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クローズUP

京都「祇園祭」安全守る2025.09.01

関西連合警備業協同組合、AI雑踏検知システム活用

全国各地で最高気温の記録更新が相次ぐ“経験したことのない猛暑”に見舞われた今夏。さまざまな伝統行事や各種イベントが開かれ、警備員は安全確保に努めた。7月1日から1か月間にわたり行われた京都の「祇園祭」では、関西連合警備業協同組合(京都市、藤野祐司理事長、58社)の組合員による警備チームが中心となり、延べ1000人以上の警備員が警察官と連携して安全安心を守った。

同組合は前祭さきまつり後祭あとまつりの山鉾巡業、宵山などの警備で、警察の要望を受け昨年から熱中症対策のため活用した民間救急会社の「患者搬送車」を今年も配置、救急救命士を増員した。

大阪・関西万博の開催に伴う観光客の増加を踏まえ、英語を通訳するスタッフを複数名配置。各社の警備員は「English OK!」の腕章を付け、通訳と連携して外国人観光客に対応した。

にぎわう四条通の警備では、組合員企業のコトナ(京都市、大島伸二社長)がAI雑踏検知システムを活用した。

同システムは、エリア内に設置したAIカメラが歩行者の人数や流動方向、群衆密度を検知。密度が急上昇する地点があると警備員が装着しているウェアラブル端末に情報が送られる。警備員が急行し、混雑による事故やトラブルを未然に防ぐ仕組みだ。

AIカメラは歩行者の「通行量」を時間帯ごとにカウントできる。昨年の警備で同社は2か所にカメラを設置、データを計測した。その結果を元に、特に混雑した時間帯や場所を分析した上で今回、重点的に警備を行った。今年は、同カメラの設置を4か所に拡大。計測したデータは来年度の警備計画に役立てることができる。

また、昨年よりもサイズの大きな「LED掲示板」を使用した。「一方通行 One―way ONLY」など日本語と英語、アニメーションも交えて案内し、迂回路も表示して混雑の緩和につなげた。

車両の進入規制では、新たに「LEDデジタル文字シート」を活用。軽量のマグネット式で、カーブミラーに貼り付けて「通り抜け不可」などと表示した。

同組合の広報担当・大島史朗理事(コトナ)は「人的警備とAIシステム、資機材が融合した新しいスタイルの雑踏警備を実践しました。今後も警備員教育の充実と技術の活用によって警備のレベルを一層高めていきたい」と述べた。

全警協、「ふじの」でドローン講習 9月から2025.09.01

運用の知識、技術を習得

全国警備業協会(村井豪会長)は、9月から「二等無人航空機操縦士講習」(ドローン講習)を研修センターふじの(神奈川県相模原市)で開催する。

主催は国土交通省登録機関の「デジタルハリウッドロボティクスアカデミー」。ドローンビジネスの実務において担当者・パイロットに求められる運用上の知識や安全な利活用を実現する技術(整備、点検、操縦)の習得を目的としている。

ドローン技術の活用は近年、空撮、測量、農業、検査、物流などに広がっている。全警協は「ドローンビジネスが急速に成長しつつある中、社会の安全・安心に対するニーズの高まりを受けて警備業界においてもドローンを活用したセキュリティー・ビジネスの期待は高まっている」としている。

全警協が5月16日に開催したウェブセミナー「警備業でのドローン活用の実際と制度動向」には300人超の加盟員が参加。アンケートでは聴講者の7割から「将来はドローンを活用したい」との意見が寄せられていた。

全警協ホームページの「お知らせ」に講習の概要、「FUJINO(ふじの)ドローンキャンパス」案内パンフレットが掲載され、ダウンロードできる。

緑十字賞 警備業から2人2025.09.01

9月10日に大阪で表彰式

中央労働災害防止協会は、「緑十字賞」の2025年度の受賞者を発表した。警備業からは、實川利光さん(68、アルク=東京都新宿区)と佐藤浩さん(67、南日本警備保障=沖縄市)が選ばれた。

緑十字賞は、産業安全や労働衛生の推進に尽力し、顕著な功績があった個人・職域グループを表彰するもの。25年度は82人・2グループが選ばれた。

實川さんは「一緒に頑張ってきた仲間といただいた賞」、佐藤さんは「沖縄県の代表として光栄に思っている」と話した。

表彰式は9月10日、大阪市内で開催される「第84回全国産業安全衛生大会」(主催=中災防)の総合集会で行われる。全国警備業協会から労務委員会のメンバーが参加する。

特集ワイド 地域社会に「企業PR」2025.09.01

警備会社の「企業PR」活動は、知名度をより高めて人材確保や顧客開拓につながる効果が期待されるものだ。PRは、インターネットを通じた情報発信にとどまらず、さまざまな手法がある。5メートル超の大型看板、ネーミングライツ(施設命名権)契約、路線バスの車体広告、地元テレビ局のCM、それぞれ「地域社会」の人々にアピールを図る企業の取り組みを紹介する。

