クローズUP
女性活躍全国大会2025.10.01
横浜で11月6日開催
警備業界で活躍する全国の女性が一堂に会し、交流と学びを深める――。「警備業女性活躍全国大会」が11月6日に横浜市中区の神奈川県警親会館で開催される。
主催は神奈川県警備業協会女性部会「ポラリス」(平林尚子部会長=神奈川警備保障)。“警備業に携わる女性同士が語り合い、絆を深めながら未来の警備業の姿を考える場”としてセミナーやワークショップを行う。
都道府県警協の会員であれば女性も男性も参加できる。
セミナー講師には、三井住友信託銀行取締役や横浜市女性と経済アドバイザーなどを歴任し、現在は女性活躍を推進する活動をグローバルで展開する「G20 EMPOWER」日本共同代表を務めるアキレス美知子氏を迎える。専門的な視点から多様な人材が活躍できる社会の実現についての講演を予定している。
平林部会長の話 昨年5月に北海道警協女性部会「木蓮会」が主催した全国大会に参加して、講演を聴講し意見交換を行うなど有意義でした。警備業はまだまだ女性の占める割合が非常に低い中で、各地の女性部会や女性経営者が連携を図ることにより、互いの潜在的な力が引き出される「エンパワーメント」の向上が期待できると思います。女性同士がつながり、支え合うことで警備業の未来をともに創りたい。
【大会概要】<日時>11月6日(木)13時50分〜16時(13時受付開始)<会場>神奈川県警親会館(横浜市中区山下町75―6)<参加費>セミナー・ワークショップは無料、懇親会は1万円<問い合わせ>神奈川県警備業協会 ☎045―225―8825
国交省「標準労務費」2025.10.01
〝素案〟まとまる
国土交通省は9月18日、「労務費に関する基準(標準労務費)」の“素案”を公表した。
労務費に関する基準(標準労務費)は、建設業法の改正によって設けられた新たなルール。今年12月までに施行される。改正法によれば、国交省の中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作成、これを下回る見積もりや契約締結を禁止する。違反した業者は指導・監督、発注者は勧告・公表の対象とする。
労務費基準(標準労務費)の目的は、公共・民間に関わらず、全ての建設工事に従事する警備員や建設技能者の適正賃金の原資となる適正水準の労務費を、全ての請負契約段階で確保して適正な賃金が支払われるようにすること。
素案は、全ての建設職種に共通する基本的な考え方として、適正な水準の労務費を、公共工事設計労務単価(1日8時間当たり)に作業従事見込み者の総労働時間を乗じた額と規定。総労働時間が確定していない契約の見積もり・締結時は、労務単価に歩掛(作業を行う際に必要となる作業手間や作業日数などを数値化した指標)を乗じて導き出した「基準値」を用いる。これを著しく下回る見積もり・契約については、同省の「建設Gメン」が監視、建設業法違反の疑いが確認された場合には指導・監督を行う。公共工事については、公金支出の適切性の観点から、工事費として支払われた労務費が賃金として現場従事者に確実に支払われるよう、入札金額内訳書に労務費などの内訳明示を義務化。落札候補者には「労務費ダンピング調査(仮称)」を実施する。
同省は昨年11月以降、労務費基準(標準労務費)作成へ向け、警備業を含む24職種の団体との意見交換を開始。各業界の実情に応じた「基準値」などについて検討してきた。警備業については現在、同省と全国警備業協会(村井豪会長)が協議を進めているが、警備業務にはなじみの薄い「歩掛」の扱いや、建設業法所管外である警備業に対する建設Gメンの対応などが課題となりそうだ。
セキュリティフェス20252025.10.01
10月18日 二子玉川で
東京都警備業協会(澤本尚志会長)は10月18日の土曜日に「Tokyo Security Festival(東京セキュリティフェスティバル)2025」を開催する。会場は「二子玉川 ライズガレリア」(世田谷区)。
“大人から子供まで「警備の仕事」を身近に感じてもらう”ことを目的としたPRイベントで、協会の青年部会(髙橋克文部会長=高栄警備保障)が企画に携わった。
目玉の一つ、「警備員制服ファッションショー」では、タレントの井口綾子さんが警備員の制服姿でステージに登壇予定。青年部会員もランウェイ(花道)を歩いて警備員の存在感をアピールする。「なりきりキッズ」は、子供たちが警備員の制服を着て写真を撮影できる人気のコーナーだ。「警備業◯×クイズ」では、警備の仕事内容をクイズ形式で楽しく学ぶことができる。
