クローズUP
石川警協 コンビニ店内大画面で動画放映開始2025.09.21
「お兄さん、警備員しない?」
石川県警備業協会(上田紘詩会長)は、大手コンビニ「ファミリーマート」店舗内に設置された大画面「FamilyMartVision(ファミリーマートビジョン)」で人材確保の広報動画の放映を9月9日から開始した。石川県内164店舗で10月20日まで6週間にわたり、毎日午後6時から午後11時59分までの間に36回、音声とともに流れる。
動画は「正義感篇」「守り篇」の2種類あり、それぞれ15秒間。
「正義感篇」は、路上を歩いてきた若者が突然、誘導灯を持った5人の男女警備員に囲まれて「お兄さん、警備員しない?」などと“スカウト”されるユーモラスな展開だ。
「守り篇」は、サッカーの試合中、ゴールキーパーに男女5人の警備員が駆け寄って「お兄さん、守るの好きでしょ」などとにぎやかに声を掛けて、「石川県警備業協会」のナレーションが入る。制服の警備員に対する親しみを感じさせてアピールするものとなっている。
協会は、人材確保対策の一環として厚生労働省の「働き方改革推進支援助成金・団体推進コース」を活用、動画を制作した。動画撮影は映像制作会社が行い、協会青年部会が協力した。
ファミリーマートビジョンは2024年3月に全国1万店舗に導入され、来店客に向けて映像コンテンツを配信中だ。
協会では「店内を訪れる利用者の方々に見てもらい、警備業への理解と人材の確保につながれば」と期待を寄せている。
厚労省 労災防止対策を強化へ2025.09.21
高年齢者の安全を確保
厚生労働省は労働安全衛生法を改正、高年齢労働者に対する労働災害防止対策を強化する。これまで通達で示していた対策を大臣指針に“格上げ”して取り組みを事業者の「努力義務」とする。9月8日に指針内容を議論する検討会の初会合が東京都千代田区内の同省で開かれた。
高年齢労働者の労災防止対策の強化は、5月に成立・公布された改正労働安全衛生法に新たな条文「第62条の2(高年齢労働者の労働災害防止のための措置)」として新設された。具体的には、高年齢者の特性に配慮した作業環境改善や作業管理など必要な措置を講じることを事業者の努力義務とし、措置内容は厚労大臣が「指針」として公表する。
これまでの対策は、厚労省が2020年に出した、法令上根拠のない通達「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」で「安全衛生管理体制の確立」「職場の環境改善」「高年齢労働者の健康や体力の状況把握とこれに応じた対応」――などの実施が事業者に求められていた。
対策強化に当たり同省は、現行のガイドライン内容を整理した上で安衛法に基づく「指針」に格上げ、指針に示した取り組みを事業者の努力義務にする。
検討会では委員から「諸外国でも高齢者の労災防止対策は確立されていない」「高齢化が急速に進むわが国の取り組みは国際的にも注目される」――など指針見直しに前向きな意見が相次いだ。検討会は年内にも報告書を取りまとめ、これを元に同省は指針を策定・公表。高年齢労働者の労災防止対策に関する改正安衛法を2026年4月1日に施行する。
高齢化の進展により、労働者全体に占める60歳以上の割合は約2割。一方で、休業4日以上の死傷労働災害に占める60歳以上の割合は約3割。警備員の高齢化が加速する警備業においても、高年齢者の労災防止対策の徹底は急務だ。
危機管理産業展 テロ対策特殊装備展2025.09.21
10月1日(水)~3日(金)東京ビッグサイトで
「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2025」と「テロ対策特殊装備展(SEECAT)’25」が10月1日(水)〜3日(金)の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される(主催=東京ビッグサイト、特別協力=東京都)。
危機管理産業展は、災害から犯罪まであらゆるリスクに対処する国内最大級の危機管理総合トレードショーとして21回目の開催となる。今年は354社・団体が出展する。
テロ対策特殊装備展は、警察・消防・自衛隊などの治安関係者や重要インフラ関係者、自治体などに来場を限定するクローズドショー。19回目となる今年は111社・団体が出展を予定している。
危機管理産業展には今年も全国警備業協会(村井豪会長)が出展し、警備業への理解を深める広報活動を行う。
テロ対策特殊装備展にはセントラル警備保障(CSP・新宿区、市川東太郎社長)、セキュリティー(岐阜市、幾田弘文代表取締役)、国際警備(群馬県高崎市、山﨑健社長)の警備会社3社が出展。警備業務の付加価値として各社が扱う資機材やシステムを紹介する。
両展示会とも、専門家が講師を務めるセミナーを特設ステージにて行う。展示会入場・セミナー聴講ともに無料で、PCやスマートフォンからの事前登録制。
