クローズUP
警備業の「新3K」2026.02.21
東京警協・施設警備WGが提案
東京都警備業協会(澤本尚志会長)の施設警備業務部会(實川利光部会長=アルク)は2月6日、2025年度報告会を都内で開催した。同部会ワーキンググループ(WG)は「新3Kに向けた警備業のイメージアップを考える」と題するアンケート調査結果を発表。警備業のイメージの「新3K」として「革新・貢献・かっこいい」を提案した。
施設警備業務部会WGは「深刻な人材不足など課題が多い中、魅力ある警備業界に向けて『イメージアップ』は欠かせないキーワードになる」として、同部会に登録の644社を対象にアンケートを実施、170社から回答があった。
若手人材の採用で直面する最大の課題は「他業界との給与・待遇面での競争力不足」が44.0%を占めた。
従来の3K「きつい・危険・汚い」イメージを払拭するため現在取り組んでいること、または取り組む予定は、“きつい”を払拭するための「給与・待遇改善」30.5%、「ハラスメント対策」20.2%、「労働時間短縮・休暇取得促進のための体制整備」17.0%だった。
“危険”イメージ払拭の取り組みについては、「労働安全衛生の強化」27.6%、「緊急時対応・連携体制の強化」21.4%だった。
“汚い”イメージの払拭では「休憩室や待機場所などの職場環境の美化・快適化」24.9%、「衛生管理の徹底」21.1%、「制服デザインの改善・清潔なユニフォーム提供」20.6%となった。
給与水準の向上に向けた取り組みでは、「資格手当の拡充」24.5%、「能力に応じた評価制度の導入」19.0%だった。
冒頭、澤本会長は人材確保や適正料金確保に向けた協会活動について述べた。
講演では、元中学校教師でロングセラー「命の授業」の著者・腰塚勇人氏が登壇。事故で頚椎骨折の重傷を負った後、家族や周囲の応援に感謝して困難を乗り越えた体験を語った。
NFTビジネスコンサルタント・加納敏彦氏は、企業におけるAI活用推進について講演した。
警視庁生活安全部生活安全総務課・尾上成臣管理官は、警備業の現状について説明した。
業界全体で取り組みを
東京警協・施設警備業務部会WGは、イメージアップに向けた新3K「革新・貢献・かっこいい」につながる取り組みを次のように挙げた。
▽『革新』につながる取り組み
DX推進によるスマート化。能力と役割に応じた昇進システム「キャリアパス」の整備。教育制度により警備業を高度専門職に進化させる――など。
▽『貢献』につながる取り組み
警備業の公共性、防災性、社会的使命を発信。若者・女性の参入促進。契約の適正化――など。
▽『かっこいい』につながる取り組み
待遇改善と給与水準の底上げ。広報・ブランディング戦略の強化。ロールモデル(手本になる人物)の発信。制服や装備デザインの刷新――など。
WGは「すでに企業単位でイメージ改善への取り組みは進められているが、個社の努力だけでは限界がある。業界全体で未来を見据え、誰もが憧れる誇りある警備業界に向けて戦略的に取り組むことが必要」としている。
實川部会長は「建設業など他業種もイメージアップに取り組む中、警備業に興味を深めてもらうためのさまざまな工夫は一層重要」と強調した。
熊本警協 県と熊本市に要望書2026.02.21
適正な積算、スライド条項
熊本県警備業協会(西利英会長)は1月15日、熊本県(木村敬知事)と熊本市(大西一史市長)にそれぞれ要望書を提出した。
要望書は昨年1月に続いての提出。「適正な予定価格の積算」「低入札価格調査制度及び最低制限価格制度の導入を拡大」などに加え、新たに今回、政府が昨年6月に閣議決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に明記された警備業に関する記述を踏まえ次の項目を盛り込んだ。
▽危険業務としての評価 「危険を伴う警備業務の割増加算のルール化」が明記されており、積算時の加算の検討。
▽国家資格有資格者への適正評価 検定合格警備員など有資格者に見合った労務単価の設定が明記され、積算時の加算の検討。
▽スライド条項やキャンセルポリシーの契約条項への導入――など。
西会長、稲葉義典副会長、下川源也副会長が県庁と市役所を訪問。熊本県出納局管理調達課・阿南秀二課長、熊本市総務局契約管理部・鮫島裕和部長に要望書を手渡した。
今後、自治体の入札担当者と協会との相互理解を深めるため定期的に意見交換会を開催することが決まった。
「SECURITY SHOW 2026」2026.02.21
3月3日~6日 東京ビッグサイト
「第34回セキュリティー・安全管理総合展 SECURITY SHOW 2026」(主催=日本経済新聞社)が3月3日(火)から6日(金)まで、東京ビッグサイト(東京都江東区)第7ホールで開催される。