お笑いタレントの「あばれる君」とお笑いコンビ「きしたかの」が登場するライブ、警視庁音楽隊によるミニコンサート、全国地域安全運動・特殊詐欺被害防止キャンペーン、白バイ・パトカーの展示も予定している。
髙橋部会長の話 幅広い世代の方々に警備業に対する認知を広めようと青年部会が活発にアイデアを出し合い、関係各位の協力を得て準備を進めてきました。会場選びでは、大型商業施設の玄関口となる東急線二子玉川駅前であることに加え、会場に天井があるため雨天の場合も全てのプログラムが行えることなどを考慮しました。
特集ワイド 働く人を守ろう2025.10.01
全国産業安全衛生大会
働く人の安全と健康を考える「第84回全国産業安全衛生大会」(主催=中央労働災害防止協会)が9月10日〜12日、大阪市内で開かれた。初日の総合集会では功労者を表彰し、「大会宣言」(別掲)を採択。アバターをテーマにした特別講演が行われた。2、3日目の分科会(10カテゴリー・約220プログラム)では企業の事例発表などが行われ、警備会社で生かせる内容が盛り込まれていた。
「緑十字賞」警備業から2人
産業安全衛生の推進に貢献したとして、今年は82人と2職域グループを表彰した「緑十字賞」。警備業からは、アルク(東京都新宿区)社長の實川利光さん(68)と、南日本警備保障(沖縄市)警備部長の佐藤浩さん(67)が受賞した。
實川さんは東京都警備業協会の交通警備業務部会長を2年務めた後、施設警備業務部会長を8年にわたって務めている。業務によって労働災害の発生状況に違いがみられるなか、それぞれの部会で安全対策を深掘りしてきた。表彰を受け、「経営者の意識を高めること、現場での指導を徹底することを忘れずにやっていきたい」と気持ちを新たにした。
佐藤さんは2011年から、沖縄県警備業協会の労務委員会に所属。長きにわたり委員長を務めている。毎年開催の沖縄警協の安全衛生大会で経営者らに労災防止への協力を呼び掛けてきたほか、現場のパトロールに努めてきた。同賞への警協の推薦や、勤務先の島袋哲安社長の力添えに「感謝しています」と語り、「できることを続けていきたい」と力を込めた。
「アバター普及する」
大阪・関西万博の「いのちの未来パビリオン」をプロデュースした石黒浩さん(大阪大学教授)がアバターをテーマに特別講演を行った。
アバターとはCGキャラクターなど「分身」のことで、オペレーターがアバターを遠隔操作し、対話サービスを提供する。AI機能を付けることもでき、施設警備の受付業務などに導入されている。
石黒さんはアバターの活用について、人手不足を補い、生産性を上げることができると強調。時差を利用して深夜の営業時間に、海外の人に働いてもらうことが可能になることや、直接話すことにプレッシャーを感じる人が働きやすくなることなどを説明した。「アバターは必ず普及し、活用範囲が広がっていく」と述べた。
大会宣言
労働災害は長期的に減少し、昨年の死亡者数は過去最少を記録した。しかし、休業4日以上の死傷災害は第三次産業を中心に増加傾向にあり、昨年は約13万6000人にのぼった。その社会的・経済的損失は膨大なものとなっている。
安心して働ける職場環境を実現することは、全ての働く人、全ての国民の願いである。本大会は最新の情報を共有し、学び、交流する場である。労働災害による犠牲者をこれ以上出さないという決意を新たに、関係者が一丸となって取り組むことを誓う。(要旨)
安全衛生教育分科会
支援行動が効果的
帝塚山学院大学准教授の秋保亮太さんが「安全の現場に求められるリーダーシップ」をテーマに講演を行った。
秋保さんは、リーダーによる3つの行動((1)伝える行動=指摘・注意、(2)認める行動=称賛、(3)支援行動)を紹介。安全に対する現場のモチベーションと3つの行動がどう関係しているかについて調査を行ったとし、結果を報告した。
調査結果によると、モチベーションアップに最も効果があるのは、現場メンバーの活躍や成長をバックアップする「支援行動」。安全上のルール順守や、自発的に改善に取り組むことへつながることがわかった。秋保さんは「リーダーシップの取り方で現場の問題を解決できる」と述べた。伝える行動は一定の効果があり、認める行動は職種によって効果が異なるという。
動画を月4本制作 社員へ「安全周知」
読ませる資料から観せる動画へ――。臨床検査を手掛けるLSIメディエンス(東京都板橋区)は2024年度から、動画を自主制作し、社員への「安全周知」を行っている。
