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クローズUP

賃上げへ共同メッセージ2026.02.11

東京・政労使会議

春闘が本格化するなか、持続的な賃上げに向けた行政、労働組合、使用者団体による政労使会議が2月2日、東京労働局で開かれた。「取引適正化と生産性向上を推進し、中小企業・小規模事業者の賃上げに向けた環境づくりに一体となって取り組む」とする共同メッセージを発表した。

昨年の春闘での賃上げ率は連合集計で5.25%。34年ぶりの高水準となった。だが、雇用の7割を占める中小企業は4.65%で、業績の改善を伴わない「防衛的賃上げ」が多いという。

同日の会議で神谷政幸厚生労働大臣政務官は「賃上げを持続的なものとし、中小企業に波及させていくことが重要。政府を挙げて支援策を講じる」とあいさつ。小池百合子知事は「東京は日本の成長のエンジンであり、その原動力は人。処遇の向上、生産性の向上が重要になっている」と述べた。その後、行政機関(4機関)が賃上げ支援策、労使団体(5団体)が課題や取り組みを説明した。

使用者団体からは「大企業の経営者には社会的規範として、価格転嫁を受け入れることが求められている。中小企業の稼ぐ力の強化も不可欠」といった意見があり、労働者団体は「格差是正に向けて、中小企業では6%以上の賃上げを掲げている」と目標を示した。

会議後、神谷政務官は報道陣の取材に対し、「政労使が同じ方向を向いて共同メッセージを出したことは意義深い」と語った。

賃上げに向けた政労使会議は都道府県ごとに開かれている。

クマから身を守る対策2026.02.11

福島警協・経営者研修会で講演

福島県警備業協会(前田泰彦会長)が1月20日に福島市内で開催した経営者研修会で「警備業におけるクマ対策について」と題する講演が行われた。

県の野生動物調査専門官で獣医師の溝口俊夫氏は、クマの生態を解説、交通誘導警備などでのクマ対策を説明した。

前田会長は「さまざまな警備現場で野生動物への対応が求められる場面が増えている。地域の安全を守る上で、より広い視野と専門性が必要な時代に入った」と指摘した。

環境省によると2025年度4月〜12月、クマによる人身被害は236人、死者は13人で過去最多。

出没状況、役場で確認を

▽警備業務を行う現場付近のクマ出没状況を最寄りの役場や警察署で確認する。

▽目撃例、足跡、獣道などの情報共有は対策の第一歩。出没を想定した訓練も必要。

▽河川敷のヤブ、その周辺の林はクマが農地や住宅地に侵入する移動ルートとなり注意。

▽動物撃退用のカプサイシンスプレー(唐辛子液)、音の出る鈴やラジオを携行。

▽不意にクマと遭遇した場合、後退りで、ゆっくりと離れる。背中を見せて逃げると、高い確率で追いかけてくる。

▽クマが突進してくる最悪の事態では、首の後ろで指を組み両腕で顔面や頭部をガードし地面に伏せ「防御姿勢」をとる。

▽施設では、窓ガラスに“大きな目玉模様”をセロテープで貼るとクマは嫌がる傾向にある――など。

全警連「警備業政治連盟」に改称2026.02.11

青山理事長「持続可能な業界に」

全国警備業連盟(青山幸恭理事長=ALSOK)は1月29日、東京都千代田区内で臨時総会を開き、団体名称の「全国警備業政治連盟」への変更を決議した。政治活動を行う団体であることを明確にするためで、4月1日に改称する。

都道府県警備業連盟では、4県の連盟が「政治」を使用。36都道府県では今後、名称変更を検討する。

全警連は2019年に発足し、警備業の地位向上を目指して政治活動を行っている。政府が昨年11月に閣議決定した総合経済対策には、全警連や全国警備業協会の働き掛けにより、「省力化投資促進プラン」の対象業種に警備業を追加することが明記。DX(デジタルトランスフォーメーション)で中小警備会社の人手不足を補い、賃上げを図ることを政府が支援する。

