警備保障タイムズ下層イメージ画像

クローズUP

「熱中症対策車両」導入2025.09.11

リライアンス・セキュリティー

リライアンス・セキュリティー(広島市中区、田中敏也社長)は、警備現場を巡回する熱中症対策の車両「リライアンス・クール・ベース」を導入、8月2日から運用を開始した。

同車両は“異次元の熱中症対策”として今夏、屋外で待機や休憩を行っている警備現場を2人体制で巡回、うち1人は交代要員として警備員が休息している間に現場の業務を担当する。

軽トラックに移動式オフィスを搭載したレンタルの車両で、次のような特長がある。▽高性能エアコンによる冷却で深部体温の急速な低下が可能▽AED、皮膚を通して動脈血酸素飽和度(Sp02)と脈拍数を測定するパルスオキシメーターを搭載▽応急手当品や熱中症対策キットを常備▽冷却飲料や塩分補給品、冷却グッズ、フェイスタオルなどを自由に利用できる▽香りのアロマディフューザーを設置、プライバシーを確保した快適なリラックス空間で心身ともにリラックスできる――など。

利用した警備員からは「炎天下の勤務中に車内で休めると、体も気持ちも回復できるようになった」「これまで熱中症に不安を感じていたが、クール・ベースがあることで安心して集中できる」などの感想が寄せられている。

同社は、健康経営優良法人「ブライト500」に4年連続で認定を受けるなど、社員の健康増進に取り組んでいる。「今後も社員と社会に信頼される企業として『安全・安心・快適な職場づくり』に挑戦し続けます。健康経営の視点から働きやすい環境整備と人材定着に向けた対策を一層強化し、業界の模範となる安全対策を推進していきます」としている。

茨城警協前会長 島村宏氏が逝去2025.09.11

全警協副会長も歴任

茨城県警備業協会の前会長で、全国警備業協会副会長を務めた島村宏氏(日警取締役会長)が8月22日、死去した。85歳だった。

葬儀は故人の遺志により25日に家族葬で執り行った。喪主は長男の島村明弘さん。9月29日に水戸市内の「ホテル・ザ・ウエストヒルズ・水戸」でお別れ会を開催する。

島村氏は1970年に日警の前身「日本産業警備保障」を設立。県内有数の警備会社に育て上げた。

警備業界の発展にも尽力した。茨城県警備業協会では約37年間にわたり理事など役員を務め、うち25年間を会長として県協会の舵取りを担った。2015年の「関東・東北豪雨」では、常総市内で発生した大規模水害に対し、県からの委託に加え、協会独自でパトロール隊を編成、昼夜にわたる警戒活動を指揮した。

関東地区警備業協会連合会では2010年から24年まで会長を、全警協では08年から理事、12年から24年まで副会長を、それぞれ務めた。関東地区連では、2022年に全国初の「地区連青年部会」を発足させ、地区連単位の青年部会活動をリードした。

2005年「全警協会長表彰」、08年「警察庁長官・全警協会長連名表彰」を受賞。10年には春の叙勲で「旭日双光章」を県内警備業関係者として初めて受章した。

特集ワイド 警備会社の災害訓練2025.09.11

火災・水害の発生に備える

テイケイ(東京都新宿区、影山嘉昭代表取締役)は今年3月、火災や水害発生の被害に備える「大規模災害対策訓練」を行った。同月には徒歩で現場に向かう訓練や、警察官と連携を想定した交通規制の訓練も実施した。首都直下地震を想定し同社グループが数年ごとに行っている5000人規模の「震災対策訓練(スーパーフォローアップ)」や大規模災害時の出動実績も紹介する。

テイケイは「何事もない明日をつくる」のスローガンを掲げ、日々の警備業務に取り組んでいる。同社で広報業務を担当する大部公彦次長と、災害対策訓練を統轄する施設警備事業部・伊藤健一部長代理に、災害訓練について話を聞いた。

「第12回大規模災害対策訓練」は2025年3月11日、「負傷者の救護と火災発生時の消火活動」をテーマに、同社臨海基地(東京都江東区)内で行われた。同訓練は、有事に備えるためテイケイが取得を推奨する「防災士」(日本防災士機構の民間資格)の資格取得者を対象に12年に開いた技能競技大会が前身。

今年は次の訓練を行った。

▽火災発生を想定し消火器と屋内消火栓、クイックスプラッシャー(火災抑制剤を短時間・広範囲に噴射する装置)を使った初期消火訓練。

▽ドローンを活用し倒壊現場内で要救助者の捜索を行う訓練。

▽倒壊現場での人による救助活動と、ロボット(SEQSENSE社製)による立ち入り制限を連携させた救護訓練。

▽止水板を使い建物内への浸水を防ぐ水防訓練。

▽ARゴーグルを装着した冠水状況での水難救助訓練(ARは「現実世界にデジタル情報を組み合わせる技術」で、擬似的に冠水した状況を体験する)。

近年、夏季を中心に集中豪雨や台風による水害被害も増えていることから、過去には次のような特殊な訓練も行ってきた。

▽風速30メートルの暴風雨を体験(映画の撮影で使う機材を使用する)。

▽市街地が冠水した際に水深によって扉を開ける力がどのぐらい必要か体験する訓練。

▽集中豪雨や台風による水害を想定し、仮設プールの水を泥水のように着色して水没した市街地での歩行の疑似体験。

3訓練に565人参加

テイケイは「大規模災害対策訓練」のほか、3月に2つの災害訓練を行った。参加者は3訓練合わせて565人。

「被災現場の復旧」をテーマとした訓練は3月16日、同社物流技能センター(東京都大田区)内で行われた。

訓練は「歩行訓練」に始まる。大規模な震災が起こった際には交通インフラがまひする可能性が高く、徒歩で現場へ向かう必要がある。歩行訓練は、自宅から現場までの距離を10キロと想定し、災害時に必要な物資・食料を背負い、グループで歩く。同社はこの訓練を2006年から毎年行っており、雨や雪などの悪天候でも決行。途中で本部よりルート変更の指示があり、参加者は体力とともに精神力も養われる。

訓練会場に到着後は、被災した会場を物流倉庫内と想定し、震災で崩れた荷物を復旧する訓練を行った。

もう一つの訓練は「警察官と連携を想定した被災道路での交通規制」がテーマの訓練で、3月16日と同23日、臨海基地を会場に行われた。

被災地で信号機が止まり倒壊物や路面損傷により車両の円滑な走行が難しくなった状況を想定。警察官と連携しながら緊急車両や作業車両の交通誘導、一般車両などの交通規制に関する訓練を行った。

訓練は「人財」づくりの一環

伊藤部長代理は「当社の災害対策訓練は通常の警備業務を継続させながら行っているもので、訓練実施日に非番の者が参加しています。できるだけ初参加の隊員を参加させるようにして、全体の練度向上を図っています。訓練を一度でも経験すると実際の災害時に落ち着いて行動できる割合が大幅に高まります。訓練内容は毎回少しずつ変えていて、複数回参加している隊員でも新たな学びがあります。技術の進歩と共に訓練内容は変わりますが、専門性が高くならず日常に落とし込むことが肝要です」と話す。

大部次長は「当社は創業時から一貫して教育訓練、人への投資に重点を置いています。企業の財産は『人財』であり、それがお客さまからの信頼に直結します。力を入れている災害対策訓練も人財づくりの一環なのです」と語った。