分科会で発表を行った栗原直樹さんによれば、同社は以前、メールマガジンで職場の安全対策を周知していたが、「文章が長い」などを理由にあまり読まれていなかった。そこで、社員アンケートの結果を踏まえ、短い動画で周知を図ることにした。
動画は3分以内で、毎月4本を制作。担当社員が会社支給のスマートフォンで撮影を行い、アプリを使って編集している。出演した社員には「転倒災害」などをオーバーアクションで演じてもらっている。
視聴している社員は全体の7割。メールマガジンの時より大幅に増え、「スキマ時間にみることができる」「今やるべきことがわかった」といった声が寄せられているという。
栗原さんは「安全活動が身近になっていると思う。動画コンテンツのブラッシュアップをしていきたい」と話した。
年上部下を戦力化
人事・戦略コンサルタントの松本利明さんは「年上部下」について講演した。
中高年の社員が役職定年で職位を外れ、やる気を失ってしまうのは当たり前のことと説明した上で、やる気を引き出して戦力化する方法として、無理なく仕事ができる「持ち味」を生かすことをアドバイスした。
また、年上部下を上手に動かすコツについて、メールの追伸に感謝の気持ちを添えることや、指示出しの際に理由をきちんと伝えることを挙げた。
松本さんは「自分も部下も『キャラ』と割り切ると人間関係のストレスが減る」と語った。
メンタルヘルス・健康づくり・健康経営分科会
ストレスチェック「義務拡大」で討論
労働安全衛生法の改正で従業員50人未満の事業場に義務化が拡大されることになった「ストレスチェック」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。北里大学教授の堤明純さんが座長を務め、MOANA土肥産業医事務所代表の土肥誠太郎さん、JR東海健康管理センターの森脇正弘さん、藤沢タクシー社長の根岸茂登美さんがそれぞれパネリストを務めた。
ストレスチェックは、メンタル不調を予防するためのセルフケアや、集団分析による職場環境改善が目的。2015年に、従業員50人以上の事業場に年1回以上の実施が義務付けられた。50人未満への義務化は28年5月までに行われる。
パネルディスカッションで堤さんは、ストレスチェックについて「職場のメンタルヘルス対策をやりやすくするツール」と述べた。その上で「有用性のエビデンスはあるが、十分に活用されていない。好事例の収集・公表が求められている」と課題を挙げた。
土肥さんは50人未満への義務化に当たり、商工団体などが中間組織として役割を担うことが必要だと指摘した。中間組織が各事業場をまとめた上で、ストレスチェックの外部委託先を選定したり、契約手続きを引き受けたりすることを提言した。
森脇さんは、仕事のストレス状態が高かった社内部署での取り組みを紹介。「こうありたい」という姿をワークショップで共有し、ポジティブに話し合いを重ねたことで、ストレスが低減したと述べた。
根岸さんは、不特定多数の乗客や車内搭載機器の多様化などタクシー乗務員のストレス要因を説明し、「できる範囲でストレスチェックを積み重ねてきた」と話した。短・中・長期的に分けて職場環境の改善を図っているという。
腰痛予防の運動指導
厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」を活用した事例も報告された。
中小建設会社の社員約20人に、腰痛予防のための運動指導を行ったダイナミックスポーツ医学研究所(大阪市)が発表。柔軟性向上のストレッチや下肢・体幹トレーニングを指導した結果、体力測定で改善がみられたことを紹介した。
発表者の春名了輔さんは「健康問題での欠勤や生産性の低下を防ぐためには、個人に委ねるのではなく、企業全体の取り組みが重要だ」と述べた。
安全管理活動分科会
大阪発・新4S運動 工事現場にウェブカメラ
大阪労働局が提唱し、趣旨に賛同した企業が取り組んでいる「大阪発・新4S運動」の特別報告が行われた。
新4SのSは「安全」「満足」「輝く」「笑顔」を意味する英単語の頭文字。運動は2023年度に提唱された。
竹中工務店大阪本店(大阪市)総括作業所長の川嶋宏和さんは、校舎建て替え工事での取り組みを報告した。ウェブカメラを活用して施工状況、工事車両の通行状況をリアルタイムでモニタリングしたことや、クールダウンスペースの設置、水回り環境の快適化、施工協力会社と連携した週1回の一斉清掃について紹介した。
川嶋さんは「ほかの現場でも応用可能な知見が得られた」と話した。