臨時総会後の賀詞交歓会であいさつした青山理事長は、労働生産性を5年間で25%向上させることが警備業の同プランで示されたことに触れ、「2030年、40年と持続可能な業界になるようにしたい」と述べた。

賀詞交歓会では自民党参院議員の山谷えり子氏(比例)、浅尾慶一郎氏(神奈川)、朝日健太郎氏(東京)と公明党参院議員の三浦信祐氏(神奈川)が来賓あいさつ。官公需を含めた適正な価格転嫁の実現や警備業法改正などに取り組むと述べた。

特集ワイド 監視カメラ最前線2026.02.11

AIが警備精度向上、作業効率化

警備業で活用する監視カメラの技術は日進月歩だ。その最前線に立つ国内シェア1位のi―PRO(アイプロ・東京都港区、中尾真人代表取締役社長兼CEO)は1月26日、同社開発責任者と報道関係者が参加する「エッジAI技術メディア勉強会」を開いた。警備員の作業負荷を軽減し業務を効率化、警備の精度向上に寄与するAI搭載監視カメラの最新技術や効果などを解説した。

i―PROからは中尾社長兼CEOがオブザーバーの立場で参加し、秋山明寛CPO(最高製品責任者)と野口英男CTO(最高技術責任者)の2人が技術説明を担当した。

AI搭載監視カメラには、カメラ内でAI処理を行った結果をクラウドに送信する「エッジ(先端機器)AI」と、カメラから送信された映像データをクラウドサーバーでAI処理する「クラウドAI」の2タイプある。エッジAIの特徴は次の通り。

▽データをクラウドに送らずカメラ上で即座に処理するためリアルタイム性が高い。

▽個人データをクラウドに送信しないで処理することから、セキュリティーやプライバシー保護に優れている。

▽大量のデータをクラウドに送らないためネットワーク領域の節約や通信費の削減につながる。クラウド利用料が必要なく運用コストがかからない。また、ネットワーク接続が不安定な環境でもAI機能が利用可能。

▽カメラ内でAI処理することでネットワーク配信のためのデータ圧縮前のデータ(RAWデータ)を解析できる。

一方で課題もある。

▽CPUやメモリ(計算資源)が限られるため、複雑なAIモデル(解析プログラム)の実行が難しい。

▽多数のデバイスに分散しているためAIモデルのアップデートや管理が手間になる。

▽バッテリー駆動のデバイスでは特に、AI処理による電力消費が課題となる。

▽デバイスが物理的にアクセス可能な場所にある場合、改ざんや不正アクセスのセキュリティーリスクがある。

クラウドAIについても、データをサーバーに送信して処理するため、通信遅延やプライバシーが懸念。初期費用は低いがAIコスト(通信料やクラウド使用料)が高くなる傾向がある。

それぞれのメリット、デメリットを考えて用途や環境に応じて選定することが重要となる。

例えば、エッジAIは現場での即時判断が求められる分野で有利で、監視カメラや交通制御、自動運転、製造ラインなどに向く。

クラウドAIは、大量データを活用して高度な分析を行う際に有利で、マーケティング調査や予測分析などバッチ(一括)処理に向いている。

i―PROではエッジAIの課題を解決するため、さまざまな取り組みを行っている。計算資源が制限されAI精度が低い課題を解決するため「MLaaS(エムラース)」の採用だ。Machine Learning as a Serviceの略で、エッジAIとクラウドを組み合わせた仕組みのこと。基本的にはカメラでAI処理を行うが、クラウドと連携することでAI精度を向上させる。

各現場においてカメラの画角や明るさなどについてクラウドAIが監視を行い、エッジAIに学習させる。フルエッジAIと比べて通信量は少し増えるが、レスポンスはよく、AI精度はフルクラウドAIとほぼ同等のレベルを実現する。

i―PROはエッジAIのセキュリティーリスク解決のため、暗号・署名技術にも取り組んでいる。MLaaSによるカメラ・クラウド間の通信データを暗号化し、メタデータ(データに関する情報)などは出所を署名する技術を採用している。

i―PROのエッジAIカメラはさまざまな場所・用途に活用されている。大阪・関西万博では「null2(ヌルヌル)」パビリオン内に設置、AIの侵入検知を使って警戒した。トラブルを早期発見し迅速な初動対応を可能にした。