最新のセキュリティーソリューションが集まる国内有数のセキュリティー展示会で、今年は101社・団体が出展し、監視カメラや入退館ゲート、警備ロボットなど安全・安心に寄与する先進機器・システムを展示する。
警備会社からは、ALSOK(東京都港区、栢木伊久二社長)がサイバーセキュリティーやホームセキュリティーサービスなどを展示。ガードアクシス(大阪府淀川区、奥谷直輝社長)は、自社開発のクラウド型業務支援システムを紹介する。警備の現場と管制業務、バックオフィスを効率化する管制システムは他に4社が展示しデモンストレーションを行う。交通誘導警備のシステム化を提案する2社も出展する。
進化を続ける「映像とAI」をテーマにした集中展示や、商業施設・店舗のセキュリティー強化に特化した集中展示も行われる。
特集ワイド 管理業務の一元化2026.02.21
隊員を自動配置、まとめて請求
人手不足が課題の警備業では、業務の効率化と品質向上を図るため「DX推進」が求められている。その中でも管制業務やバックオフィスの業務を一元管理するシステムは、各社が開発・販売、機能やサポート体制の充実を図っている。ジャガーノート(東京都渋谷区、平井智仁代表取締役)の警備業向けクラウド管制・業務システム「KOMAINU(コマイヌ)」の最新機能を紹介する。
「KOMAINU」は1号警備・2号警備の業務を一元管理するクラウド型システムだ。「警備業のバックオフィスを革命する」をミッションに掲げ、管制業務をはじめ、契約管理、勤怠管理、労務管理、請求書発行、給与明細書発行、備付帳簿の自動生成など、多岐にわたる業務を効率化する機能と使いやすさが評価されている。
2022年の発売以来、約3年間で警備会社150社・200拠点以上に導入され、ユーザーの利用継続率は90%(2026年2月現在)と高い。導入している警備会社は警備員数20人の少数精鋭企業から業界で売り上げトップ100に入る大規模企業まで幅広い。
開発元のジャガーノートではKOMAINUの機能アップデート(更新)やブラッシュアップ(改良)に日々注力しており、その数は大小合わせて月あたり約40点におよぶという。
直近で追加されたKOMAINUの新機能は次の4点だ。
1号警備・2号警備において、管制員が事前に条件を設定すると、AIが過去6か月の実績を踏まえた最適な警備員配置を自動で提案する。設定条件は、労働時間・不仲関係・出禁・スキル・経験などで、AIが提案した配置を管制員が確認し、必要な場合は微調整する。管制員は配置ミスを防ぎながら効率的に業務を進めることができる。
同社によると自動配置を導入した警備会社では管制業務が大幅に効率化。警備員数100人規模の会社で月118・8時間=約20・3万円、200人規模の会社で月198時間=約33・8万円のコスト削減を達成した。
当日、遅刻した警備員を検知し、色と音によるアラートで管制員に知らせる機能。現場別の警備員リストは、遅刻者・出動報告・上番待ち・下番待ち・下番済みの順に、監視が必要な警備員を自動で上位に並べる。警備員からの自動打刻による効率化だけでなく、現場ごとの状況を把握しやすくする。
警備員からの上・下番報告の自動打刻はスマートフォンのアプリで行うが、スマホを持っていない警備員はガラケーによる打刻も可能。その場合はIVR(Interactive Voice Response=自動音声)が操作を誘導する。
従来、電話やホワイトボードに貼り付いていた管制員の負担を軽減。AI自動配置と合わせることで、管制業務を“半自動化”する。
あらかじめグループごとに設定した請求書を、総括して発行できる機能。例えば受注先一社で複数の現場がある場合、事前にグループ設定しておくことで、会社ごとにまとめた請求書をワンクリックで作成・発行でき、担当者の負担と作業時間を大幅に削減する。売掛金として自動で登録されるため、取引会社ごとの売上管理・入金管理が可能だ。
警備員との年次有給休暇に関するやりとりを「見える化」する機能。警備業特有の直行・直帰の勤務スタイルから、警備員と警備本部の年休申請のやりとりは電話で行うことが多く、「伝えたつもり」「聞いていない」など伝達ミスや行き違いが起こりやすかったが、KOMAINUにはスマホで有給休暇の申請・承認、ウェブ画面上で有給休暇の自動計算ができる機能がある。
有給休暇の残日数集計では警備業特有の勤務形態「当務(24時間勤務)」にも対応、法令に沿った適切な管理を自動で行い、管制員の負担を軽減する。
◇
ほかに現在開発中の新機能として「法的備付帳簿の自動作成機能」がある。具体的には警備員名簿・護身用具台帳・欠格事由に関する誓約書・指導計画書・教育計画書・教育実施簿・契約先一覧・苦情処理簿などを自動で作成できる機能だ。建設現場に勤務する際に必要となる作業員名簿の自動作成機能の開発にも着手している。
