警備保障タイムズ下層イメージ画像

クローズUP

63円増の平均1118円2025.08.21

最低賃金 25年度「目安」決定

厚生労働相の諮問機関「中央最低賃金審議会」は8月4日、2025年度の「地域別最低賃金」の改定(引き上げ)の目安を決定した。目安は都道府県の経済情勢に応じて63円と64円の2種類を明示。目安通りに引き上げられた場合の全国加重平均の最賃額は1118円となり、全ての都道府県で初めて1000円を上回る。

中央審議会が示した目安通りに全国で引き上げられた場合、新たな地域別最低賃金(最賃)は全国加重平均で1118円となる。現行の目安制度が始まった1978年以降の最高額で、上昇額は12円増の63円(6.0%)だ(24年度は51円、5.1%増)。

都道府県別の最賃額は、最高額が東京の1226円。次いで神奈川1225円、大阪1177円、埼玉1141円の順。最低額は秋田の1015円。次いで岩手、高知、熊本、宮崎、沖縄の1016円。全ての都道府県で1000円を上回る。

目安は例年、経済情勢によりA(東京都や愛知県、大阪府など6都府県)、B(北海道や京都府、福岡県など28道府県)、C(青森県や沖縄県など13県)の3ランクに分けて明示される。過去最大の引き上げが行われた24年度は、目安で全国一律50円の引き上げが行われた。

今回はA・B63円、C64円と2種類の目安が明示。消費者物価指数の対前年上昇率が4.1%と、A(同3.8%)・B(同3.9%)に比べ高かった東北や九州・沖縄のCが初めてA・Bを上回った。

新たな最賃は今後、都道府県労働局の「地方最低賃金審議会」での審議を経て決定。今秋10月にも全国で適用される見込みだ。

解説

政府は「2020年代に全国平均1500円達成へ向け最大限の取り組みを5年間で集中的に実施する」を目標に掲げる。鰐淵洋子厚労副大臣は、初回審議会で労使双方の委員に6月の政府閣議決定▽「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針)」▽「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025年改訂版」――の配意を要請した。

しかし、労使、特に使用者側の反対は強く意見はまとまらず、最終的に公益委員の見解を福岡資麿厚労相に答申した。

最賃の政府目標達成のためには年平均7%超の引き上げが必要。次年度以降も大幅な引き上げが予想される。企業には、さらなる生産性向上や価格転嫁が求められる。答申でも地方や中小企業・小規模事業者対策として、官公需対応や価格転嫁対策の徹底、助成金拡充を政府に強く求めており、これらの各種支援策の活用も不可欠だ。