「山梨県北杜市役所」は、観光地の安全対策として導入。危険エリアへの侵入や迷惑行為などをAIが検知してアラームを発信。導入から半年で数件の事故を未然に防いだ。

海外では、モナコの博物館で100台のカメラとAI分析により、混雑検知や人流カウントで来場者管理と効率的な誘導を実現。状態検知で貴重な美術品への接近など異常行動を特定し、文化財保護に貢献している。

i―PRO 画像センシング技術開発68年

i―PROは2019年にパナソニックのセキュリティ事業部が独立して設立。セキュリティーや医療などを目的としたエッジAIカメラの世界的リーディングカンパニーだ。1957年に業務用監視カメラを開発してから68年間にわたり、高品質な画像センシング技術の開発に尽力してきた。

日本をはじめ北米・欧州・アジアなど世界7か国に11拠点を持ち、社員数は約1400人。2025年には従業員が信頼感や公平性、帰属意識を感じる「働きがいがある会社(Great Place To Work)」に全拠点が認定された。

25年5月、映像セキュリティー業界で初めて、AIの活用・利用・運用のリスクを適切に管理するAIマネジメントの国際規格ISO/IEC42001認証を取得。同年10月、佐賀工場(佐賀県鳥栖市)を開設し、日本製AI監視カメラを世界に供給する一貫生産体制を構築した。

24年に天井角に設置するコーナーカメラ、25年に防犯用スピーカーカメラ・監視用ミリ波レーダーと2年連続グッドデザイン賞を受賞した。

警備業務に活用できるテクノロジー

既設カメラのAI化

既に監視カメラを多数設置してネットワークを構成している現場では、AI搭載カメラを1台導入することでAIなしカメラ最大3台分の映像をAI解析できる。ユーザーの「既存の設備を活かしたい」「まずAI解析を試したい」などの要望に応える。

属性を自動判別

監視カメラのエッジAIが映像から「人」「車両」「顔」を瞬時に見分け、性別・年齢・服装・車種・色など細かい属性を瞬時に分析し、サーバーにサムネイル(縮小画像)を送る。属性を入力するだけで必要な映像をすぐに検索できるため、事件やトラブルが発生した場合の対応を効率化する。

現場ごとに追加学習

独自開発の「現場学習アプリ」により、現場ごとにAIを追加学習できる。例えば従来は車両として検出しなかったフォークリフトを検知できるようになる。誤検知や見逃しをフィードバックすることでAIが精度を向上させる。

アプリで課題解決

パートナー企業が開発したアプリを使うことで多彩な機能を活用できる。入退出管理で認証者と入室する不正行為を検出する「共連れ検知」、特定の物体の動きや速さを検出する「物体速度検知」、道路や駐車場の混雑状況を把握する「混雑検知」などが可能。

近い将来、学習したデータをもとに新たに文章や映像などを創り出す「生成AI」がカメラに搭載される時代がくる。AI処理の高速化や、暗い環境でのノイズ削減などによる画質向上、LLM(大規模言語モデル)を使った高度な検知などを実現。転倒や喧嘩などの状態検知も可能になる。

ショールームでAI体験

i―PRO本社にはショールームがあり、全324機種から選んだ主力機器や最新機器、パートナー各社と連携して開発した機器を設置。導入を検討する企業が実機を見たり体感できる。

「メディア勉強会」終了後、事業戦略エリアプロモーションマネージャー坂井明子氏とシニアプロダクトマーケティングスペシャリスト佐久間貴志氏がショールームを案内。AI搭載カメラによる人・車などの属性識別や侵入検知、混雑検知、車両ナンバー認識、人物検索などのデモンストレーションを行った。

業務での活用を検討する警備会社はショールームを見学できる。(予約制)。