。それだけ給与前払いサービスのニーズが高い業種といえます」。

警備会社では大手・中堅規模の企業を含め、給与前払いサービスの利用が広がっている。中でも「即給 byGMO」の導入が増えている背景として次の理由がある。

▽警備員から給与前払いの要望が多く、警備会社にとっても導入が容易なため。

▽これまで現金手渡しで行っていた給与前払いをシステム化できる。

▽他社の給与前払いサービスから導入社数1位のサービスへ切り替えたい。

最近では「大阪・関西万博」に向けた採用力強化のため、開催期間に限定して「即給 byGMO」を導入した事例もあるという。

導入費用は無料

「即給 byGMO」を導入の手順は次の通り。

企業はまずシステムに従業員の銀行口座などの情報を登録する。次に従業員ごとの利用可能額の登録を行う。各従業員の勤怠実績をシステムにアップロードすることで利用可能額が算出される。特定の勤怠システムを使用している場合は手間と時間を大幅に削減することが可能だ。これで従業員はスマートフォンの画面で利用可能額を確認できるようになる。従業員は利用可能額の範囲内で金額を申請すると、銀行口座で即時受け取ることができる。本来の給料日には、前払い実績分を差し引いた金額を振り込む運用となる。

前払い資金の準備としては(1)デポジット型(2)立替型――の2タイプがある。「デポジット型」は、事前資金として三井住友銀行の企業口座に資金を準備する。「立替型」は事前資金は不要で、GMOペイメントゲートウェイが立て替える。

導入費用はどちらのタイプも無料で、月額費用が企業規模や拠点数などにかかわらず、一企業あたり1万円のみ。加えて企業には、従業員のサービス利用料として1回あたり数百円が掛かる(全て税別)。

GMOペイメントゲートウェイでは、2025年6月1日から9月30日までに「即給 byGMO」について問い合わせをした場合、月額利用料1万円が6か月間無料となるキャンペーンを行っている。

▽問い合わせ先 GMOペイメントゲートウェイ 担当・長島氏 ☎080―8837―0910

勤怠実績反映し、工数削減

「即給 byGMO」を利用する際、通常は従業員の勤怠実績データを勤怠システムからExcelでダウンロードし、CSV(テキスト)データに変換してアップロードする作業が必要となる。このほど「即給 byGMO」がKYODOU(東京都千代田区、澤橋秀行代表取締役)と、ジャガーノート(東京都渋谷区、平井智仁代表取締役CEO)の2社の管制システムとAPI連携(ソフトウエアやアプリケーションの機能共有)したことにより、両社の管制システムのユーザーは、画面上のワンクリックのみで勤怠実績データを「即給 byGMO」に反映できるようになった。

KYODOUの「ShiftMAX(シフトマックス)」は2024年4月、「即給 byGMO」とAPI連携を実現。ShiftMAXユーザーは勤怠管理画面から直接、給与前払い処理を行うことが可能となった。業務効率化により作業者の工数削減が実現し、入力ミスや送信忘れを防ぐことができる。

澤橋代表取締役は「『ShiftMAX』のリアルタイムな勤怠集計機能と『即給 byGMO』の即時給与前払い機能を連携させることにより、企業の負担軽減と安全確実なサービス提供を実現できると考えました」と経緯を話す。

ジャガーノートの「KOMAINU(コマイヌ)」とは、25年5月にAPI連携を開始した。ユーザーは手動でのCSVアップロード作業が不要となり、作業工数削減とヒューマンエラー防止の効果がある。従業員側でも、前払い金額の申請から受け取りまでの時間を短縮できるメリットがある。

ジャガーノートの柴平有都・取締役副社長CTO(ITコンサルタント)は「今後は『KOMAINU』の給与計算機能と『即給 byGMO』との連携をさらに深めていく予定です。具体的には『即給 byGMO』で前払いされた金額の実績データを『KOMAINU』側に自動で取り込み、月次の給与計算時に自動で控除する仕組みを考えています。これにより前払いと給与計算を一元管理でき、経理と労務の処理をさらに効率化できます」と計画を語った。

従業員の75%が月平均13万円利用

1号警備・2号警備を主業務とする警備会社・アイアール(名古屋市、稲垣廉代表取締役)は、2021年の創業時から「日払い」で給与を支給していた。警備員を募集する際に一人でも多くの人材を確保するための就労条件として決めたものだ。

その後、給与前払い機能がある「勤怠システム」を導入し、従業員が自分の希望するタイミングで前払い申請を行うことができるようにした。しかしこの勤怠システムが間もなくサービスを終了することになったため、給与前払いサービスの中で利用者数トップの「即給 byGMO」へのシステム切り替えを検討。23年5月に導入し、稼働をスタートさせた。

同社は「即給 byGMO」と同時期に、ジャガーノートの管制システム「KOMAINU」も導入。「KOMAINU」は「即給 byGMO」と連携可能で、勤務実績データを自動的に給与前払いサービスに反映させることができる。

同社では現在、従業員数約160人のうち約120人と全体の75%が給与前払いサービスを利用しており、ひと月に1200〜1500件ほどの振り込み申請がある。一人あたり平均9回、平均13万円の利用があるという。

バックオフィス業務を幅広く担当する北澤知春総括部長はこう話す。

「当社は創業当初、従業員から申請を受けた前払い希望額を、手作業による振り込みまたは手渡しで行っていました。しかし担当者の作業負担が大きくヒューマンエラーが発生し、手作業のため入金時間にタイムラグが生じることも課題となっていました。『即給 byGMO』を導入してからは入金時のミスがなく効率的になり、複数の申請者に同時に入金できることから課題が解決しました。振り込み作業を行っていた担当者は別の業務に就くことができる状況になっています」。

採用面の効果については「業種や企業規模に関わらず、給与を自由に支払う取り組みが当たり前になってきました。『前払い』というキーワードは求人の効果として、今やランキング上位にあると聞いています。人手不足の状況が続く中で採用の競争力をつけるため、給与の前払いは警備業にとってますます重要な雇用条件になっていくと思います」と語った。