クローズUP
増収88社 「安全」ニーズ高まる2025.12.21
売上高調査
本紙は、2025年の警備各社の売上高を独自調査した。上位100社のうち、88社が前年比で増収となり、昨年の83社から5社増えた。
上位30社のうち、27社が昨年に比べ売上高が増加した。上位10社の合計は約9450億円で、昨年(9240億円)より210億円の増加となった。
11社〜100社までの90社の売上高合計は約6244億円にのぼり、昨年(5877億円)に比べ、367億円増加した。
さまざまな業種で価格転嫁の推進が打ち出され、諸物価は高騰。公共工事設計労務単価も建築保全業務労務単価も上昇が続く中、警備料金の引き上げ傾向は、さらに広がりつつある。
近年は匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)による詐欺や強盗、窃盗が社会問題となり「防犯」事業に対する世間の関心は高まっている。交通誘導警備業務には底堅い需要がある。警備業に対するニーズの増加、警備業界の成熟・発展が続いていることがうかがえる調査結果となった。
「警備員警戒中」出発式2025.12.21
石川警協 被災地の犯罪抑止に協力
石川県警備業協会(上田紘詩会長)は12月9日、「被災地における警戒活動」の出発式を開催した。会場は七尾市内のアクロス警備保障(北原泉代表取締役=協会副会長)で、石川県警察本部・竹本邦夫生活安全部長と協会加盟の13社26人の警備員が参加した。
同協会は、能登半島地震の被災地で空き家を狙った窃盗などの事件が発生していることから「犯罪抑止に協力したい」と申し出。新たに「警備員警戒中」と記載したマグネットシートを作成、被災地における警戒活動を実施することになった。
出発式で上田会長は「迅速な復興と作業の安全確保のため警備員は連日、被災地に出向いている。一丸となって復興に取り組む中、被災地での窃盗事件が発生したと報道され、残念でならない。この現状に警備業界の中から『生活安全産業として犯罪の抑止に協力できないものか』との声が上がり、警備員による警戒活動を行うこととなった」と趣旨を説明。その上で「加盟社の皆さまにはそれぞれ業務があるが、時間に余裕ができた時に『警備員警戒中』のマグネットシートを取り付けた車両で巡回し、地域の人々に安全と安心を感じていただければと思う」と述べた。
山崎慶太氏(アクロス警備保障)は「安全宣言」を行い、「警備員の制服姿には犯罪を抑止する効果がある。『警備員警戒中』と表示した車両で地域の警戒にあたれば人々に安心を与えることができる。業界として取り組めば大きな力となり犯罪のない街づくりに貢献できると信じる」と強調した。
マグネットシートを付けた車両は順次、警戒活動に出発した。
警備員の処遇改善に向け2025.12.21
静岡警協 県に「要望書」提出
静岡県警備業協会(池端常雄会長)は12月8日、静岡県(鈴木康友知事)に警備員の処遇や職場環境の改善に関する「要望書」を提出した。
静岡警協では、業務委員会が警備業務の入札に関する最低制限価格制度などの導入について検討していた。全国警備業協会(村井豪会長)が各県協会に、県などの地方公共団体に対する要望活動を促していることを受け、協会は要望書を作成した。
要望書は、6月に政府が閣議決定した「骨太方針」において警備業での賃上げや価格転嫁の促進などが明記されていることに触れた上で「適切な価格転嫁の推進、警備員の処遇改善、労働環境の改善や人材育成、DXの導入による効率化などに努めるために、県をはじめ関係機関の支援は必要不可欠」として、最低制限価格制度導入などについて要望した。主な内容は次のとおり。
<適正な警備業務の推進>(1)県、市町村の入札における低入札価格調査制度や最低制限価格制度導入。適正な最低制限価格の設定。施設警備業務、雑踏警備業務における分離発注の徹底(2)県、市町村の建築物等の警備業務発注者への「建築保全業務労務単価」適用の徹底(3)スライド条項やキャンセルポリシーの契約条項への導入(4)イベント警備、交通誘導警備に際しての適正な警備員配置の指導。
<人材確保対策、職場環境の改善>(1)職場における熱中症対策強化に伴う対応への支援(2)女性警備員が働きやすい職場環境の整備を図るための支援拡充(3)高齢者が働きやすい職場環境の整備(4)カスタマーハラスメント対策への支援。
県庁内で静岡警協・三原浩専務理事が県財務部・大坪政夫参事兼総務課長に要望書を手渡した。
警備業 今年のニュース102025.12.21