KOMAINUならではの機能として、GMOペイメントゲートウェイ(東京都渋谷区、相浦一成社長)が提供する給与前払いシステム「即給 by GMO」とのAPI(システム間のデータ共有)連携がある。KOMAINUユーザーは「即給by GMO」の初期費用・月額料金が一切かからず、データ登録の負担もなく、警備員など従業員に給与の前払いサービスを提供できる。
両社は3月3日から6日まで東京ビッグサイトで開催される「SECURITY SHOW 2026」に共同出展を予定している。
ジャガーノート・平井代表取締役
直行・直帰の警備員の勤怠管理は従来、電話やLINE、ホワイトボードを使用する「アナログ体制」が一般的でした。そのため警備会社では、情報を集約して活用する「一元管理」ができず、特定の担当者に管制業務を依存する「属人化」も課題となっていました。
管制業務の自動化による効率化は重要ですが、当社は経理業務など他のバックオフィス業務としっかりつながることも重視しています。中小規模の警備会社全体がオールインワンで業務を効率化させて労働環境を改善。採用率向上や離職率低下を実現し、各警備会社の売上向上に貢献することがシステム提供する最終的な目的です。
当社の社員はKOMAINUの開発・提供・サポートにとどまらず、「警備業に最も詳しいITコンサルタント」として、各社のDX化推進や業務フロー改善、実運用に至るまで「経営上のお困り事」を改善するための支援を心掛けています。
KOMAINUは、京都府警備業協会青年部会や関西連合警備業協同組合の皆さまとヒアリングを重ね、「現場の声」をフィードバックしながら開発を進めてきました。創業以来、現在も私自身がシステムの全画面をレビューして新機能をリリースし、パワーアップを図っています。
広報活動は私と営業担当者が全国の警備会社に一社ずつ足を運び、システムのデモンストレーションを行っています。現場担当者の方々の評価を得て経営者の方が導入を決めるケースが多いことが、システムの価値や使いやすさを表していると思います。
各県警備業協会や日本JC防犯部会など関係団体から依頼を受け、対面式でデモンストレーションを行う説明会も開いており、大変ありがたく思います。最近はオンラインセミナーを開く機会も多くなりました。
これからも幅広く警備業のバックオフィスを支援する使いやすいサービスを追求していきます。
エムアイディ 「完全週休二日制」実現
KOMAINUを導入し活用するエムアイディ(京都市山科区、北村義匡社長)の永岩創専務取締役に話を聞いた。
◇
私は2022年、京都府警備業協会青年部会部会員の立場から、KOMAINUの一部の機能の開発に協力させてもらいました。
当時、宅急便の受け取りが指を使った電子サインになったことから「警備現場でも同様にして報告書を本社に送信する仕組みができないか」と思ったのです。ジャガーノートの平井社長は、部会員の思いに共感して開発に着手してくれました。まもなくスマートフォンのアプリで警備報告書を作成しクラウドに保管する「KOMAサイン」機能が追加されました。
その後も青年部会からシステムへのさまざまな要望を伝えました。平井社長が「警備業界のDX化推進」という課題に真摯に向き合っていたことが協力を続ける理由でした。
当社は24年10月、それまで10年以上使っていた管制システムからKOMAINUに移行しました。
従来のシステムは給与計算や請求書作成に関しては優秀なシステムでしたが、管制業務に関してはエクセルベースのシステムではフォーマットに制限があり配置を組むことが難しく、ホワイトボード上に組んだ内容を入力する作業が必要でした。労力や時間がかかり、ヒューマンエラーも発生したのです。
KOMAINUはホワイトボードをそのまま落とし込んだような画面デザインに惹かれ、導入を決めました。画面は共有でき皆がいつでも閲覧できます。
管制業務は警備会社の心臓部であり、導入後は作業効率が大きく向上しました。警備業はITリテラシーが高くない人も多いですが、画面上でホワイトボードを触っているイメージなので誰でも見やすく配置を落とし込めます。
紙やホワイトボードでは管理しきれなかった3か月先の受注や隊員一人ひとりの予定を管理できるようになりました。出先でもスマホやタブレットで見たり触れられることもありがたかったです。管制員はこれまで豊富な経験を持つ「職人タイプ」の人が多かったのですが、KOMAINUを導入して誰でもできるようになったことはとても感謝しています。
隊員とのやりとりも効率化されました。従来は電話やLINEで連絡して回答を待つ煩雑なやりとりがありましたが、KOMAINUを導入してから手間も時間も削減されました。
管制員はそれまで2人で担当し、電話がつながりにくく細かい情報交換がしづらい状況でした。連絡時に住所や地図なども表示できる仕組みになったので、間違えることなくスムーズに情報共有できるようになりました。
さまざまな業務が効率化され、当社は「完全週休二日制」を実現できました。