特集ワイド
警備業も進めよう メンタルヘルス対策2025.09.21
働く人の約7割が仕事に強い不安やストレスを感じ、これらが原因で精神障害を発症して労災認定された人は過去最多を記録――。職場でのメンタルヘルスをめぐる状況は年々厳しさを増している。10月1日からの「全国労働衛生週間」を前に、警備業でのメンタルヘルス対策のポイントを本紙「職場の健康管理」でお馴染みの大神あゆみ氏(保健師・労働衛生コンサルタント)に聞いた。
――メンタルヘルスの対策には「4つのケア」があります。
従業員のメンタルヘルス不調について、「ちょっと変だな」「これってどうなのかな」と最初に気づくことができるのは、日常的に部下である従業員に仕事の指示を行っている管理監督者です。この管理監督者によるメンタルヘルス対策が厚生労働省の「メンタルヘルス指針」の「ラインによるケア」であり、不調者の早期発見の上で大変有効です。
上司がメンタルヘルス不調を抱える部下を“見出すサイン”として「ケチな飲み屋」サインというものがあります。職場のメンタルヘルスを専門とする産業保健メンタルヘルス研究会代表理事の鈴木安名さんが提唱したもので、ケ=欠勤、チ=遅刻・早退、ナ=泣き言を言う、ノ=能率の低下、ミ=ミス・事故・トラブル、ヤ=辞めたいと言い出す――の語呂合わせです。この中でメンタルヘルス不調の人に最初に現れるサインが「ノ」能率の低下と「ミ」ミス・事故・トラブルです。これは仕事の指示を出している人にしか分かりません。
管理監督者は、このサインを見逃すことなく部下のメンタル面の不調に気づき、その理由を部下に確認します。
確認する際には、単に「最近ミスが多いけど、どうしたの?」と聞くのではなく、メンタルヘルス不調の可能性が高い時に現れるサインとして前述の鈴木氏が提唱する「3つの『い』」(眠れない、食べたくない、だるい・疲れやすい)に従い状況を聞き出します。会話の中に「夜眠れない」などの言葉が出てくれば、メンタルヘルス不調の可能性が高いと言えます。
不調の原因は人によってさまざまであり、仕事量が原因であれば仕事量をセーブする、仕事のやり方を変えるなど対応で改善する場合もあります。しかし、精神的な病気が原因として疑われるようであれば、産業医や保健師などの専門家につなげていくことが必要です。その際に注意しなければならないのは、本人のみを産業医や保健師の下に出向かせるのではなく、管理監督者が同行して会社がメンタルヘルス不調を訴える人に寄り添う姿勢を示し、部下と管理監督者それぞれが困っていることを正しく医師などに伝えることが必要です。
――「メンタルヘルス指針」は事業場に「心の健康づくり計画」の策定を求めています。
小規模な会社の経営者の中には「うちは従業員に目が行き届いてるからメンタルなんか問題ないよ」という人がいます。
しかし、メンタルヘルス指針が求めているのは「(メンタルヘルス不調が)起きたことへの対応」ではなく「起きないようにするための対応」です。そのために、日常的に職場で行うべきことを定めることが、指針が事業場に策定を求めている「心の健康づくり計画」です。
同計画には経営トップによる対策推進に関する方針の表明を盛り込むこととされていますが、自社の実態とかけ離れた方針では“絵に描いた餅”になります。
国が事業場にメンタルヘルス対策を求めている理由は、ストレスは個人のプライベートな要因もありますが、仕事を要因とするものも多くあり、職場のストレス要因を減らすことにより仕事をやりやすくすることにつながるからです。
警備業であれば、「(雑踏警備や交通誘導警備などで)一般の人(第三者)とのトラブルが多い」「夜勤が多い」「従業員の出入りが激しく、常に人が変わって仕事がやりづらい」――などの現状があれば、これらを従業員のメンタルヘルス面での仕事の負荷要因として考え、対策につなげられるのではないでしょうか。仕事とメンタルと分けて考えるのではなく、互いに密接に関係しているものとして捉えることが大事です。
――「ストレスチェック」が50人未満の会社にも義務化されます。
まずは、ストレスチェックの意図を理解し、うまく職場に生かす使い方を考えることが必要です。
ストレスチェックは、働いている一人ひとりが、仕事上のストレス要因や自身のストレス反応などを標準57項目の質問により調べるものです。しかし、「これは『うつ病』のスクリーニングだ」と思っている人も多いようです。
ストレスチェックは、不調者の早期発見ではありません。自身のストレスの状況を自身で把握し、これを職場の環境改善につなげるものです。
また、ストレスチェックによって「高ストレス者」と判断される人もいます。しかし、それらの人が全て精神的な病気という訳ではありません。保健師などとの補足的な面談のみで医療上の措置も就業上の措置も必要ないというケースもあります。