2025年は警備業の認知度を高める一年となった。半年間にわたった「大阪・関西万博」では、会場の警備を無事に完遂。おもてなしの心を来場者に届けた。全国警備業協会が力を入れている広報活動では、プロモーション動画が公開され、学習漫画が刊行された。一方で、警備業の課題は依然として多い。全警協と警察庁は官民協議会を立ち上げ、課題解決や将来を見据えた議論を始めた。
「万博」協会警備隊 安全を守り抜く
「大阪・関西万博」が4月13日から10月13日まで開催された。期間中の来場者は2557万8986人。夢洲(大阪市此花区)の会場内の警備業務は「2025年日本国際博覧会協会警備隊」(協会警備隊)が担当した。
同隊は、東洋テック(大阪市浪速区、池田博之社長)を代表企業としてセコム(東京都渋谷区、吉田保幸社長)、シンテイ警備(東京都中央区、安見竜太社長)の3社で構成する警備共同企業体、ALSOK(東京都港区、栢木伊久二社長)により編成された。
各社とパートナー会社の警備員は、会場東西のゲートで手荷物検査などを行う「ゲート警備隊」、大屋根リングをはじめ会場全域で業務を行う「会場警備隊」、「施設警備隊」、「イベント警備隊」の4隊に分かれ、万博会場内の安全安心を守り抜いた。
傷病者への対応では医療従事者と連携して心肺蘇生を行い、救命につなげるなど警備隊は活躍した。「日本の民間警備」に各国からの来場者が触れた。
静かなヒーロー 警備業のひみつ
全国警備業協会の広報プロジェクトチーム(現・戦略広報WG)が制作に携わった「静かなヒーロー」(プロモーション動画)が全警協ホームページで公開された。
主演は俳優の堀部圭亮さん、前原滉さんが務めた。4月に前編、5月に後編が公開され、それぞれ約8分。若手の画家が出会いをきっかけに、美術館の警備員として働くストーリーになっている。
警備の仕事とは当たり前の日常を当たり前のように守ること、警備員とは「守るという表舞台に立つ生き方」であることを伝えている。
広報チームの活動では、出版社の学研と製作した「警備業のひみつ」(学習漫画)が3月に刊行。全国の小学校や図書館、児童館、ハローワークに寄贈された。
A5判より少し大きく、約130ページ。小学5年の男の子と女の子が警備の仕事の「調べ学習」をする物語で、男の子の父親が警備会社に勤務している設定。主人公は現場見学を通じ、「警備の仕事ってかっこいい」と思うようになっていく。
青年・女性部会 連携や交流深め
都道府県警備業協会の青年部活動は、今年も活発に展開した。6月に滋賀警協で、8月に鳥取警協で新たに青年部会が発足した。「警備の日」PRでは各地で青年部会が中心となって企画を実践。警察と連携した街頭での防犯啓発活動や、若者にアピールする警備服ファッションショーなどが行われた。
1月に関東地区連青年部会の総会、10月に北海道・東北地区連の「青年部会サミット」、11月に四国地区連青年部会協議会の香川大会、12月に中部地区連青年部会が合同研修会をそれぞれ開催。地区連単位での連携・交流が深まった一年だった。
一方、女性部会は、全国で7番目となる石川警協「すずらん会」が5月にスタートした。
11月には神奈川警協女性部会「ポラリス」の企画による「警備業女性活躍全国大会」が横浜市内で開かれ、都道府県の女性部会員が交流する機会となった。
「警備の日」イベントでは、青年部会と女性部会、関係者が連携した広報活動も各地で展開された。
DXの取り組み 警備業界で加速
DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化・自動化の取り組みが警備業界で加速した。
管制とバックオフィスを連携させて業務効率化を図るシステムを各社が開発、導入が広がった。日進月歩で追加される多彩な機能とメーカーの手厚いサポートが普及を推進させた要因とみられる。
「大阪・関西万博」ではスマートフォンを使ったコミュニケーションツールが会場警備に採用され、多くの警備会社がその利便性を体感した。
AIの活用も進められている。AI機能を搭載した監視カメラは、人物や車両など対象の属性を判断できるほか、顔認証の精度も向上。行動認識AIで異常行動や不審行動を検知するAI警備システムを施設警備で採用する警備会社が増えた。
片側交互通行などの交通誘導警備業務で、人とAIが互いに補い合う“ハイブリッド警備”も活用が広がり、全国36都道府県で実用化されるまでになっている。
「最賃」過去最高に 平均1121円