タテ5.4メートルの「大型看板」 俳優・植木祥平さん起用

セキュリティロード

セキュリティロード(宮崎市、齊藤慎介代表取締役社長兼グループCEO)は、俳優を起用した看板を宮崎市、延岡市など宮崎県内4市町と鹿児島市内などに4月から設置している。

看板に登場するのは、NHK大河ドラマや映画、舞台で幅広く活躍している俳優の植木祥平さん。警備服を着用し「地域社会に寄り添い、安心して暮らし続けることのできる社会を見据えて現場に立つ警備員」のイメージで制作された。写真やCMを多数手掛ける写真家、映像作家のSHIN ISHIKAWAさんが監修した。サイズは複数あり、最大のものはタテ5.4メートル、ヨコ2.7メートルの大きさだ。

同社の広報担当者は「植木さんが警備服を着た画像は、当社の企業イメージを表現する“キービジュアル”と位置付けています。警備の仕事は“地味、裏方”といった印象がつきものですが、警備の重要性、警備員は社会に貢献する職業であることを知っていただきたいとの思いを込めてアピールしています。旧来の3Kイメージを払拭して“警備員はカッコいい”といった印象を広げることにつながれば」と期待を寄せている。

同社は6月に公式インスタグラムを開設。警備現場の様子や社員の日常、採用情報、SDGsの取り組みなど、多様な情報を発信している。

広報担当者は「SNSを活用した幅の広い発信とともに、地域社会の皆さまに“地域に寄り添っている会社”であることを伝えたいとの思いを込めて看板を設置しています」と述べた。

スポーツセンターに社名を「ネーミング」

第一警備保障

第一警備保障(福岡県北九州市戸畑区、宮原和貴代表取締役社長)は、北九州市立浅生スポーツセンターの愛称を「第一警備スポーツセンター戸畑」と名付けて3年目を迎えた。

同スポーツセンターは戸畑区内に点在していた9つのスポーツ施設を集約して開設した複合施設。北九州市はネーミングライツサポーター(施設命名権者)を2022年に公募した。

これを受け、1966年の創業以来、同区に本社を置く第一警備保障が応募し、審査を経て決定、契約を結んだ。

「地域のさらなる活性化と健康増進に役立つ施設となるよう、地域社会に貢献していきたい」との思いで施設の愛称に社名を冠している。

契約は23年4月から5年間、命名権料は年間165万円(税込)で総額825万円。壁面、入口などに愛称の看板を設置している。夜間は「第一警備スポーツセンター戸畑」の電照看板が光る。

同社は「戸畑区役所の斜め前、バス通りに面した施設で、お客さまや地元の皆さまから『(社名の看板は)目立っているね』などの感想をいただいています。継続することで知名度の向上と浸透につながればと思います」としている。

「ラッピングバス」走る  〝AIと人の警備〟広報

アダムスセキュリティ

アダムスセキュリティ(滋賀県草津市、澤井敬輔代表取締役)は、路線バスの車体を広告に利用する「ラッピングバス」で企業PRに取り組んで5年余りになる。近江鉄道グループのバス2台が、本社のある草津市内、大津市内、彦根市内を走行している。

同社の担当者は「営業先のお客さまから『バスを見ました』などと話題が広がることに加えて、新しく当社に入った社員がご家族から『バスを見たよ。良い会社に入ったね』と言われて“安心材料”にもなっているようです」と述べた。

これまでは「笑顔の警備員」の広告だったが、デザインを一新したバスが9月から走行する。「交通誘導はAI×人のハイブリッド警備の時代へ」の文字と、AI交通誘導システムを手掛ける「KB―eye」のロゴとキャラクターを用い、AIを活用している警備会社であることをアピールしていく。

担当者は「警備のスタイルは変化しつつあるという『時代の流れ』を伝えるデザインにしました」と話している。

色彩豊かなテレビCM 「身近な仕事」アピール

リリーフセキュリティ

リリーフセキュリティ(新潟市中央区、渡邉亜美代表取締役社長)は、地域社会に向けた企業PRの一環として地元テレビ局で2023年からCMを放映している。

今年1月から放映中の最新バージョンでは、警備員が交通誘導警備、雑踏警備、列車見張などの業務に従事している風景を色彩豊かなイラストで紹介。「暮らしに身近な警備の仕事」を幅広くアピールする映像となっている。

同社は「一般の方々には知られていない列車見張の仕事や、神社の境内で家族連れを円滑に誘導している様子などを織り込み、警備員は日常生活のさまざまな場所で安全安心を担う職業であることを分かりやすく伝えようと社内でアイデアを出し合って制作しました」としている。

CMの中で、かつて新潟市内を走っていた路面電車やその駅舎「白山前駅」のような建物を背景に、警備員が交通誘導警備を行うイラストもある。

同社は「新潟の昔懐かしい建造物を描くことで、ご年配の方々にも目を向けてもらい、警備員の仕事に関心を持っていただくきっかけとなればと考えています」としている。

CMはユーチューブで視聴することができる。