最低賃金(時給)の全国加重平均は2025年度改定で過去最高の1121円となった。24年度比66円増(6.3%増)で、上げ幅は過去最大。全国で最賃が1000円を超えた。
25年度改定では多くの地方審議会が、国の目安(全国加重平均63円増)を上回る引き上げを決定。「賃金格差」による人材流出への危機感が反映され、目安超えは39道府県にのぼった。最大は熊本の82円増となった。
都道府県別で最賃の最高は、東京の1226円。最も低いのは高知、宮崎、沖縄の1023円。その差は203円で、24年度から9円縮まった。
「官民協議会」始動 将来見据え議論
全国警備業協会は8月7日、初の「警備業官民協議会」を開いた。業界が抱える諸課題解決と、警備業の将来を見据えた建設的な議論を行うのが目的。全警協が5月に警察庁に設置を要望していた。
初会合で警察庁生活安全局生活安全企画課の阿波拓洋課長は「業界のニーズを踏まえ、制度改正も視野に対応を検討していきたい」と、協議会での議論を通し警備業を支援していく意向を示した。
協議会の構成員は、全警協の専務理事や常務理事などをはじめ、セコムやALSOKなど大手警備会社の役員や経営幹部、全警協の各種委員会・部会の役員を務める都道府県警備業協会の会長や副会長など女性2人を含む全21人。警察庁は、生活安全局生活安全企画課の幹部や警備業担当や警備業法担当など。検討テーマによっては国土交通省などの関係省担当者にも出席を求める。
協議会は年度内に2回程度開催。検討テーマごとに結論を取りまとめて警察庁など関係省庁に必要な対応を要望していく。
熱中症対策を強化 違反事業者に罰則
厚生労働省は6月1日、熱中症予防対策を強化した改正労働安全衛生規則を施行した。
改正の柱は「異常の早期発見」と「重篤化防止」。早期発見は、作業者が熱中症の自覚症状を訴えた時や熱中症を発症した疑いがある人を見つけた時、その旨を報告させるための体制の整備。対象となる作業場所は、屋外・屋内を問わずWBGT値(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の場所。作業場所から他の作業場所への移動なども含まれる。対象作業は、これら作業場所で継続1時間以上または1日当たり4時間超行われる作業。
重篤化防止措置は、熱中症を発症するおそれのある作業を行う際、「作業中止」や「身体冷却」、「医療機関への搬送」などの必要な措置内容や実施手順の事前作成。
事業者には、いずれの措置の策定に加え、事前に掲示や文書配布、朝礼などでの口頭伝達、eメールなどでの周知が義務化された。措置を怠った事業者には「6か月以下の拘禁刑」または「50万円以下の罰金」の罰則が科される。
警備業1万811社 過去最多を更新
警察庁が2024年12月末時点でまとめた「警備業の概況」によると、警備業法第4条に基づく認定業者「4条業者」は前年比137社(1.3%)増の1万811社となり、過去最多を更新した。警備員数100人未満が9753社で全体の90.2%を占めた。
警備業務の1号は6974社、2号は8800社、3号は662社、4号は708社。
交通誘導Aの単価 最高が2万円超え
公共工事に従事する交通誘導警備員の労務単価(日額・8時間労働)は今年度も上昇した。国土交通省が改定し、3月から適用されている単価は全国加重平均で、1級・2級検定合格の「警備員A」が1万7931円、A以外の「警備員B」が1万5752円。前年度比で5.7%上昇し、引き上げ額はAが970円、Bが843円となった。
労務単価を都道府県別でみると、警備員Aは3都県で初めて2万円を超えた。最高は愛知の2万900円、次いで東京、静岡の2万200円。
警備員Bの最高は東京の1万7600円。神奈川の1万7500円、茨城と愛知の1万7200円が続く。
交通誘導警備は主要12職種に含まれる。労務単価の額で警備員Aは11番目、警備員Bは12番目。他職種も単価の引き上げが続き、伸び率に目立った差がないことから、依然として低い水準にある。
カスハラ対策で基本方針を策定
全国警備業協会はカスタマーハラスメント(カスハラ)に対する基本方針を3月に策定した。
カスハラを「施設利用者、通行人、顧客、取引先から従業員に対し、その業務に関して行われる社会通念上相当な範囲を超えた言動で、就業環境を害するもの」と定義。「警備業者はカスハラと判断した場合、警備員をはじめとする従業員の安全確保と人権尊重のため、毅然とした対応を行う。悪質な場合は警察など関係機関と連携の上、厳正に対応する」と明記した。
